ミズバショウを見に行ったのは5月の上旬のこと。
そこで会ったご夫婦が、黄色い花が咲く6月も良いですよと教えてくれました。
第2週あたりを狙っていましたが、どうも空模様はアヤシイみたい。
さらには黄色い花は6月上旬までが見頃と、今になって知って大慌て。
行くなら明日(6/5)か…
往復500キロの距離は、日帰りではちょっとシンドイな。
今回はエムちゃんに乗っていくんだけど、ペラペラのシートで走ったら、尻が4つに割れちゃう。
どうせなら一泊して、近隣の林道も走ってみましょうか。
近隣でリーズナブルな「民宿ほら」さんに電話してみると、運悪く臨時休業。
じゃらんや楽天トラベル なんかで探してみると、平日だというのに空きが見つかりません。
梅雨入り前の貴重な晴れ日だからね。
いまは自分も含め高齢者が多いから、平日も人が増えてるし。
どうやって行き着いたのか分からないけど、検索していたら Booking.comってサイトで格安を発見しました。
高山駅前、素泊まり税込み2,600円、あと1室!。
即予約。
まぁ野宿も選択肢にはあったけど、林道走って 湿原歩いて 汗かいて。
ヘロヘロでバス停なんかで寝る元気はないから、どんな宿でもありがたいです。
そうだ高山にはオートバイの駐輪場なんて ないかも知れない。
予約した宿に、駐輪場はないかメールで問い合わせると、いくつか候補をあげてくれました。
3年前、西宮のクラス会に出かけたときは、交番のおまわりさんも探してくれたけど、見つからなかったんですよ。
こちらも即予約。
48時間停めて300円とはありがたい。
荷造りと言っても、リュックにパンツとシャツが増えるだけだから、日帰りと変わらず。
22時就寝。
3時15分起床。
まだ早いから、朝食はどこかで食べることにして、出かける前に家族を起こさないように 静かに風呂洗い。
天気予報では、飛騨の最低は15℃、最高は28℃。
カッパを持っていけば万が一の防寒着にはなるかな。
メッシュジャケットで真夏のイデタチ。
04:15
空いた道を流します。
XLRより、ペースは10~15キロ遅目だけど、時間に余裕はあるからね。
国道41号線を北上し、名古屋市内を抜ける頃、太陽が顔を出します。

気温は15℃ぐらいかな。
寒いということもなく、自分には快適な気温。
04:50
七宗町
けっこう寒いと思ったら、いつの間にか気温11℃。
まだガマンできないほどじゃないので、このまま行きます。
06:00

いい位置にあります、Dailyヤマザキ。
下呂金山まできました。
06:20

おにぎりに缶コーヒー。
仕事に向かうだろう車が入れ代わり立ち代わり。
半数の車が、エンジンかかったままご主人が戻るのを待ってます。
ここらへんでは当たり前なんでしょうね。
朝飯食べて、少しストレッチで躰を温めてから走り始だすと、ものの5分で震えが止まらない。
先月とまったく同じパターン。
意識していないのに、躰がハンドルをガクガク揺さぶる。
SIX PADでビリビリやってるみたい。
10分ほどで震えも止まり、下呂温泉病院まで来ました。
いかにも効きそうな名前。

病院脇の小道を行くと、林道下呂小坂線。
07:30

長年国道を通っていながら、並行して こんな道があるなんて知りませんでした。

アジサイの一種かな?
未舗装はそれほど続かず、じきに三叉路。

右が林道の続きで、観音峠方面。
07:55
このあたりはほとんど電波が来ないみたい。
見晴らしがきく場所でも、その方向に基地局がないんだな。

かろうじて電波を拾える場所に立て看板があります。
定期的な見回りをしているらしい人たちと会ったので、軽く挨拶。

観音峠。
ここは「タカの渡り」が見られる場所として、よく紹介されています。
鷹が渡りをするなんてピンときません。
08:20

見晴らしには東屋がありますが、柱が朽ちていつ倒れてもおかしくない状態。

この展望も、5年10年したら伸びた樹木で見えなくなってしまうんだろうな。
景色を眺めている横を、先ほどの見回りの車両が通っていきます。

あれ?
チェーンが張られてる。
無理か…と思ったら、さっきの人たちがユルユルにしていってくれたのか、普通にくぐることができます。
通行禁止と書かれているわけじゃないからね、と言い訳しながら通過させてもらいます。
08:45
大規模に崩れたのか、復旧工事中。

人影はありません。
09:00
なかなかいい道でした。
北側もチェーンが張られていて、同じくユルユル。

通行止めと明記されています。
こちら側から来ていたら、引き返してたな。
09:15
下呂市小坂にある、旧 夢みどり館。

とても営業しているとは思えません。
わりと最近まで 地域復興に取り組んでいた様子だけど、
見つかった記事はこの1件だけ。
数年前に来ていれば、おいしいケーキを食べることができたかも知れない。
隣には、下呂市指定の重要文化財、清原家住居があります。

公開時間9時を回っているけれど、門が開けられる様子はなし。
「休館日」というのは文字通りにとれば「休み」なんだけど、開く日もあるんだろうか?
今日は間違えませんよ。
自動車専用道は避けます。
昼には早いけど、この先林道に入ると買い物もできないので、なにか仕入れていきますか。

道の駅 アルプ飛騨古川の敷地内?

