近年、世界の自動車需要をけん引してきたのは中国に他なりません。少なくとも、対外的には高度経済成長を続ける中国に於いて、よりプレミアムな物への欲求は高まり続け、クルマに限らずハイブランド商品が中国で飛ぶように売れて来ました。欧州メーカーにとっては正に
ドル箱市場でしたが、ここに来て「中国特需」が急失速しています。
欧州では排ガス規制への機運が高まった2010年代半ばからいわゆる
EVシフトが始まり、各メーカー2030年までにガソリン車を撤廃するなどの狼煙を上げました(その後、2035年に延長)。表向きは「環境への配慮」ですが、この裏には、当然トヨタなどハイブリッド車をメインに据える
外国企業への対抗策という意味合いが強かったのではないか、と思います。それがここに来て
急速なEV離れ(というか、EV需要がすでに満たされ頭打ちになった)が始まり、どの欧州メーカーのEVも苦戦しています。加えて、中国BYDが台頭し、テスラなどの古参EVメーカーの存在もあり、国内でも海外でも
思ったほどEVが売れない現状が続いています。流石にこの状況では欧州自動車産業存亡の危機という事で、各企業からEUに相当な圧力がかかったものと想像します。結果、2035年ガソリン車撤廃案はいつのまにか有耶無耶になりつつあります。
しかし、ここまで中国への依存度を高め、EVへと舵を切った欧州メーカーが内燃機関回帰の機運を再度高めていくというのはなかなか難しいように思います。結局、
どっちつかずの状態になってしまっており、欧州メーカーにとって状況は
非常に厳しいと言わざるを得ません。VWグループも、ポルシェも2024年の第一四半期は大幅な収入減を表明しており(なぜか2024年度としては黒字目標を崩していませんが)、他メーカーもほぼ同じような状況です。結局、すったもんだ有った挙句、
トヨタの一人勝ち、という状況になりつつあります。策士策に溺れる、皮肉な物ですね。個人的にはEVはオワコンだとは思いませんが、しばらくは
頭打ちの状況が続くと思います。全固体電池の普及やインフラ整備などが急速に進まない限り厳しいと思います。加えて
リセール極悪問題がより消費者の財布の紐を堅くしているように思います。EVの未来に光明はあるのでしょうか?
Posted at 2024/05/11 14:47:54 | |
四方山話 | クルマ