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2017年01月09日 イイね!

スズキ ソリオ(HYBRID SZ) 試乗

スズキ ソリオ(HYBRID SZ) 試乗 この日は、スイフトに続いてソリオにも乗りました。スイフトはマイルド型のハイブリッドですが、ソリオはストロング型に分類されるハイブリッドシステムです。

ソリオの概要
 ソリオの祖先は、初代ワゴンRの登録車版である、「ワゴンRワイド」です。1000ccターボエンジンと1300ccエンジンを搭載しておりました。海外製であったかもしれません。非常にトラブルが多い車でしたが、日産キューブと時期を同じくして登場しており、「背が高い小型ワゴン」の市場を築きました。

二代目は当初「ワゴンRプラス」と称して1300ccエンジンを搭載していました。しかし、ワゴンRと混同されるからか、ほどなく「ワゴンRソリオ」と名称を変更しました。1300ccであることを前面に押し出し、「ソリオイッテンさん」などと、「DQN一休さん、ミニ和服のさよちゃんのCM」が印象的でした。兄弟車として、シボレーMW、シボレークルーズ、スイフトがあったからか、オペルにもOEM供給をしていたからか、ワゴンR系列が2回フルモデルチェンジを受けてもそのまま生産されていました。ただし、末期にはワゴンR系列との関係を断つためか、単なる「ソリオ」に改称しました。

三代目は背高箱型ミニミニバンへと性格を変え、概ね現在の形状になりました。パーソナルカーとして性格を変えていた日産キューブやトヨタbBをさておき、スマッシュヒットとなりました。軽自動車のパレットやスペーシアに火がつかなかった事とは対照的です。

そして今回の四代目は、三代目のキープコンセプトながら、マイルドハイブリッドを最初から追加、そして今回、新しいトランスミッションのAGSともにハイブリッドシステムを追加しました。

エンジン
 スイフトの項目で書いた、K12Cエンジンがそのまま搭載されています。スイフトでの好印象はそのまま感じられ、AGSがもたらすダイレクト感によって、さらに好印象になっています。ライバルのルーミーは3気筒エンジンを採用していますが、ひとのり、ほんの少し走るだけでこの車の4気筒の良さを感じることでしょう。

トランスミッション+モーター
 既に軽自動車で採用されている、AGS(オートギヤシフト)が採用されています。この方式は、クラッチ操作は電動マスターシリンダーが油圧で、シフト、セレクト操作はソレノイドバルブで油圧を制御することで行っています。すなわち、マニュアルトランスミッションを電動油圧化により、自動にしている方式です。



このシステムは既に軽自動車のエンジン車に搭載されています。発進時になかなかクラッチを繋がなかったり、シフトセレクト切り替え時にクラッチを切り続けたり、その間加速しないことなどで、大不評を頂いているトランスミッションです。使い方を工夫し、アクセルペダルやシフトレバー操作を駆使すると面白いトランスミッションなのですが、普通のATやCVTに慣れた人には、まどろっこしいようです。

 この車にも同じAGSが採用されておりますが、トランスミッション内にモーターを内蔵しているためか、印象は全く異なります。ハイブリッドシステムの成立のさせ方ははっきりとはわからないのですが、トランスミッション出口、ディファレンシャルギヤの手前でモーターの力を入力しているようです。そのため、変速時のクラッチを切っている間にも、モーターが回転をインプット、これまでの加速を続けながらトランスミッション部は変速に専念します。加速は変速操作中にも途切れず、変速ショックもごくわずかです。

もちろん、発進時に加速時、定速走行時にはモーターがアシストを行いますので、エンジンへの負担は少なくなっています。体感の上では、ちょうどトルクコンバーター式の4-5速AT車に近い印象であり、さらにマツダスカイアクティブATのような、エンジンと車軸が一体化された、子持ちが良い走りが可能です。

残念なことに、この車にはATマニュアルモードがありません。せっかくダイレクトなドライブ感覚を味わえるシステムなのですから、ぜひマニュアルモードを追加して欲しいものです。

ステアリング
 このような背が高い車ですから、操舵に対する車体の反応は遅めになっています。ただ遅いのではなく、後述するようにサスペンションの設定が大変良くないものですから、大舵角時には応答性が極端に悪化し、決してコントロール性が良いとは言えません。

路面の様子もほとんど伝わって来ず、車と対話しながら走ることは難しいです。

この種の車を選ぶ人がハンドリングを重視しないとはいえ、操縦感覚を疎かにする理由にはならないと思います。

サスペンション
 まっすぐ市街地を走る分には、柔らかくなめらかな乗り心地を提供してくれます。しかし、車線変更では、ロールスピードが速すぎ、車体の姿勢、運転士や乗員の姿勢が不安定になります。悪いことに、ロールが落ち着いたかな、と思った領域からさらにもう一段階ロールが深まり、車の屋根がグラッと傾きます。

ほんの少し車線変更を急ぐだけでこのような感じになるのですから、とても安心してハンドルを握れません。この種の背が高い車体だからこそ、ロールはよく調整されてしかるべきだと思います。この点では、トヨタ ルーミーの方がはるかに上手く設定されています。

ゆっくり走るから大丈夫、乗り心地だけ気にしていれば良い、という誤ったマーケティングによる設定ではないか、と思います。なお、このサスペンションですと、乗員はすぐ酔うことでしょう。サスペンションも、シートも、設定が良くありません。

ブレーキ
 この車もスイフト同様、回生ブレーキがよく働くため、フットブレーキをほとんど踏みません。回生ブレーキと摩擦ブレーキの連動はなく、回生度合いに応じて運転士がフットブレーキの踏み加減を調整します。概ね2速レンジにシフトした程度の回生ブレーキであるために、市街地走行ではフットブレーキいらずです。

