2007年12月16日
オペレーター「熱源、無数に発生」
クラップのブリッジでオペレーターが絶叫した。
アデナウアー「何?」
クラップ艦長「回避だ」
アデナウアー「馬鹿な、条約違反だ」
ブリッジの左右に閃光が走り、目の前で爆発が起こりながらも、アデナウアーは、自分の信じていたものが間違っていたことを認める気にはなれなかった。ルナ2の幾つもの港口にも、ホーミング・ミサイルが飛びこみ、ルナ2は真っ赤な炎に包まれた。後方に位置していたクラップは、第一波の直撃は免れ、退避行動に移ったものの、直撃を受けて爆発する艦艇がほとんどだった。
ギュネイ 「クェス、実戦の空気を感じるだけでいいんだ、ついて来い」
クェス 「了解」
ネオ・ジオン軍の各艦艇から、モビルスーツの射出が開始され、ムサカからも青く塗装されたギュネイのヤクト・ドーガと赤く塗装されたクェスのヤクト・ドーガが発進していった。
クェス 「すごい」
ルナ2は真っ赤に焼けていた。しかも、内側からの誘爆で各所が膨れ上がり、その光景はクェスの頬を引きつらせた。
レズン 「来やがった」
レズンは無駄のない動きで、モビルスーツを打ち砕いていく。
レズン 「あたしだけで掃除してやるよ」
その空域はクェスにとって、自分を拒絶しているかのように感じた。
ギュネイ 「来た」
クェス 「ギュネイ」
クェスはギュネイの後ろに回った。
ギュネイ 「くそっ」
クェス 「ああっ…、戦争か。ギュネイ。うっ」
いろいろな種類の狂気がクェスを襲い、クェスは動きを止めた。しかし、それは一瞬のことだった。
クェス 「来るなーっ」
クェスの癇は激しい。サイコミュを通して、巨大な思惟のうねりを感知し、その煩わしさにカッとなって、攻撃した。
ギュネイ 「ルナ2の制圧が目的なんだから。クェス」
しかし、クェスはそれらの思惟のうねりの中に、妙にシャープな色のする思惟を感知していた。それは、どんな混濁した思惟よりも、クェスを刺激した。それはルナ2の北側の空域からきた。
クェス 「あんな所にも隠れているのがいる」
色のついた思惟がクェスの大脳を刺激し、クェスを不愉快にしていた。
Posted at 2007/12/16 08:20:37 | |
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2007年12月15日
7時半からの、地区の寄り合いが、休憩無しで今も続いています。
来年度の地区の区長を決めなければならないらしいんですが、今日の会議を招集した現役員からの原案もなく、会議は踊っています。
参りました…

Posted at 2007/12/15 22:40:37 | |
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2007年12月15日
ルナ2はつぶれたレモン型をした小惑星であるが、もう惑星と呼ぶのは妥当ではない。地球圏に運ばれてからは「石っころ」と呼ばれることもあった。今、その周囲には十数隻の地球連邦軍艦艇が、ネオ・ジオン艦隊が来るであろう方位に船首を向けて待機していた。
オペレーター「ネオ・ジオン艦隊確認、
スウィート・ウォーター発進時と数、同じ」
アデナウアー「艦長、我がクラップはなぜ前に出ないのか?シャアに失礼だろ」
アデナウアー・パラヤは、シャアとの交渉の後、事態が彼の予定通りに動いていることに有頂天になり、艦長に怒鳴るように言った。
クラップ艦長「私は貴官の安全を守らなければならんのです」
そう言われれば、さすがに、アデナウアーとしても、それ以上抗弁する気はない。しかしネオ・ジオン軍の隊形に、クラップ艦長は深刻そうな顔を見せた。
クラップ艦長「横に散開していますな」
アデナウアー「竿で侵入するはずだが」
さすがにアデナウアーも、シャアの約束違反を見つけて、疑いを抱いた。
クラップ艦長「偵察機、発進」
艦長の命令に、アデナウアーは、正面の窓の方に身を乗り出して、三機のジェガンが、ネオ・ジオンの艦隊の方位に行くのを見送った。
ネオ・ジオンの艦隊は、ムサカを中央において、左右、上下に散開する布陣になった。その隙間に三機のジェガンが進み、最後尾まで回り込んだ。そこにはダミーのレウルーラ以下三隻の艦艇のシルエットがあった。
ムサカ艦長 「砲撃開始だな」
その敵のモビルスーツの動きを見て、ムサカの艦長がブリッジのクルーに確認した。
クルーA 「はっ」
中央のクルーがホイッスルのスイッチを入れると、艦内にするどい笛の音が走った。
ナナイ 「モビルスーツ部隊、砲撃開始30秒後に発進」
最大仰角になっていた各艦の砲が水平にもどり、その向うでは、偵察のジェガンが、レウルーラがダミーであることを知って、うろたえているように見えた。艦砲射撃の閃光が、ムサカのブリッジを満たし、ネオ・ジオンの艦隊のミサイルとメガ粒子砲のビームがルナ2に走った。
その光に包まれた偵察部隊のジェガンこそ哀れだった。集中攻撃を受ける形になって、あっという間に、直撃を受けて消失した。しかし、そんなモビルスーツの爆発も、その直後にルナ2に沸きあがった光の渦に比べれば、線香花火のようなものだった。