えごま工房で、コロッケを買いました。
「飛米牛コロッケ」は、飛騨の米を食べて育った牛の肉なんだそう。
10:50

まだ採れるところでは採れるんだ、ワラビ。

駐車場で伏せているツバメ
よく飛べない若鳥が落ちてしまったのかと思ったら、どうやらこうしていたいようです。
他のお客さんが心配そうに近寄ると、アッチ行け みたいに見える反応。
ツバメって黒だと思ってたけど、青い種類もいるのかな?
数河まで来ています。

洞-数河線への道は、集落の奥に口があって分かりづらく迷ったけれど、たどり着きました。
ここから池ヶ原湿原方面へ北上します。
11:30

フラットで走りやすい。

山が迫る崖っぷちのような圧迫感がなく、展望はきかないものの開放感はあります。

今日の目的地の一つ。
道路際には「ソレ」があることを示すものは何もありません。
12:30

道があっただろう斜面を進みます。
急ではありませんが、転ぶとけっこう下まで滑っていってしまいそう。

昔は手すりがあったんですね。
パイプは腐るだけでなく大きく曲がり、長年放置されているのが分かります。

現れました、ニコイ大滝。
5月にお会いした御夫婦が、あの滝は見ておくと良いですよ、と教えてくれたんです。
整備もされず、公はむしろ来て欲しくないと考えているよう。
12:35
しばし滝を眺めて、崩れかけた手すりをたどって奥に進むとトンネルがありました。

迷うことなく入ります。
12:45
中は真っ暗闇。
30メートルぐらい手探りでも行けるだろうと進むのですが、まったく向こうからの明かりが見えません。
これ、ヤバいかも…
いったん引き返します。
戻って看板をよく見ると、全長134m!
30mは高低差でした。
これは手探りなんて無理だ。
そうだテレビドラマなんかで、スマホで照らしてるのを見たことがあります。
生涯、スマホのライトなんて使ったことがなくて、ネットで点け方を検索。
かろうじて電波が届く場所だったので助かりました。

かなりの勾配で、行けども行けども暗闇が続きます。
スマホの電池が切れたらどうしよう。
こういう場所って、誰もいないことが恐怖心を煽りますね。
いないはずなのに、誰かいそうな気がする…とか。
這々の体で出口に到着。

なんとも変わった橋、、、
補強のために置かれた「枠」?
よくよく見ると「枠」は 過去に手すりだったもの。
腐って倒れちゃったんだ。

ここが滝の上。
13:00
戻りましょう。

トンネル内にはところどころに配線と思しき線が残っています。
照明があったのでしょう。
明かりが見えると安堵します。

古川で買ったコロッケが昼ご飯。
13:10
トンネルは予想外、疲れました。
これだけの滝が放置されているのは もったいない気もしますが、整備したとしても 観光客が元を取れるだけのお金をこの地に落としていってくれるかと考えれば、しかたのないことです。

池ヶ原湿原に向かいます。
この周辺は林道が入り組んでいて、どっちに走れば良いのかよく分かりません。

間違いなく道なのですが、交通がない道が花畑になってます。
13:40

黄色い花の花びらには艶があって、陽の光を反射します。

1ヶ月ぶりにやってきましたよ、湿原。
湿原の管理をしている人達が乗ってきただろう車が数台ありますが、駐車場は空っぽ。
ミズバショウの季節ほどの来訪者はないのかな。
13:50

深呼吸したくなる景色。
人工物である桟橋が違和感なく溶け込むのが不思議です。

アヤメも見えますね。
富山のご夫婦が、ここから眺めると良いですよと教えてくれた場所。

花の黄色は若い草の緑に溶け込んで、想像していたお花畑とはちょっと違う印象。

黄色い花はリュウキンカとサワオグルマ。

ほんとに静か。
高山のホテルに16時チェックイン予定と伝えておいたけど、もう1ヶ所寄りたいところがあるので、その時間にはちょっと無理かな。
14:50

5月にもちょっとだけ立ち寄った、板倉の里、宮川町種蔵地区。
歩いてみたかったので、またやってきました。
15:10

この地区特有の「蔵」がいくつも残っています。
高い場所に位置する土地は災害に強いとされていますが、それは別の苦労と引き換えだったに違いありません。
集落の人達が協力することは、生活をまもるための必須条件。
そんな生活を疎ましく思う人種には、耐えられないでしょうね。

蔵は今 使われている様子がありません。
空き家になった家屋もあります。
この景観を維持していく活動も行われるようですが、日本の各地が同じ悩みを抱えているでしょう。
気力や思いだけではできないこともあります。
さ、宿に向かいましょ。
15:35
そうだ、リザーブに切り替えてからずいぶん走っているんだった。
そろそろタンクがスッカラカンになります。