そんな中でのフットブレーキ評価ですが、それほどしっかりしておらず、さりとて曖昧な踏みごたえでもありません。ごく普通か、少し劣る程度の踏みごたえとなっています。

ボデー
 この車の最大の問題点は、「センターメーター」です。



一時多くのメーカーが「外の景色からメーターに視点を移した際、短時間で焦点が合いやすい。」とセンターメーターを採用しました。しかし、「遠い、見づらい、従来のメーターの位置に何もないので、ついついそこを見てしまう」などの意見から、マイナーチェンジで内装を変更、メーターを運転席側に移設した車すらあります。この車の場合も同様で、メーターに目を移したあとに上を見ると、車道左端に視点が入ってしまいます。そこからまた前方に視点を移すことが疲れましてね。これだけでストレスになってしまうほどでした。

車体は、やや下部が太り、安定感を感じるものになっています。スタイルはプレーンな標準系と、いかついバンディット系がありますが、前述の乗り心地の点を含め、バンディット系はハードなサスペンションのしてみる、などのアプローチがあっても良かったと思います。

車内は背が高いだけあって広々感を感じます。しかしこの車が快適に乗れるのは4人まで、5人以上で使う場合には、フリードやシエンタを選んだほうが良いでしょう。

内装は、ルーミーと比較すると、やや簡素な印象です。センターメーターであることが、簡素な印象を強めているのかもしれません。ルーミーと比較してこちらのほうが寂しい感じに映ることでしょう。エンジンを気にしない人であれば、センターメーターであることとともにルーミーに流れてしまうかもしれません。

まとめ
 この車のハイブリッドシステムは、運転していて面白いです。シンプルでダイレクト感があって、軽量コンパクト、登場したてて高い完成度になっていますから、今後の細かい改良も期待できます。

一方で、商品としては乗り心地にハンドリング、内装に大きな問題を抱えています。「走りたいならスイフトをどうぞ」では済みません。この種の車は、仕方なく買う人も多いのです。スイフトで走りたいけれど、家族も荷物も多いからこの車を選ぶのです。

もっと走りの性能を熟成させ、「走りたい人もがっかりしないミニミニバン」を目指さなければ、タンク、ルーミー、トール、ジャスティ包囲網に破れてしまうでしょう。

参照して欲しい記事
トヨタ
シエンタ
スペイド
ルーミー
パッソ

日産
キューブ(現行初期型短距離)
キューブ(現行初期型長距離)
デイズルークス(初期型)

ホンダ
フリード+ハイブリッド

スズキ
ソリオ(ソリオ初代)
イグニス
スイフト(現行)
Posted at 2017/03/12 21:38:42 | コメント(1) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年01月09日 イイね!

スズキ スイフト(HYBRID RS) 試乗

 この日は、ホンダのお店に続いてスズキのお店に行き、新しいハイブリッド車群に乗ってみました。エネチャージを新たにハイブリッドと名乗り、ソリオにはAGSシステムとの組み合わせのフルハイブリッドを登場させています。現実に目を向けますと、ワゴンRは長期的に失速気味、スペーシアも思ったより受け入れられず、徐々に他社に市場を奪われつつある焦りもあるのでしょう。その中でスイフトは、キープコンセプトながら顔立ちは一新、シャシーも一新と、そこそこ力が入っています。

スイフトの歴史
 初代モデルは、当時の軽乗用車である「Kei」を膨らませたようなボデーでした。標準シリーズとスポーツ仕様の二本立てで、標準シリーズは1300ccエンジンを、スポーツ仕様は1600ccエンジンを搭載し、それぞれ「安い登録車」と、「クラシカルな「ホットハッチ」」を実現しました。スポーツ仕様は、ラリー競技でもある「ジュニアWRC」で好成績を収めるなどし、「良くわかっている近頃珍しい競技志向」の人に受け入れられました。その一方、標準仕様は安さ一本で販売し、2代目モデル販売後にも「SE-Z」という、70万円台で販売するモデルのみを残したほどです。

 2代目は、スポーツ仕様を前面に押し出して登場しました。ボデーはオリジナルとなり、小型車の品質感を超えた車に仕上げていました。ちょうど、現在のデミオのような雰囲気で受け入れられました。スポーツ仕様は引き続き1600ccエンジンを搭載し、「シビックタイプRを買わなくても、安い価格で十分に楽しめるスポーティーハッチバック」として市場を拡大しました。

モデル途中では、標準仕様のエンジンを1300ccから新エンジンの1200ccに換装しました。新モデルにも搭載されているk12エンジンです。CVTが組み合わされ、メーカーがこのモデルに力を入れていることが十分に伝わってきました。

 3代目は2代目の正常進化版で、より品質感を高めるモデルチェンジを行いました。初期型モデルでは、重厚感あふれる乗り心地とピアノブラックの内装が特徴的で、2000cc級の小型車にも匹敵するほどでした。マイナーチェンジの時には、筒内噴射エンジンほどコストがかからず筒内噴射方式に近い効果を得られる、「デュアルジェット(インジェクター)」システムに変更され、メーカーの力の入れようが伝わったものです。

私は2代目の1200ccエンジン版には乗っていないのですが、3代目1200cc標準モデルはアンダーパワーでした。高速道路でも余裕はなく、重厚さと引き換えに軽快さを失っていたようです。個人的には、もう少しお金を出して排気量が大きな他社のモデルを選んだほうが良い、と感じました。乗り心地も後期型は良くなく、「メーカーはメディアに掲載される前期型に力を入れ、掲載されない後期型でコストダウンをするのか?」と思った程です。ステアリングの操作感覚もよく泣く、メーカーのおごりを感じたほどです。また、スタイルの上でもヘッドライトが大きすぎ、少々バランスを欠くサイドビューになっていました。

エンジン



 K12C型1200ccDOHCデュアルインジェクター方式のエンジンが、継続して搭載されています。インジェクターを2本にすることで、吸気ポート2本に対して真っ直ぐに燃料を噴射出来るようになります。そのため、吸気ポート壁に付着する燃料を抑制するとともに、吸気工程で燃料を噴射、シリンダー内で燃料が気化して吸気を冷却する筒内噴射エンジンに近い効果が得られます。また、マイルドハイブリッド化により、主に低中速域で発電機がエンジンを軽くアシストするようになっています。