Posted at 2007/12/15 08:21:00 | |
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2007年12月14日
ギュネイ 「クェスめ、まったく離れない」
二機のヤクト・ドーガがテスト飛行をしている。数回のテスト飛行であったが、クェスの操縦はギュネイさえもしのぐほどになっていた。
ムサカ艦長「たいしたものだな」
クルー 「目標のルナ2との航行射軸、固定」
ムサカ艦長「ようし、射軸固定、各砲座、最大仰角」
ナナイ 「ヤクト・ドーガ、収容」
ナナイが声をかけると二機のヤクト・ドーガはモビルスーツ・デッキに戻ってきた。クェスがコックピットから出ると、レズンとギュネイが言い争いをしている。
レズン 「ガキが実戦に入るのかよ?」
ギュネイ 「いけないか?」
レズン 「強化人間が何言うの」
ギュネイ 「俺はニュータイプだ」
レズン 「はははははっ」
クェス 「ギュネイ、よしなよ。普通の人相手にするなんて」
レズン 「…」
レズンが持っていたスパナを投げた。ギュネイとクェスがそのスパナを避けるとスパナは後方に流れていった。
ギュネイ 「レズン」
クェス 「よしなよ」
レズン 「ほんと、普通じゃないみたいだね」
クェス 「そう思うよ」
レズン 「かわいいよ」
* * *
一方、シャアのレウルーラは、アクシズに向かってスウィート・ウォーターを出港しようとしていた。港口を出るとシャアが声をかけた。
シャア 「アルパ・アジール、牽引」
クルー 「牽引ワイヤー発射」
アルパ・アジールをモビルスーツと呼ぶのは、適切でないかもしれない。完全な人型ではないからだ。肩に相当する部分は、甲板のようにせり出している。その下にはレールを走るメガ粒子砲が装備され、そのコントロールもサイコミュで行われる。脚のように見えるのはブースターユニットで、腰のあたりから伸びたスカートが、それを保護していた。アルパの機体のスケールは、モビルスーツ・デッキに収容できるものではない。レウルーラから伸びた牽引ワイヤーがピンと張っていた。
Posted at 2007/12/14 07:34:06 | |
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2007年12月13日
アデナウアー「あのルナ2には、
旧世紀からの核兵器はどのくらい貯蔵されているのか?」
クラップ艦長「は、ネオ・ジオンの艦艇を百回殲滅するだけの量はあります」
アデナウアー・パラヤの乗ったクラップ艦長は無愛想に答えた。艦長はこのアデナウアーとは、なんとしてもそりが合わないのである。
アデナウアー「シャアはそれを知っているんだ。彼は懸命だよ」
クラップ艦長「我々ロンド・ベルは
戦争をしたがっているとおっしゃるんですか?」
アデナウアー「ああ。地球からはそう見えるな」
アデナウアーに言わせれば、こうなるのである。
オペレーター「参謀次官、スウィートウォーターの放送です」
クラップ艦長「上のモニターで」
クラップ艦長がアデナウアーのために、ディスプレーの一つを開いた。
アデナウアー「ん。電波状態は、良好だな」
クラップ艦長「旗艦のレウルーラが後方か」
オペレーター「数はそろっています。あ、いや、情報より一隻多いや」
アデナウアー「シャアは正直なんだよ。
これで地球の敵は、本物の宇宙人ぐらいになったな」
アデナウアーは自分の手柄を誇るように答えて、テレビ画像に見入った。
クラップ艦長「我々に新しい職業がありますかな?」
アデナウアー「地球には海岸掃除の仕事が山ほどあるよ」
クラップ艦長「くっ、くーっ」
クラップ艦長は、その時、アデナウアーの頭を殴りつけようと、拳を振り上げてみせた。
そのスウィート・ウォーターの放送が終了して間もなく、ブライトがカムランから受取ったファイルを読んで呆れていた。
ブライト 「ルナ2以外に核弾頭が15基もあったとはね」
カムラン 「しかし、会計監査局扱いの物ですから
博物館行きの代物ですよ、気をつけてください」
ブライト 「あなたは罪にならないんですか?」
カムラン 「現行の連邦政府が生き続ければ終身刑ですね」
ブライト 「いいのですか?」
カムラン 「私はミライさんに生きていて欲しいから、
こんな事をしているんですよ」
ブライト 「昔のフィアンセにはそう言う資格があります」
カムラン 「ありがとう」
カムランはブライトに礼を言うと、自分の推測を確認するために言った。
カムラン 「ネオ・ジオンの全艦隊が
武装解除の為に発進したって放送、嘘ですか?」
アムロ 「でしょうね。見せかけですよ」
アムロがブライトに代わって答えた。
Posted at 2007/12/13 07:34:53 | |
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