2007年11月08日
第49話「生命散って」
宇宙世紀0088年2月20日。
遂にグリプス2周辺空域で、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズによる三つ巴の総力戦が開始された。
損壊したアクシズから離れたアーガマは、グリプス2の空域目指して全速で航行していた。その頃、ラーディッシュ以下のエゥーゴ艦隊は、アクシズとティターンズの総攻撃を受けて後退を余儀なくされていた。
クルー 「ルネ、撃沈されました!」
ヘンケン 「ラーディッシュの被爆状況を知らせ!」
クルー 「確認します!」
ヘンケン 「沈むなよ、もうすぐアーガマが来る」
ラーディッシュなどエゥーゴ艦隊が苦戦する中、グラナダから引き返してきたアーガマはモビルスーツ隊を発進させるが、離艦直後にカミーユがジェリド、エマとカツがヤザンのハンブラビ隊に捉まる。
エマ 「カツ、ドッキングするわ。用意して!」
カツ 「わ、わかりました」
ヤザン 「何?うぁ!」
エマ 「カツは退避して!は?カツ、戻って来なさい!」
カツ 「まだ戦えます!」
エマ 「カツ!」
GディフェンサーとドッキングするエマのMk-II。Gディフェンサーから離脱したカツは、エマの制止も聞かずコックピットブロックで参戦する。
ヤザン 「ネズミがチョロチョロと!」
カツ 「そんなもの!」
エマ 「カツ、離れて!」
カツ 「え?あぁ!うわぁぁぁ!」
ヤザン 「なめるからだ」
エマ 「カツー!」
サラ (カツ…人は正直すぎてはいけないのよ。
でも、それが美しい事だって私に教えてくれたのはあなたよ。
だから、私はこの世に生まれてきて良かったと思ってるの。
あなたと出会えて本当に良かったわ、カツ)
カツ 「サ、サラ。また君に会えるんだね」
サラ (そうよ、カツ。)
カミーユ 「ん?カツ!」
ファ 「え?」
クワトロ 「なんだ!?」
ブライト 「カツ!」
ヤザン 「ネズミは仕留めた。次はお前だ」
エマ 「よくも!そこ!違う…。手応えがない」
ヤザン 「もらった!」
カツ (エマ中尉、後ろです!)
エマ 「え?」
ヤザン 「死ねぃ!」
エマ 「あぁぅ!」
一時はヤザンを翻弄したカツだったが、不注意から浮遊する隕石と衝突し、更にハンブラビの攻撃を受け戦死する。激昂したエマはヤザンに猛攻をしかけるが、後ろを取られて被弾する。
ヘンケン 「ん?Mk-IIだ」
クルー 「はい、被弾している模様です」
ヘンケン 「エマ中尉が…」
クルー 「艦長、ラーディッシュ、Mk-IIへ接近させます」
ヘンケン 「だめだ、ラーディッシュは…」
クルー 「エマ中尉をこのまま見殺しにはできません」
ヘンケン 「すまない…。ラーディッシュ前進!目標Mk-Ⅱだ!」
ヤザン 「ふっ、隠れてもムダだ!な、何だ?」
エマ 「ラーディッシュ!ヘンケン艦長!」
ヘンケン 「左弦、敵モビルスーツを叩き落せ!」
エマ 「ヘンケン艦長、無茶です!撃沈されます!」
ヘンケン 「中尉が無事ならいい。ラーディッシュを楯にしろ!」
エマ 「ヘンケン艦長!逃げて!」
ヤザン 「落ちろ!」
エマ 「ヘンケン艦長!」
Mk-IIの窮地を察知したラーディッシュは、ヘンケン以下クルーが一丸となりエマ救出に向かう。しかし、エマの盾となったラーディッシュはヤザンの攻撃をまともに受けてしまい、ヘンケン達はエマの無事を確認して息絶える。
カミーユ 「ラーディッシュが…やられたというのか?うわっ!」
ジェリド 「ふっはっは!カミーユ、掴んだぞ!」
カミーユ 「ジェリドか?」
ジェリド 「そんなことで、このバウンド・ドックは落ちないぜ!」
カミーユ 「貴様のようなのがいるから戦いは終わらないんだ!消えろ!」
ジェリド 「オレを戦いに駆り立てたのは貴様だ!
そんなこと言えるのかよ!
オレは貴様ほど、人を殺しちゃいない!」
カミーユ 「オレは、人殺しじゃない!」
ジェリド 「オレがこの手で殺してやる!