後述する車体の軽量化やハイブリッド化の効果も相まって、軽快に走る車になりました。旧型では、「遅いもののエンジン音で走る気にさせる」と評価しました。いわゆる「雰囲気スポーティー」です。この車では余裕が出来て、排気量を200cc程増したような走行感覚になっています。特にエンジン音の静かさと振動の少なさが特徴的で、回転バランスが良いエンジンになっていると感じました。



ハイブリッド化による、エンジンの負担低減も効いていることでしょう。これまでの標準モデルで感じた、「もう少しパワーがあれば」という思いが、だいぶ感じられなくなりました。それでも余裕にあふれるほどでなく、走ることが楽になった、程度の変化です。

トランスミッション
 スズキお得意の、副変速機付きCVTを搭載しております。旧型モデルの前期型や、少し前に発売されたイグニスでは、モーターとエンジンとトランスミッションの制御に均整がなっておらず、アクセルペダルで車速や加速を制御しづらくなっていました。

この車では、ハイブリッドシステムの存在を感じさせないようになっている上、エンジンとモーターの力を「システム出力」として捉え、CVTで変速をしている印象です。

CVTの変速は、エコカー減税導入前の日産車のCVTに近い印象です。加速時でも低い変速比にしようとせず、加速中は変速比を固定、車速とエンジン出力が釣り合ってくると徐々に高い変速比に移行させる印象です。車速が低下してから再加速をする際にもいたずらに変速比を下げようとせず、ある程度一定の変速比を保持するようです。おそらくその際、モーターによるアシストも高められてエンジンの負担も低減されていることでしょう。

CVTの変速比が改善され、CVTとエコカー減税の嫌な印象が薄まり、運転しやすくなりました。このような変速比にするなら、いっそのことマツダのように有段ATにするか、後日書くAGSにしてしまったほうが良いでしょう。

ステアリング
 旧型初期の電動パワーステアリングは、モーターのアシストが遅れるのか、軸がねじれているのか、操舵に対してアシスト時期がバラバラになってしまっている印象でした。直接体に伝わる部分の印象が悪いと、人間疲れるどころか不快になるもので、全く腹立たしいパワーステアリングになっていました。後期型になると、ごく普通のパワーステアリングになり、まともになったものでした。

 この車のパワーステアリングも旧型後期と同様の、プレーンで素直なパワーステアリングになっています。どことなく「しっとり」とした操作感覚になり、上質な感じが出ています。ただし、相変わらず路面の様子はあまり伝えませんが、気持ちが良いステアリングに仕上がっています。

サスペンション



 若干縮み方向の動き出しが硬いような印象はありますが、総じて乗り心地は良いサスペンションです。旧型前期の、車重の重さを利用した重厚さはありませんが、旧型後期のようにタイヤが跳ねるような印象もありません。

ただし、車線変更を急に行うような、速い操舵に対してやや車体の動きが大きく感じられます。前述の動き出しの渋さをなくした上で、もう少し伸び側も縮み側も減衰力を高めたいところです。もしくは、もう少しスタビライザーを強化して挙動を安定させたいところです。

もっとも、車体を軽量化して登場したばかりの車ですから、徐々に調整されて改善されていくことでしょう。

ブレーキ
 ペダルタッチはまずまずで、特別良い印象がないものの悪い印象もありません。ハイブリッド化により、減速時に発電機が回生ブレーキモードに移行、減速力を発生させます。減速度はかなり高く、トルクコンバーター式4速ATの2速でのエンジンブレーキに近い印象です。そのため、市街地走行ではフットブレーキを使用する時間が短くなっています。

ノートのe-powerグレードでも感じたことですが、回生ブレーキの減速能力が高まると、摩擦ブレーキであるフットブレーキを使用する時間も機会も減少します。今や鉄道でも摩擦ブレーキは「駐車・非常ブレーキ」になっています。「使わないものはコストダウンする」の憂き目に合わないか、心配しています。

話が横道にそれましたが、フットブレーキの使用感覚は並であり、安価なコンパクトカーはこんなものか、というがっかりは皆無です。

ボデー



 今回のモデルのトピックスは、このボデーにあります。シャシーの構造部材の配置を変え、効率よくボデー剛性を向上させているために、ハイブリッドモデルでも900kgと軽量に仕上がっています。1割は軽量化されていることでしょう。構造部材だけではなく、高張力鋼板の使用面積も拡大されています。

スズキは、旧型エスクードまで高張力鋼板を使用することには慎重でしたが、旧型アルトの途中で追加された「アルトエコ」から、急速に採用するようになりました。鉄板自体の剛性が高いために、構造部材を削減しても同程度の車体剛性が得られます。そのために、極端な軽量化が可能となりました。

 しかし、車体剛性も落としておらず、むしろハッチバックモデルとしては非常に高い剛性を持っています。トヨタのTNGAでも感じましたが、車体後部に大きな開口部(テールゲート)があることなど感じさせないほどです。アルトのターボやワークスグレードが開口部の溶接点を増やして車体剛性を高めていますが、この車体は「そうしているのではないか?」と思わせるほど、しっかりしたボデーになっています。

 外装は好みです。流行の上では遅れた「切れ長」ヘッドライトの印象がかなり抑えられ、サイドから見ても「小顔」になりました。ボデーそのもの形状はあまり変わっていませんが、小顔化によるプロポーションの改善により、安定感を感じるボデーになりました。一方で、若干没個性な顔立ちになり、パッソに近い印象も出てしまっています。流行の点では横長ヘッドライトに移行しており、「切れ長感を抑制」したくらいではまだまだです。



