市場調査会社を後にし、500mほど移動しました。ここは、学校4年目1月から3月まで勤務した、これまた市場調査会社です。ただし、場所を正確には覚えていないこと、その付近は再開発などにより、やや街並みが変化していることなどから、「だいたいこの辺り」を撮影したものです。
恐らくこちらの会社の方が業界大手で、言えば誰もが耳にしたことがある有名な企業です。この会社では、「市場調査会社には、市場調査業務を依頼主から請け負う会社と、実際の調査業務を行う会社がある。」と聞きました。業務内容などから、
その6で書いた会社は調査業務会社だったのかもしれません。どの世界でも、一次請けと孫請け構造になっているのですね。
こちらは大手企業ということもあって、様々な社内体制がしっかりしていました。
入社当初、私が
「調査票のチェックや修正などもした経験がある。」
と言うと、
「調査票のチェックは、責任を取れないアルバイトの人には任せられない。それに修正したら、調査じゃなくなっちゃうよ。そんな信頼性が低い調査はしないよ。前の会社は、いい加減な会社だったんじゃないの?」
と、ごもっともな意見でした。しかし、100はある調査票の一つの数か所の空欄に、最も上でもなければ最も下でもない回答を勝手に入れても、数値上はほとんど変わらないと思うのです。まあ、これはそれぞれの社風なのでしょう。しっかりした会社だと感じました。
また、私などのアルバイトに指示をするのは必ず担当社員で、ベテランのアルバイトといえど下位アルバイトの指揮、指導は絶対にしませんでした。(トイレの場所位は教えてくれましたよ。)
労務時間はコストとしてしっかり管理されており、アルバイトも社員も「どの業務にどの程度の時間をかけたか」退社時に聞き取り調査されます。一事業場内で複数の仕事を請け負っており、費用請求にかかわってくるからかもしれません。
同じ理由で、アルバイト監督社員以外の社員が、私に指示をすることはありません。これまで経験した他のアルバイトは、一事業場で一業務とそれに付帯する雑多な業務でしたので、当時としては変な感じがしました。
また、社員の中には組合活動を認められている人がいて、業務時間中の限られた時間内に、組合の業務を行っていました。余談ですが、その社員にはちょっと言いたいことがあります。
こんなことがありました。
「おい、K(アルバイト監督担当社員)、アルバイト一人買い物に貸してくれないか?」
と発言したことがあり、その直後に私に買い物を依頼されました。私は「貸された」のです。
この職場以外でも、人を物でも貸し借りするような言い方で表現する人がいます。この会社特有のコスト管理上は間違いなく「貸し借り」なのですが、人間として見られていないような気がして、あまり良い気持ちがしませんでした。
その上、「〇〇という本を買って来てください。間違っていたら、ぶったたいてよいですか?」などと言います。当人なりの冗談だったのかもしれませんが、地位的に優位にある者が、冗談とはいえ暴力をほのめかすような発言は、人間関係が出来ていない下位の者にとっては、恐怖を感じさせます。これは、してはならないと思うのです。
労務管理の厳しさは、業務時間中にも感じました。社員もアルバイトもまじめで、発言は1時間に1分間程度聞こえるかどうかというレベルで、皆さん職務に集中しています。業務上の質問はいくらでも出来るのですが、私語や無関係な話題はなく、神経が休まりませんでした。
これは職場では当然のことなのですが、この会社に入りたての学生アルバイトにとっては精神的に厳しいものでした。一番親身に寄り添って話してくれたのは、その職場に営業に来る生命保険会社の外交員だったという、笑えない状態でした。
そのため、この会社で従事した職務はあまり覚えていません。一つは、「市場調査員が調査業務をする上で参照する地図の製作、または、調査地点を記録するための資料」だったように思います。
住宅地図を見て個人宅や周辺地図を抜き出して書類を作成するという、地道ですが調査の基本となる重大な仕事でした。この会社でも基礎業務として重要視していたようで、時間は多少かかっても、丁寧で正確な資料作りを求められました。私語をする体力が奪われ、目と神経が疲れましたよ。
非常に正確さを求められる仕事で、期間を満了する3月下旬には、私の神経はボロボロになってしまいました。
しかし最終日にK社員は、笑顔で私に接してくれました。
「今までご苦労様でした。また時間が空いたら、働きに来なよ!」
ボロボロだった私の心に染み入る言葉でしたが、この後の時期は学校で研究が忙しくなるために、これが最後のアルバイトになる見込みでした。しかし、
その6の仕事の時と同様に、この職場でもう少し周囲の方々との人間的対話をしていたら、もしそれが出来なかったとしても、私が退職後にK社員に「就職活動で話が聞きたい」と話をする場を設けていたら、もしかしたら私の就職活動は変わった結果になっていたかもしれません。
そんなわけで、これまでの職場とは違い、この職場で私の人間的な成長はありませんでしたが、一流企業というのは「人を怠けさせる時間を作らない」ことがよくわかりました。
Posted at 2022/04/01 22:41:26 | |
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