
この日のニュースで、春(?)の金八先生スペシャルで金八先生は定年退職、シリーズを終えるそうですね。歴史あるドラマシリーズが幕を閉じることに、一抹の寂しさを覚えます。この私、「太陽にほえろ!」派ですので、金八先生は好きではない時期もありました。特に初期の青臭く熱血漢を振りまく時期がイヤだったなあ。添付の絵は、DVDシリーズのパッケージに使われたドラマ中には存在しないものです。当初は英語の先生と企画されていたようで、良く見ると服装なども違います。
今回は、金八先生シリーズを簡単に振り返ってみます。
パート1(1979年度)
もともとTBSが日本テレビに惨敗していた金曜8時の時間帯に、降って沸いたのがこのドラマです。15歳の母シリーズともいいます。
一般的には太陽にほえろ!を押しのけて大人気になったとされています。現代の荒れる中学に焦点を当て、教育問題を考えるシリーズとされていたからです。しかし、15歳の母シリーズが放送開始1ヵ月後から始まると、「寝た子を起こすな」とか、「教育問題に焦点を当てていない」だとかいう意見もありました。当家も、当初は「太陽ではなくこっちを見ろ」とされていましたが、15歳の母シリーズ開始後は「見なくても良いよ」と言われました。
顔を真っ赤にして起こる金八先生が、なぜか怖く、そして暑苦しかったのを覚えています。
パート2(1980年度)
いわゆる「腐ったみかん」シリーズです。前シリーズよりも校内暴力問題が挙げられました。中学へ乗りつける暴走族などが描かれ、「中学生になるのが怖い」とすら思えるようになりました。私は私立中学へ進みましたが、その動機はここにあるのかもしれません。
私は太陽にほえろを見ていたのか、再放送で金八先生をみていたのか、はっきりとは覚えていません。しかし、金八先生の熱血教師ぶりはさらに加速しまし、真っ赤な金八先生を良く見たような気がします。一般的には「加藤」のことばかり挙げられた様に思われていますが、実際には普通の話もあります。トイレ掃除の話は思い出深いなあ!
パート3(1988年度)
前シリーズ後、雨後のたけのこのように学校ドラマが増えたとかで、一時中断していたシリーズが突然復活しました。校内暴力問題は過去のものになり、いじめ問題も当時としては一段落した頃です。いわゆる「無気力世代」を描いていました。第一話の「ウンコの話」は新鮮でしたが、無気力でたいした事件も起きないことには「ドラマチック」にならず、半年でシリーズは終わってしまいます。
ウイキペディアなどでは「もともと半年の予定であった」とされていますが、当時の不人気ぶりはすごかったですよ。朝日新聞には、当時流行っていた「とんぼ」と比較し、「金八先生の後姿は、どこか過去の人物そのものでさびしげ」と書いたほどです。時代は、トレンディドラマ全盛でした。
パート4(1995年度)
またまた突然復活します。確かこれまでと時間帯が変わり、大学生だった私でも見やすい時間でした。ことのきっかけは、同じ研究室の人が「金八先生に泣けた」と言っていたからです。だまされてみてみると、確かに泣けるんですね。
とくに「いじめられて実際に子供が自殺した事件を金八先生が語る」回や、震災後の神戸を舞台にする回などがそうです。これまでの青臭い金八先生ではなく、ベテランとなって落ち着きを見せるようになった金八先生は、これまでのシリーズとは違った魅力がありました。
このシリーズ、ドラマチック加減が絶妙で、一番バランスがよいシリーズのように思います。
パート5(1999年度) 少し休んでまた復活です。しかし、生徒側主人公の「表裏があり、それでいて美人先生の前では優等生ぶる」第一話の姿になぜだか嫌気が差し、見なくなってしまいました。学校ものドラマとしては演出が行き過ぎるように感じました。
パート6(2001年度)
また少し休んで復活です。このシリーズ、ここの話で見るとなかなか演出が良く、古臭く感じつつも感動的な回が多かったです。耕作が病気になり、金八先生との親子のやり取りもドラマになりました。耕作にガンを告知する回、耕作が風邪をひいて死にそうになる回などは印象的です。その後の「1リットルの涙」など、比べるべくもありませんでした。
その他、親を殺された生徒と上戸彩とが話題の中心となります。前者のほうはドラマチックなるも、上戸彩関係の人気が拡大するにつけ、中途半端にされてしまいました。いろいろ見所は多いのですが、シリーズ全体としては雑多な印象になってしまったことが残念です。
パート7(2006年度?)
麻薬問題シリーズです。演出はさらに加速し、もはや中学生を描いたドラマではないように思えました。そのため人気も減速し、しかも原作者と製作現場とで乖離を生じさせる結果となりました。私はこの作品を録画するも、結局見ずに消してしまいました。なにごとも「ほどほど」にしておくのが良いようです。
パート8(2007年度?)
原作者と製作側が和解し、その結果として製作されたシリーズです。等身大の中学生を描くシリーズで、パート3にも近い雰囲気を持っています。平和は平和なのですが、それこそジャリタレのじゃれ愛を見せられているようで、ドラマとしての面白さが薄かったです。そのためか、最終回も年末もスペシャルにはなりませんでした。
しかし、渡辺正之氏がゲスト出演した回は印象的でした。
劇団の座長をしている渡辺正之。得意は女形だ。劇団の興行収入だけでは団員の給料を払えず、こっそり市の清掃員のアルバイト(公衆トイレ掃除)をしている。そんな父親を、息子は恥ずかしくて格好悪いという。しかし金八先生はこう言う。
「自分が気持ちよくなるための仕事をしている人は格好悪いだろうか?いや違う。みんなのために、自分の手を汚して働く人、それこそが格好良いのではないだろうか?」
うーむ、しびれた!この言葉が今でも頭に響く私は、どうしても「超高級車を、「自分は成功者だ!」という顔をして乗っていること」は、むしろ恥ずかしいこと」であるように思えてしまうんですよね。そんな人よりも、ボランティアとして働く人などが仕事のために乗っている足車の方が格好良く見えるようになりました。もちろん、ストレスたまる仕事を継続するには、どこかで散在しないとやりきれない、ということもよくよく分かりますよ。
しかも、パート2シリーズのトイレ掃除の回の回想シーンも挿入されます。長期シリーズとしての、歴史の重みも描かれています。こんな感じで説教くさいシリーズになってくれれば良かったのですが、結局シリーズとしてのテーマがあいまいにされ、なんとなく終わってしまいました。結局、このシリーズの失敗とひとつ前のシリーズの行きすぎが、金八先生終了の引き金を引いたのかもしれません。
シリーズ開始から32年、当時の映像に映っていた7300,7800系はすでになく、最新型であった8000系も伊勢崎線南部からは引退しました。歴史の流れを感じます。金八先生が終わっても、この精神を受け継ぐドラマの登場を待っています。
金八先生、武田鉄也さん、お疲れ様でした。
Posted at 2011/01/24 00:28:02 | |
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