 内装も、このクラスの車としてはまあまあ、デミオと比較すると幾分見劣りする、旧型と比較すると、若干退化している内装になってしまいました。旧型から現行にかけて、ナビゲーションのモニター画面が大型化、内装材の面積が減っていることも関係します。



シートの出来は良く、ホールド性も良い方です。前席で心地よく座れる位置に調整すると、後席のフットスペースはやや狭くなります。また、リヤシートバックが若干立っているために、写真では4人が快適に座れそうな感じですが、「まあ座れる」程度になっています。3人以上でこの車の乗る機会が多い方は、実際に3人以上で座ってみることをおすすめします。

まとめ
 この車は、「デミオイーター(デミオを喰う存在)」です。マツダは「クラストップ」を実現しますが、4年以内に他メーカーに追いつかれて抜かれてしまう傾向にあります。2代目のスイフトは小型車の平均を著しく超えていましたが、旧型デミオがこれに取って代わり、再びスイフトが追いついてきました。若干デミオより総合力で劣っていると感じますが、スイフトの新しい軽量ボデーは魅力的です。走りの上でも、スイフトの軽快な感じは小型車らしく、若々しさを感じます。デミオは大人感覚を得ましたが、ちょっと老成してしまった印象です。このキャラクターの違いが、二つの車の分かれ道です。

この車の出来は良く、「これ一台で」と考えている方には十分勧められる車です。ただし、ハイブリッドモデルでないとおそらく余裕は少なくなるであろうこと、3気筒ターボエンジンは振動や出力特性の上で、この試乗記は半分くらいしか役に立たないであろうことから、RSのハイブリッドモデルだけのことと考えてください。また、既にソリオが搭載している、AGS+ハイブリッドモデルが出るようなら、そちらをお勧めします。この車は、少し待って買うことが正解です。

参照して欲しい試乗記

トヨタ
ヴィッツ(現行初期型)
ヴィッツ(現行中期型1NR-FKEエンジン搭載車)
アクア(現行初期型)
カローラアクシオ(2NR-FKEエンジン搭載車)
パッソ
シエンタ
スペイド

日産
マーチ(現行初期型)
マーチ(現行ニスモM/T)
ノート(現行前期型スーパーチャージャーモデル)
ノート(現行前期型ニスモM/T)
ノート(e-power)
キューブ(現行初期型短距離)
キューブ(現行初期型長距離)


ホンダ
フィット(1300cc車)
フィット(ハイブリッド短距離)
フィット(ハイブリッド長距離)
フィット(RS M/T)
フリード+ハイブリッド
グレイス(ハイブリッド)

マツダ
デミオ(ガソリン、ディーゼル比較試乗)
デミオ(ガソリン初期型)
デミオ(ディーゼル初期型)
CX-3
アクセラ(現行後期型1500cc)

スズキ
イグニス(ハイブリッド)
スイフト(旧型前期)
スイフト(旧型後期)
ソリオ

VW
UP!
Posted at 2017/03/11 01:08:10 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年01月09日 イイね!

ホンダ フリード+ハイブリッド 試乗

ホンダ フリード+ハイブリッド 試乗 この日は、CH-Rに引き続き、フリード+ハイブリッドにも試乗してきました。既にフィットハイブリッドやグレイスにも試乗済みであり、同じエンジンとハイブリッドシステムを持つ車に乗る意味があるのかどうか、と感じましたが、売れ行きが良い車であり、評価をすることは社会的にも意義があることである、と考えて史上を行いました。

フリードの位置づけ
 乗用車を基準としたトールカーとして、既に何代にもわたって設定されています。事実上の初代は「キャパ」でした。当時の「ロゴ」を基準としたトールカーでしたが、バランスが悪いスタイルと細部の処理などから、話題になることはありませんでした。

二代目は初代フィットを基準とした、「モビリオ」「モビリオスパイク」でした。欧州の路面電車を題材にした、ウエストラインが低いスタイルが特徴的でした。やや車離れをしたスタイルで当初は話題になりましたが、すぐに人気が落ち着いた記憶があります。一方で「スパイク」仕様は、トヨタbBを思わせるスタイルとワル顔が受けた結果、そこそこの人気を博しました。

三代目は、二代目フィットを基準とした、「フリード」「フリードスパイク」です。旧モデルの雰囲気が残った、比較的角ばったボデーと搭載性や取り回しの良さ、モデル途中で追加されたハイブリッドの存在などから大人気になり、モデル末期でもかなりの台数を販売していました。

そしてこの四代目です。イメージはよりフィットに寄り、丸みを帯びたスタイルとなりました。二代目のスパイク仕様のいかつさは完全に払拭され、いわゆる「マイルドヤンキー」から完全に脱却しました。一方、同社の軽自動車はマイルドヤンキーを意識した仕様があり、スズキもスペーシアに同様の仕様を追加するなど、本モデルとは反対の方向に向かう傾向にあります。販売を意識するとマイルドヤンキー仕様はある方が良いと思います。しかし、新興住宅地やマンション族からすると、マイルドヤンキー味は、むしろ嫌がられる傾向かもしれません。同じ市場にあるトヨタ シエンタにもマイルドヤンキー仕様がないことから、同じく市場の探り合いであると感じています。

エンジン+モーター



 フィットのハイブリッド仕様と同じ1500ccエンジンですが、こちらはヴェゼルハイブリッドと同様のオットーサイクル仕様となっています。吸入空気量が多めになるために、エンジン出力・トルクともより大きくなっています。一方で、燃費は低下する傾向にあります。燃費の良し悪しは別として、走行性能には大きな余裕が生まれています。エンジン+モーターの力で走行し、エンジンが不得意な部分はモーターが補うはずのハイブリッドですが、エンジンの力が大きくなることはやはり走行性能の向上をもたらしました。エンジンのみの車に例えると、200cc程度の排気量が増大したような印象です。

