「 ニュータイプ同士の戦い 」 宇宙世紀編 #50

アムロ　　「やるしかないのか。逆方向から？…」
シャア　　「チィッ」
アムロ　　「よけたのか！？」


　ジオングのオールレンジ攻撃を避けるアムロを見て、思わず舌打ちするシャア。ガンダムの狙いすました一撃をカンで避けたシャアを見て、アムロもまた驚愕する。


シャア　　「しかし、私もニュータイプのはずだ。…ガンダムめ」
アムロ　　「　シャア！　」


　新型のモビルスーツが赤く染められていなくとも、アムロはそれがシャアであることが判った。


アムロ　　「こう近付けば四方からの攻撃は無理だな、シャア」
シャア　　「うっ。ガンダム」
アムロ　　「　なぜララァを巻き込んだんだ？
　　　　　　　　ララァは戦いをする人ではなかった　」
シャア　　「チィッ」
アムロ　　「シャア」


　シャアは激しい焦りを感じ始めていた。ニュータイプ用に開発されたこのジオングのパワーを最大限に発揮できぬ自分に。あのガンダムのパイロットは今確実に自分を追い込んでいる。


シャア　　「ガンダムのパイロットはアムロといったな。どうする？
　　　　　　　　　　あのニュータイプに打ち勝つ方法は？ん？ララァ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　教えてくれ。どうしたらいいのだ？」


アムロ　　「どこだ？シャア」
シャア　　「ガンダム」


　ガンダムの放ったビームライフルがジオングの胸部を一撃した。しかしそこはコクピットではなかった。　　ジオングのコクピットは頭部と胸部に設けられており一般兵による操縦は胸部で行なわれていた。サイコミュの操作系は頭部のコクピットで行い、当然シャアはそこにいた。頭部は脱出モジュールとしても設計されており、頭部のみの稼動も可能であった。


アムロ　　「ううっ、…シ、シャアめ」


　ジオングの脱出モジュールだけでシャアは逆襲に転じた。攻撃がガンダムの頭部を直撃する。


アムロ　　「まだだ、たかが　メインカメラをやられただけだ　」
　


ジオン兵A「ジオング撃墜。識別信号解除」
キシリア　「　赤い彗星も地に落ちたものだな　」


　ジオング撃墜の知らせを聞いて、キシリアは突き放したように呟いた。


キシリア　「しかし、ガンダムのパイロットがニュータイプとして
　　　　　　　　異常発達したものならば、やむを得ぬというところか。そうだな？」
トワニング「は、閣下」
キシリア　「私の脱出15分後にここを降伏させるがよい」
トワニング「し、しかし」
キシリア　「グラナダの戦力と本国の戦力が残っているうちにな」
トワニング「し、しかし、今となっては脱出こそ至難の業かと」
キシリア　「　私が生き延びねばジオンが失われる　」


　当初Ｎフィールドにおいてはジオンが優位であったが、キリシア少将のギレン総帥の殺害という出来事がジオンの指揮系統に大きく混乱を招き、ドロス級大型空母2隻が撃沈。これによりア・バオア・クー攻略戦は連邦軍に有利な展開になっていた。


アムロ　　「シャアだってわかっているはずだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　本当の倒すべき相手がザビ家だということを」


　シャアの気配を感じとり、コクピットから脱出するアムロ。ガンダムとジオングの最後の攻撃が交錯した。
シャアはジオングの頭部脱出モジュールをすて、遂にガンダムは墜ちた。


アムロ　　「シャア、いるな」


　アムロとシャア、最後の対決は肉弾戦をもって決せられることに。


シャア　　「その力、ララァが与えくれたかもしれんのだ、ありがたく思うのだな」
アムロ　　「　貴様がララァを戦いに引き込んだ　」
シャア　　「それが許せんというのなら間違いだな、アムロ君」
アムロ　　「な、なに？」
シャア　　「戦争がなければ、ララァのニュータイプへの目覚めはなかった」
アムロ　　「それは理屈だ」
シャア　　「しかし、正しいものの見方だ」
アムロ　　「それ以上近付くと、撃つぞ」
シャア　　「今、君のようなニュータイプは危険すぎる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　私は君を殺す　」