
以前書いたと思ったのですが、検索しても出てこないなあ。
私は、いわゆるビジネス本を読みません。そもそものきっかけは、高校時代の現代文の先生か英語の先生が、「ビジネス本は、文章が汚い」と言ったことです。当時は、「ビジネス本とは何だろう?」と漠然と聞いていただけで、「あっ、そう」位に聞き流していました。
ちなみに、大学入試に小論文が流行っていた頃で、文体を完成させるために「間違いだらけのクルマ選び」は役に立ったなあ。今これを読むと、まあ随筆としか思えませんが、当時の高校生が読む本としては、ちょっと高度かな??
そして時は流れ、「ビジネス本」の体裁もわかる年になってきました。
いやあ、これはすなわち「バブルかバブル前の若者が読んでいた、デートの方法などが書かれていたという「ホットドックプレス」や「ポパイ」」のビジネス版ですね。こういう時はああする、ああいうときはこうする、などと、まあ具体的ではあるのですが、そう論ずる根拠が曖昧なのです。経済分野以外の科学系文章や論説文、説明文、文学作品と比較しても、話の展開法についてかなり劣ると思うのです。
というのも、よく考えてみればこの種の「会社組織論」は、学問として確立された分野ではないと思います、経営学や経済学、経営工学(今あるのか?)に心理学などが、それぞれの分野で少々触れるだけで、学者がいるでもなければ、明確な論法もなく、いわゆる経営コンサルタントや「一代にして成功した経営者」が、「自分はこうした」と書いてある本が並んでいるばかりです。そうそう、この種の「自慢型経営本」は、もっと読みませんよ。
根拠ない文章は、それだけで読む価値がない、それが持論です。
さて、この人の本そのものは読まぬものの、この論は全く反対です。現状を動かして良いのは、「カンとセンスに優れる人間」だけです。
「太陽にほえろ!」にて、ボスは癖ある部下の特徴を理解し、事件に対してその部下ごとの得意なアプローチ方法を生かします。若手とゴリさんは現場付近の聞き込み、殿下はガイシャの女関係、長さんは近所や親戚の人間関係で、山さんは情報屋か暴力団関係にやります。そして得られた第一次情報を元に推論を立て、そのうちのどこかに注力する一方で、誰か一人は違う方向からの捜査にあてがいます。捜査が壁に当たったら、もう一度現場から、、、。
そう、現場に向かわせるのは、その分野においてセンスに優れる部下です。暴力団関係でも、ガサ入れの時には若手とゴリさんを向かわせますし、女関係も尾行なら長さんを当てる、といった形ですね。
センスがなくったって、ある程度のことは出来るでしょう。しかし、ある程度留まりです。ビギナーズラックはありますが、毎回あるわけではありません。
ボスは係長ですが、現場の長ということでは、優れた人使いをしています。そして大切なのは、操作方針への判断の責任は、自分が負うところにありますね。操作方針の失敗は、自分の推論の失敗。
何と、部下が殉職した場所には、その後もよく訪れているのだそうです。そして殉職の責任を自分の責任と考えているのです。(300話 「男たちの詩」 より)
それともう一つ。世の中には、「前にこれを出して大失敗しているのに、なぜか何年か経ってまた同じ失敗をする」メーカーや、「他社で失敗しているのに、なぜか同じ失敗をする別の会社」があります。ものを製造するには、大変な経費がかかります。個人企業ならまだしも、ある程度以上の、特に製造業では、役員が最終判断をします。
すなわち、センスなき社員が揃う会社であると、「一体何を考えているんだ!」と、世間から思われる製品やサービスを出して、大失敗をしてしまうのですね。「きゅうり味やコーヒー味の炭酸ジュース」や、「高級感を演出していて背が低くて荷物も詰めないミニバン」、「たった数万円安いだけで、作りはもっと安い車」、などがその例です。
若手社員がセンスがないなら、センスがない調査結果や設計になりますし、課長や役員のセンスがなければ、センスなき結果は通過、センスある内容は却下、ともなりえます。
センス不足が会社に不利益をもたらすというのは、何も課長にだけ責任を押し付けられません。センスがない人や会社に、どんな教育をしてもある程度止まり。センスというのは、一朝一夕にできるものではありません。「三子の魂百まで」です。就職の時に本人や面接官が、プロファイリング手法を用いてしっかり選択することが重要で、後天的に教育でできることは、ほとんどありません。
あとですね、、、出来高は重要です。先日も、「若い店長さん向けお店運営マニュアル」を読んだのですが、「売上よりもプロセスが重要」と書いてありました。いや、売上です。ものが売れ、製造費を差し引いた分の差額がレジにどんどん貯まることの快感を身につけさせたり、多少嫌なお客さんであってもお金を渡してくれるなら、ちょっとやそっと嫌な思いをしても、、という気持ちを抱かせるためには、若いうちから商業部門にかかわらせ、お金を得ることの大変さと気持ちよさを学ばせなければなりません。そうすれば、「収益を得るためには日々センスを磨くことが重要」、と、自ずから気づくことでしょう。それを、「事務や作業のプロセス、チームでの成功」などといった、曖昧なものにしてはなりません。
そうそう、
前にも書きましたが、「わからないことをわかるまで考える、知る、調べる」能力も重要ですね。ただ、これはせいぜい20歳代半ばまでですか養成できない能力です。よく教える先生にであってしまうと、不幸かな、その能力は育ちません。
そんなわけで、経営本などというのは私にとっては全く役立たず。全くお呼びでないのです。
Posted at 2012/10/30 23:19:00 | |
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