 アクセルペダル操作に対するレスポンスは悪くないという程度です。ハイブリッドシステムゆえ、エンジンの出力を高めて加速するようでは、燃費の上昇は望めません。モーターアシストを中心として加速をしていると考えられますが、エンジン音が高まらない効果なのか、このような印象となりました。フィットハイブリッドではエンジン車であることを印象付けており、回転の上昇とともに音、振動とも抑制の上で聞かせ、伝わらせている印象でした。この車でも基本は変わらないはずですが、いずれもかなり抑制が効いています。

 しかしながら、トヨタのハイブリッドシステムとは印象がかなり異なり、エンジンによって走行している感覚が伝わってきます。このダイレクト感はトヨタのシステムでは得られない気持ちよさで、車速や加速のコントロールの楽しみが得られます。スポーティーカーのような感覚を出すことも十分に可能だと考えられ、フィットハイブリッドRSやグレイスハイブリッドにRSを追加するならば、このエンジンですればよいのに、と思えました。

グレイスハイブリッドではトヨタのハイブリッドシステムのような感じを演出してどうなるのか、と思いましたが、ホンダは自身の立ち位置を再確認をしたのだと思います。

トランスミッション
 i-DCD7速ツインクラッチ方式のオートマチックトランスミッションを採用しております。変速ショックはさらに抑制され、変速を体感することは難しくなっています。これもアクセルレスポンスを鈍く感じさせる一つの要因でしょうが、この車の性格には合っていると思います。

前述の通り、この車は性能や持つ喜びを感じさせるのではなく、子供が生まれた家族が、そのまま子供が増えなければ7年位使って買い換えられる車ですから、マニュアルモードを含めて操縦性能を高める必要はありません。私の希望とは全く異なりますが、変速ショックを情報と受け止めず、不要な振動と考えるのであれば、このトランスミッションは目的を果たしています。

サスペンション
 柔らかい乗り心地ですが、ショックアブソーバーの効きは悪くないようで、うねり路面を乗り越えても無駄な車の動きはありません。路面の突起に対するサスペンションの動きも良く、高級で上質な印象すら味わえます。乗り心地の良さは特筆もので、助手席や後席に乗る家族は、心地よいドライブが楽しめることでしょう。

ボデーの形状から曲がりくねった道でのロールが心配ですが、この車はどうやらロールセンター(ロール軸の中心)を高めることでロールを感じにくくしているような印象を持ちました。私が「ロールが大きい、ひどい」と書いている車は、ロールセンターが低く、カーブの内側の車輪が持ち上がり、大げさに天井が傾く印象でした。

しかしこの車は、まるでセンターコンソール辺りにロールセンターがあるかのような印象で、車全体が沈み込むような印象でロールします。ロールに対する恐怖心は感じにくくなりますが、タイヤのコーナーリング限界は変わりません。コーナーが続く道ではタイヤの限界を見誤る可能性がありますが、そんなことは目的にない車、ロールセンターの高さの良さだけを享受出来ると考えられます。

ステアリング
 それほどシャープな印象ではなく、どちらかというと路面の状態はあまり伝えない方だと思います。ギヤ比も低い印象で、車高が高いことによる転舵時の急激なロールを抑制しています。ハンドリングの良さは前述のロールセンターの高さによって充分高く「感じ」させられますので、ホンダ車らしい運転手優先の感じは十分味わえます。

ブレーキ
 ホンダの現在のハイブリッドモデルに採用されている、電動マスターシリンダー方式を採用しています。ブレーキペダルの踏み応えは「ブレーキフィールシミュレーター」によって演出されているだけに過ぎません。グレイスハイブリッドでは、粘っこく操作性が悪い印象でしたが、この車ではしっかりとした踏み応えに変えられています。ペダル踏力に対する制動力の立ち上がり、回生ブレーキとの連動も上手く出来ており、踏み応えが演出によるものであることに気づかない方も多いと思います。

ボデー
 フィットをベースにしている車体ですが、遮音性能が大幅に高められています。これまでのホンダ車の弱点であった、車内へ容赦なく伝わるロードノイズがかなり抑制されています。また、ガラスの遮音性能も高い模様で、対向車のロードノイズもかなり抑制されています。このことからダイレクトなドライブ感覚が若干阻害されているものの、ファミリーカーとしての能力が大幅に向上しているどころか、高級感すら感じさせることにつながっています。

車体剛性は比較的高く感じられ、開口部が大きいことによる車体の微小振動「ドラミング」は全く感じられなくなっています。トヨタのTNGA程ではありませんが、新しい時代のボデーの素晴らしさを感じます。

内装は若干退屈な印象で、この点でも「脱マイルドヤンキー」を強く感じさせます。しかし、デザインソースはメッキ部品を多用していた頃のもののままであり、どこか安定感に欠ける内装です。



一つにメーターの位置が高いこと、なぜかその手前に棚のような部分があり、どうも理解に苦しむところがあります。視界のためならメーターの位置を下げた方が良いと感じます。視界の中に外の風景、メーター、棚が入ってきて、常に視野における「区切り線」が多く、これが「ごちゃごちゃ」していると感じさせるのかもしれません。



それ以外の内装は、良さが十分に現れています。シートはクッションの肉厚も十分、かつ脇がしっかりしており、コーナーでも運転士の姿勢が崩れにくくなっています。視界も良好で、曲がり角での巻き込み確認もしやすい方です。




 外装は好みですが、フィットの雰囲気を強く感じさせるスタイルに変更されました。かつてのモビリオスパイクには特定のファンがいたり、初代トヨタbBも末期は「角ばったワゴン車が欲しいお年寄り」に支持されていた事を考えると、シエンタの向こうを張って角張ったものにしたほうが良かったように思います。現在のスタイルは、CMのキャラクターやCMの雰囲気同様、没個性の極みのようなスタイルで、持つ喜びは全く感じられないのではないでしょうか。