そしたら戦わずに済むだろう。う?ぐあぁぁぁ!」
カミーユ 「あっ…はぁ…はぁ…。みんな死んでいく。
こんな死に方…うぅ…」
カミーユは怒り心頭し、組み付いていたジェリドのバウンド・ドックを払いのけ、ビームライフルの乱射を浴びせる。最初はZの攻撃をかわしていたものの、遂に被弾し衝撃で弾かれたバウンド・ドックはラーディッシュの爆発に巻き込まれる。カミーユによって戦いに駆り立てられたジェリドは、カミーユの手によって最期を迎える。
シロッコ 「ん?不愉快だな、この感覚は」
レコア 「は?」
シロッコ 「生の感情丸出しで戦うなど…。
これでは人に品性を求めるなど、絶望的だ。やはり人は、
より良く導かれねばならん。指導する絶対者が必要だ」
レコア 「この戦いが終われば、人は変わるのでしょうか?」
シロッコ 「変えるのだよ。それをやるのはレコア、君かもしれない」
レコア 「私は、あなたに賭けたのです」
シロッコ 「共に、戦おう」
レコア 「はい」
カミーユは損傷激しいMk-IIをアーガマに連れ帰り、再び戦場へ戻った彼はレコア並びにヤザンと対峙する。レコアとヤザンの攻撃に苦戦を強いられるカミーユ。その頃ハマーン、シロッコ、シャアが戦場で対峙していた。
ハマーン 「モビルスーツ隊を全て出す!狙いはジュピトリスのみ!
ん?シロッコか。何だ?シャアか!」
シロッコ 「来たな!」
ハマーン 「シャア!」
クワトロ 「今度はジ・Oか!」
シロッコ 「そんなモビルスーツで、
このジ・Oと対等に戦えると思っているのか、シャア!」
クワトロ 「えぇい!」
ヤザン 「Ζガンダム、共に死ねぃ!」
レコア 「は!?」
カミーユ 「うぅ、あのモビルスーツ、レコアさんか!」
レコア 「邪魔するな!」
ヤザン 「シロッコの女か!挟み撃ちにするぞ!」
カミーユ 「レコアさん、自分が何をやっているか、
わかっていないんだ。カツだって死んじゃったんだぞ!
ヘンケン艦長だって!しまった!うわぁ!」
レコア 「カミーユ、あなたが迂闊なのよ。
せめて直撃で即死させてあげるわ。あっ!」
エマ 「カミーユ!」
ヤザン 「ガンダム!えぇい!」
エマ 「カミーユ、死にたくなければハンブラビを追って!」
カミーユ 「はい!」
そこへ応急処置をすませたエマのMk-IIが現れ、カミーユはヤザン、エマはレコアと戦闘になる。互いの思想をぶつけ合うエマとレコア。
エマ 「レコアさん、あなたにはカツの声が聞こえなかったの?」
レコア 「カツ?カツがどうしたの?」
エマ 「死んだわ」
レコア 「え?」
エマ 「ヘンケン艦長も死んだわ。あなたは何も感じなかったの?」
レコア 「そうか、あの時…」
エマ 「みんなは感じたのよ。
そしてみんなあの二人のために心の中で泣いたわ。
でもね、レコアさん、あなたが死んでも、
誰も泣いてくれないんじゃない?それでいいの?」
レコア 「誰もいなくていい!それがあたしの選んだ道よ!」
刺し違えた二人だったが、パラス・アテネが爆発しレコアが散っていく。エマは機体から抜け出すが、ヤザンの攻撃で吹き飛んだパラス・アテネの残骸で体を強打する。
カミーユ 「レコアさん、エマ中尉」
ヤザン 「Ζ!逃がさんぞ!」
カミーユ 「貴様、人が死んだんだぞ、いっぱい人が死んだんだぞ!」
ヤザン 「お前もその仲間に入れてやるってんだよ!」
カミーユ 「遊びでやってんじゃないんだよ!」
ヤザン 「何だと?あ、あれは?」
カミーユ 「命は…命は力なんだ。命はこの宇宙を支えているものなんだ!
それを、それを、こうも簡単に失っていくのは、
それは、それはひどいことなんだよ!」
ヤザン 「こいつ、何だぁ?」
カミーユ 「何が楽しくて戦いをやるんだよ!貴様のような奴は屑だ!
生きていちゃいけない奴なんだ!」
ヤザン 「あ、あの光、バリヤーなのか?」
次々と人々が死傷するのを目の当たりにして激情し、ニュータイプ能力が臨界に達したカミーユ。突然、機体にオーラを纏ったZは、ハンブラビのビーム攻撃を弾き始める。逃げ出すハンブラビに追いつきトドメを刺すZ。機体が爆発する瞬間ヤザンは脱出ポッドで離脱する。カミーユは宇宙を漂う瀕死のエマを回収し、二人は空域に浮かんでいた廃艦に辿り着く。
次回《 最終話 》予告
生き残った者たちが行くところは何処だ?
その予測も立たないままに、人は人の生き血を吸う。
シロッコのせせら笑いは、最期のあがきとは思えなかった。
Ζが呼ぶ最後の力。呼び起こすのは誰だ?
次回、機動戦士Ζガンダム、宇宙を駆ける。
君は刻の涙をみる・・・
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2007/11/08 08:06:14
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