今日の朝日新聞に目を通すと、「奨学金破産」の問題が取り上げられていました。私が学校に通っていた時期はずいぶん前になりますので、当時と単純に比較することは無理です。ただ、当時はとにかく「大学進学」とされていた時期で、それこそ聞いたことがないような大学までどんどん出来た時期でした。
この奨学金破産ですが、奨学金を取り巻く事情と家庭環境によって起こる模様です。
まず、奨学金を運営する団体の方針変化です。以前の「日本育英会」は、奨学金を出すのに回収には力を入れてこなかったとのことで、多方面から問題にされたとのことでした。運営が危機的になって方針を転換、民間の貸金業者の手法も取り入れて、取り立てや資産の差し押さえなどもしながら、債権の回収に力を入れるようになったとのことです。
そういえば、奨学金を借りたまま返さずに行方をくらます人の問題が、十数年前に取り沙汰された記事を読んだ記憶があります。私の家でも父が借金をしながら学費を当ててくれていましたので、その記事を読んで憤慨した覚えがあります。
次に、大学学費の上昇です。国立文系で2倍少々、私立理系で1.77倍だそうです。その割には労働者賃金平均は上昇しておらず、相対的に大学に通うことが金銭的に大変になっている模様です。
そして、記事には書いていなかったのですが、こんな記憶がよみがえってきました。まだ総理大臣が小泉純一郎氏だった頃、たしか彼は江戸時代の逸話「米百俵」を持ち出し、人々は教育へ投資すべき、との持論を唱えておりました。
「米百俵」とは、江戸時代に大飢饉が発生、各藩は幕府に支援を求めましたが、とある藩はその支援をすべて教育に投資し、後年その藩が躍進することにつながった、とするものです。
日本は資源がありませんので、材料を輸入・加工して輸出する工業か、サービス産業を興していかなければ国際競争力が低下し、国の生活は貧しくなってしまいます。そのためには教育が大切であることはわかっています。しかし、トラックドライバーや自動車整備士を志望する人が少なくなり、ライフラインに影響が起こりそうになるほどになる一方、何が何でも大学に進学、就いた仕事の給料が少なくて破産、というのはどう考えてもおかしいと思うのです。
逸話や故事は、現在の状況を説明する上で正しい引用なのかどうかよく考えなければならないとともに、小泉純一郎氏は色々と面倒なことを残してくれたものだ、と思うのです。
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Posted at
2018/02/13 00:04:11