まとめ
 私がこの車に感じるのは、「没個性、無性格、日用品」です。車の雰囲気の流行では、必ず何年かに一度「車道具論」とともにこの種の車が出てきますが、キャパとモビリオで失敗、モビリオスパイクで回復したことをホンダは忘れているように感じます。道具としては良いのですが、「つまらない」と感じてしまいます。

最近はクロスオーバー車がもてはやされていますが、ミニバンやミニミニバンは流行遅れの車になってきた、ということでしょう。買って使い倒す、ということに徹していることしか伝わってきません。

車好きが生活環境の都合上ミニバンを購入することになり、その人がホンダを訪れた場合に期待するのは、「ホンダらしさ」ではないでしょうか?この車には、やはりホンダに何年か一回に訪れる「脱ホンダ」が感じられてしまうのです。

なお、車としては良い出来だと思います。ステップワゴンはいらなくなってしまうのではないでしょうか。この点でも、ホンダは自社のスパイラルにはまってしまっています。


参照して欲しい記事

トヨタ
シエンタ
スペイド
ルーミー

日産
キューブ(初期型)
ノート(前期型スーパーチャージャーエンジン車)
ノート(後期型e-power)

ホンダ
フィット(1300cc)
フィットハイブリッド(初期型 短距離)
フィットハイブリッド(初期型 長距離)
フィット(RS MT)
グレイスハイブリッド
フリードハイブリッド(旧型)


Posted at 2017/03/05 00:03:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年01月09日 イイね!

トヨタ CH-R(G、ハイブリッド2WD、モデリスタエアロパーツ装着車) 試乗

トヨタ CH-R(G、ハイブリッド2WD、モデリスタエアロパーツ装着車) 試乗 この日は、ブルーバードシルフィのキーレスエントリー送信機の電池交換をするために、販売店へと向かいました。途中、トヨタの販売店にCH-Rの試乗車があるのを見つけ、立ち寄ることにしました。

CH-Rの位置づけ
 CH-Rは、もうお馴染みの「クロスオーバー」に位置づけられています。最近は当たり前の分野になったためか、クロスオーバーという言葉すら聞かなくなってきています。元々は、ステーションワゴンやハッチバックの地上高を上げ、SUV風の雰囲気を与えた車を分類していました。しかし、ひとつのジャンルとして馴染んできたために、言葉が古くなったと考えられます。

さて、CH-Rはトヨタ ハリアーの小型版として、これまでのRAV4の位置にあると言えます。4輪駆動は電子制御カップリングによるオンデマンド型であり、2WDも廉価版ではなく堂々とラインナップしていることから、オフロード走行はほとんど考えていない傾向が伺えます。

そんなことから、現在のクロスオーバーは「セダンの否定版」として存在していると考えられます。1960年代前半の2ドアクーペや2ドアハードトップ、1980年代前半の3ドアハッチバック、1980年代後半からの4ドアハードトップ、1990年代初めのクロスカントリー4WD、1990年代後半のステーションワゴンなど、「セダンは地味すぎて乗りたくない」需要に応えた車であるということです。

その需要に応えるべく、CH-Rはかつての「セリカ」を思わせるクーペルックで、未来感覚にあふれて、いかにも「カッコ良い」スタイルを実現しています。今や、「仕事中は努力し、オフタイムは服や靴、アクセサリーでプライベートタイムを演出、楽しむライフスタイル」が当たり前になり、そんな小道具としての車に設計されています。

今回試乗したのは、現行プリウスのエンジンとモーター、駆動系統をそのまま移植した2WDモデルです。

エンジン+ハイブリッドシステム
 現行プリウスと同一のシステムが採用されております。プリウスの試乗は登場当初と、半年ほど経過してからレンタカーで実施しました。印象は多少異なっております。

まず、モーターで発車してからエンジンを始動する際の状況です。プリウスではスロットルバルブをやや開いた状態で、「プン」と、勢い良く始動される印象でしたが、この車ではこれまでのプリウスと同様、静かに始動される印象になりました。加速時の滑らかさが増しましたが、スロットルボデーが汚れた際の耐性には、また問題を抱えることになったことでしょう。

エンジン出力とモーター出力との合計である、「システム出力」は変化がありませんが、アクセル操作に対する出力のピックアップは、より鋭くなった印象です。アクセルペダル操作に対して出力がすぐに出てくる印象で、1440kgという重量を感じさせない走りが可能です。

サスペンション



 この車には19インチのタイヤが装着されており、乗り心地の硬さが予想されました。しかし、TNGAボデーを採用しているためか、ボデー前後とも路面の突起を十分に吸収し、サスペンションが良く動きます。路面の突起はわずかに感じられる程度であり、スポーティーカーのような乗り心地になっています。

この種の車というと、クッション性を期待してか、タイヤ側面が厚い(扁平していない)タイヤを採用し、舗装路でも若干左右に揺すられるような、タイヤの無駄な動きが見られたものですが、扁平タイヤとTNGAボデーのおかげで、前述のような揺すられる動きが全くありません。

試乗路にはカーブというほどの曲がり道はありませんでしたが、ロールは無理に抑えていないような印象です。多少は荒れた路面を走ることを予想してか、クロスオーバーゆえなのか、スタビライザーの効きを弱くしているような印象です。

スポーティーカーに乗っているような気分になって山岳路を飛ばすと、カーブでは無理ができない走行を強いられると推察されます。もっとも、山岳路を飛ばすような走りとは無縁の車です。都会をおしゃれに走り、安定感と乗り心地の良さを楽しめることが第一なのです。

ステアリング
 当然のごとく、電動パワーステアリングが採用されています。ギヤ比がそれほどクイックではないのか、それとも微小舵角にはあまり反応しないようなサスペンション設計になっているのか、乗り心地のしっかりさとは反対に、若干鈍い操作感覚になっています。とはいえ、遊びが多くて操舵から車が向きを変えるまでに時間がかかるほどではなく、「適度な鈍さ」ではあるのですが、乗り心地との関係において、若干チグハグな印象でした。

恐らく、ロールが比較的大きいことから、あまりシャープな操舵感覚にしてしまうとロールスピードが速まってしまい、車の地上高の高さと相まって「乗員の頭が左右方向に振れる」印象になってしまうのでしょう。ステアリングの効きを調整することで、サスペンションセッティングを決定したと推察されます。

ブレーキ
 ブレーキシステムも、プリウスと同様のECB(電子油圧制御、後輪遅れ込め制御付き)が採用されています。これもプリウスとはかなり異なる印象です。

プリウスの場合には、ECBの悪さでもある、「踏み込み反力の曖昧さ」「ペダル戻りの曖昧さ」が復活してしまった印象でした。

しかし、この車は「アクセラハイブリッド」並みに、固めのペダル踏み応えと、正確に戻ってくるブレーキペダルが実現されています。ECBには全く良い印象がありませんでしたが、この車のブレーキはECBを忘れさせてくれるほどです。

ボデー



 前述の通り、TNGAボデーを採用しております。プリウスに続く第二弾ですが、プリウスの時と同様の、強靭なボデー剛性を感じます。ボデーの剛性バランスも良いようで、突起に対してボデー全体で力を受け止めているような印象です。試乗車は19インチタイヤを採用しており、ボデーへの攻撃性はプリウスよりも大きくなっています。余裕度が低下している印象もなく、また、ボデー後部がハッチゲートになっていて大きな開口部があるという印象も皆無で、高い満足を得られます。

 外観から想像できるように、この車の最大のネックは、「斜め後方視界の悪さ」です。かつてのホンダ CR-Zと同様に、斜め後方の視界は絶望的です。この車の装着されていた「バックモニター」は感知範囲が広く、斜め後方も映し出してくれます。

しかしそれは後退走行をする時のお話であり、一般路で交差点を曲がるときや、高速道路等で合流する時は、バックモニターは作動しません。

この視界が良くない点も、初代セリカ(のリフトバック)を思い出させる点かもしれません。ウエストライン(ドアの金属部分の上端)が高く、屋根が低く、テールゲートガラスも寝そべっている、と、この車は視界を全く考えておりません。初代セリカの頃は、「交通戦争が激しくなり、車の乗員は外界から遮断されたルーミーな(視界を遮った)スタイルを好む。」という理論で車は視界を悪くしていました。この車の場合は「自分達だけ良ければ、周りの人のことなんか関係ないよね」という、今風の狭い人間関係にこもりたがる20、30歳代の人の状況を思わせます。



内装は黒一色であり、セリカから感じる、「かつてのスポーティーな印象」を思い出させます。内装はやや有機的なカーブでまとめられており、柔らかい印象です。二代目日産シルビアや、E110カローラレビン/スプリンタートレノを思わせ、これも以前のクーペ感覚に溢れています。

すなわち、欧州のクロスオーバーやホンダヴェゼルに少々、スバルのレガシィアウトバックが感じさせる、「アウトドア」「大人がキャンプ道具を持ってこの車で出かけ、湖畔でテントや火を焚いてコーヒーを飲む」ようなイメージが全く排除されています。徹頭徹尾、都会派を目指していることがよくわかりました。

まとめ
 1996年頃に登場した、RZN180系ハイラックスサーフには、「スポーツランナー」というグレードがありました。2700ccの4気筒ガソリンエンジンを搭載し、地上高を下げた上でエアロパーツを装着した2WDモデルでした。当時アメリカで流行っていた、GMCタイフーンなどのイメージを狙った「スポーツトラック」のイメージです。そのイメージを近代化し、ショーモデルカーの格好良さを吹き込むと、こんな感じになるのだな、という車でした。いやはや、感服、格好良いです!

しかし、その格好良さについていけない自分を感じてしまいました。この車には、だらしない格好では乗れません。(コロナやブルーバードシルフィに、だらしない格好では乗っていません。)

また、高級クロスオーバーとも異なる、スポーツ用品にも似た、わかりやすくて若々しい格好良さです。フォーマルさを出したレクサスNXやホンダ ヴェゼルなどとは少々方向が異なります。こういう感覚は、なかなか乗り手を選んでしまうのではないでしょうか。販売上は、この点が心配です。車としての出来は、視界を除いて素晴らしく仕上がっていると感じます。

おまけ
 この車を見に来る人の多くは、日産ジュークやホンダヴェゼルに乗ってくるそうです。なんと、買われて半年のヴェゼルを下取りに出してこの車を買った人もいるそうです。この種の車は服と同様、「旬でおしゃれに思ってもらえる期間に乗る」ことに意義が見出されていると感じます。クロスオーバーブームも、参入するメーカーが多くあるものの、若干折り返し点に来ているような印象です。

参照して欲しい記事

トヨタ
プリウス(現行、短距離試乗)
プリウス(現行、長距離ドライブ)

日産
エクストレイル(ハイブリッド)
エクストレイル(ガソリン)
ジューク(中期型)
ジューク(初期型)

マツダ
CX3
アクセラハイブリッド(短距離試乗)
アクセラハイブリッド(中距離ドライブ)

三菱
RVR

スバル
XVハイブリッド
フォレスター(前期型)

スズキ
イグニス

メルセデス
ベンツGLA180
Posted at 2017/02/11 22:16:13 | コメント(1) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年01月09日 イイね!

CH-R,スイフト(1200RS CVT),ソリオAGS-HV,ルーミー(自然吸気)、フリード+(HV)短評

 先日、「何シテル?」に書いたとおり、しばらくの間はみんカラ活動を週末に限っております。しかし、ここのところ試乗によく出かけて行き、我ながら試乗記がどんどん長くなりつつあるために、余裕時間内に書けなくなってしまっております。

 思いつきで平日に試乗記を書くかもしれませんが、書かないかもしれません。しかし、どんどん日にちは立ってしまうために、自分自身の備忘録としてここに寸評を書きます。

12月11日
フリード+ハイブリッド
 フィットHVと基本的なシステムは同一ですが、エンジンがヴェゼルと同様にオットーサイクル化されている模様です。そのためにエンジンの出力が高く、より余裕を持って走行することが可能です。フィットから増加した車重を補って、余りあるほどです。このエンジンがあるのであれば、フィットのRSハイブリッドをこのシステムで出せば良いとすら思えます。

7速ギヤシステムの変速は、モーターアシストと相まって変速ショックは皆無になっています。私は変速ショックがあったほうが現在の段数を認識できるために良いと思うのですが、そういう人は少ないのでしょう。熟成がより進んでおります。

乗り心地は柔らかくもなく硬くもなく、ちょうど良い心地よさです。ロールも控えめになっており、安心して運転出来ることでしょう。

フィットと比較しても、車内が静かなことが特徴です。遮音が行き届いており、エンジン音もロードノイズも、ほとんど入ってきません。ドアのシール性もよく、ドアが閉まりにくいほどです。遮音材やウエザーストリップの効果がよく出ています。

ルーミー(自然吸気)
 誰が見てもわかる、「ソリオ潰し」の車です。実際にはソリオとほとんど同じ「乗せる」機能のまま、動力系統を安く作って市場に受け入れられるか、調べている模様です。かつての「SM-XをbBで対抗した」時と似た作戦です。

エンジンは3気筒1000ccのお馴染み「1KR-FE」と、これではパワー不足と考える方向けの「1KR-VET」エンジンの二本立てです。このうち1KR-FEエンジン搭載車に試乗しましたが、動力性能はギリギリで、なんとか普通に走るレベルでした。登坂路や高速道路では、余裕はなくなることでしょう。そのような使用方法を含めて、このエンジンで登場させてきたのではないか、と思います。

 乗り心地はロールがそこそこ抑えられており、後述するソリオよりも良い印象でした。車体は、若干こちらの方が幅が狭かったように記憶しています。

記事は、こちらです。

1月9日
CH-R(ハイブリッド)
 プリウスで登場したTNGAボデーを採用しているSUVです。それなのになぜか4WDはガソリンエンジンのみという不思議な展開をしております。

ハイブリッドシステムはプリウスと全く同様ですが、エンジンを始動させる際の、あたかもスロットルバルブを少し開けて始動するかのようなショックはなくなりました。スムーズに十分な余裕を持って走行できます。

目線の位置は、乗用車に乗り慣れた方ならちょうど良い高さだと思います。しかし、クーペを感じさせるためなのか、着座位置が少し低かったように感じました。そのため、先端見切りはあまり良くありません。

また、リヤドアの上端が持ち上がり、クオーターピラーも太いために、斜め後方の視界は絶望的です。リヤモニターはその死角を補っておりますが、これはあくまでも後退走行時のお話です。高速道路での合流や、街中での巻き込み確認時には、かなり見えづらくて困ることでしょう。

乗り心地は、19インチタイヤでも十分に履きこなしており、ボデー剛性の高さを改めて感じました。やや固めながら、サスペンションの動きはじめの渋さなどはありません。

 この車を見に来る人は、ヴェゼルやジュークに乗っている人が多いそうで、私の後にもジュークで来た人がいました。すなわち、この種の車の市場は、セダンやミニバン、ステーションワゴンから奪ってくる力がなくなってきていることを意味しているのではないでしょうか?そろそろSUVも飽和に近づいていると感じました。まあ、新世代の「リフトバッククーペ」と考えるとよいでしょう。

スイフト(1200RS CVT)
 スイフトは1000ccターボに乗った方が多いようですが、私が乗ったモデルは1200cc4気筒のCVTマイルドハイブリッドモデルです。

イグニスの際に「エンジンとCVTとモーターとが、協調せずに出力を出そうとしている。」と酷評しましたが、この点が著しく改善されております。モーターアシストは発車時が中心になったようで、その他の際には、「アクセルを踏み増すと、エンジン車ならCVTが変速すべきところでモーターがアシストし、変速を抑制する」制御へと変えています。ホンダのIMAシステムのような印象になりました。乗りやすく、静かに低燃費で走行できそうです。

 ボデーの剛性も高くなり、ミシミシブルブルした、旧型の後期モデルのような印象はなくなりました。旧型初期の「しなやかで柔らかい」乗り心地は既に旧型の途中でなくなり、このモデルでも少し前のトヨタ流の硬さになっています。「しなやかさ」は、ボデー剛性の低さを隠すためだったのでしょうかね?

内装は高級な印象は旧型レベルか、ちょっと後退したかもしれません。とはいえ、このクラスでは良く出来ている方です。ただし、デミオと比較すると、デミオの方がやや上であるように感じます。

ソリオ(バンディットAGS ハイブリッド)
 この車のエンジンは4気筒を採用しており、この点で私はルーミー一家を上回っていると考えます。エンジンははるかに滑らかで、快適に運転できます。

特徴は、AGSシステムとモーターの組み合わせです。AGSは、ギヤチェンジ時にエンジンの駆動力が絶たれ、この間空走してしまうことが難点でした。この空走期間を含めてモーターがアシストし、ショックはほとんど感じません。ちょうど良く出来たトルクコンバーター式AT車に乗っているような感じで、なおかつ、トルクコンバーターならではのスリップがありませんので、ダイレクトな走行感覚も味わえます。出たばかりのハイブリッドシステムながら、協調がうまくいっており、楽しく運転できます。

乗り心地は、直線では柔らかさとしなやかさを感じさせて快適だったのですが、車線変更ではもうダメです。車体がグラッと傾き、運転手の頭も大きくゆすられます。スタビライザーを強めるか、スプリングで対処するしかないでしょう。このままでは、山道走行で運転手すら酔ってしまうことが考えられます。

 このように、寸評でも長くなってしまいましたが、後日、この寸評を膨らませる形で、各車の試乗記を書いてまいります。
Posted at 2017/01/10 01:17:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | 新型車調査 | クルマ

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