国府町のJAスタンドで、5.4L給油。
あと0.5L残して、ギリセーフでした。
16:15

高山市街地まで来ました。
名古屋起点で考えると、飛騨も高山も遠いので、飛騨と高山が近い…って感覚にならないんです。
アタマの中では分かってるんですがね。

教えてもらって、ネット予約した駐輪場に到着。
16:35

本日の走行、300キロ強。
今日の宿は、管理者がいなくて、チェックインはすぐ近くの別ホテルで行うようです。
ヘルメットと荷物をぶら下げて、5分ほど歩くとRELAX HOTEL。

パット見ホテルって感じじゃなくて、どこかアヤシイ気がしたのですが、入ってみるととてもキレイ。
フロントは外国人お二人。
流暢ではないけれど、丁寧な日本語で説明してくれました。
日本語は難しい?
と問うと
とても難しい。
英語を交えて話したんだけど、ちゃんと日本語で返事をしようと頑張ってました。
駐輪場を調べて教えてくれたのは、この人たち。
とても助かったとお礼を伝えて宿へ。

KOMOREBI HOSTELに到着。
玄関も部屋も暗証番号で解錠するのが、年寄には馴染めないね。
17:00

2段ベッドの相部屋。
若い頃よく利用した、ユースホステルみたいな感じが懐かしいです。
すでに他のベッドには荷物があります。
どんな人達だろ。
5時半か、、
夕飯にはちょっと早い気もするし、まだ明るいから散策に出ますか。
宿泊客は、男性より女性の方が多い感じ。
自炊のキッチンから、賑やかな声が聞こえてきます。
欧米系の女の子たちなんかモデルさんみたいで、目の置き場に困ります。
ぼくは観光地嫌いなので、40年ほど前に立ち寄ったときも、食事しただけで歩くこともしませんでした。

今回は、平日ということもあって、街はガラガラ。
これまで思っていた、どこもかしこも観光客というイメージが少し変わったかな。

散策しながら夕食をとる店でも探そうと思ったのですが、木曜日が定休の店が多くて、迷うほどはなさそう。

一年のうちで最も日が長い季節。
徐々に陰が深くなっていく景色を眺めながら、遠くに来たんだななんて、改めて感じます。

こんな路地の方が好きだな。

1時間ほど歩いて、小さな休憩スペースに座ります。
何をするわけでもなく、通勤通学の人たちを眺めてました。
けっきょく駅前の魚民にしました。

と言うか、ここ RELAX HOTELの隣。
この土地ならではのものとか、旨いもん食いたいという欲求はまるでないので、RELAX HOTELでチェックインした時に、迷うぐらいならここでイイやって感じではありました。
18:55
親しい友だちと入ることはあっても、自分で居酒屋を選ぶことはなくて、何を注文したら良いのか分かりません。
適当に頼みました。

丼は思ったより小さいね。
自分的にはこの倍の量でちょうどいい。
まぁ酒飲む前提の人は、ご飯ものはオマケなんでしょう。
酒を呑む習慣はありませんが、サワーなんか頼んでみました。
最近、自分に起きた小さな変化です。
ただいま~。

20:00
女の子が玄関ロビーで地図を広げてます。
このあたりでどこか見ておくといい場所ありません?
う~ん、ぼくは観光地巡りしないので、オススメできるような情報もないけど、すぐ近くの飛騨古川はあまり観光地化されていなくて好きですよ。
聞けば、千葉から車の一人旅。
あちこち巡っているけれど、一旦家に帰ろうかと思ってます。
だそう。
良い旅をね。
部屋に戻ると、東南アジア系の人たちがいました。
同室で無言というのもヘンなので、挨拶ぐらいはしておこうと声を掛けると、タイ語が返ってきました。
お互いコトバが通じないのですが、今はタブレットで翻訳して会話が成立しちゃいます。
これでいいのか?なんて考えたりもしますが、実際助かっているわけで 文明の利器さまさまです。

50代 仕事の同僚2人と、20代の息子さん1人の3人で旅行中とのこと。
中部国際空港に到着して、今日は上高地へ行ってきたそう。
今晩高山で泊まったあとは、富山へ北上して、それから大阪万博を見て帰る、12日間の予定だとか。
お父さんは大のトヨタ好き。
ハイラックスを持っていて、けっこうイジってらっしゃる。
聞けば、子供の頃からドラえもんが好きで、それが日本に来るキッカケだとか。
息子さんは、建築の勉強をしている学生さん。
日本の建築家を尊敬しているって。
こちらは万博でガンダムが見たいそう。
タイ語はよく分からないけれど、息子さんが話す時、コトバの最後に必ず「カップ」と付いています。
あなたはとても礼儀正しいねと伝えると、照れくさそうでした。
たぶん彼らは、日本に到着してから、他の人達と話すこともほとんどなく、ここまで来たんでしょう。
あれこれ話しながら夜も更け、11時を回りました。
思えば昨日、「民宿ほら」さんの予約が取れていたなら、ぼくはここにはいませんでした。
もちろんそれはそれで、別の今日があったに違いありませんが、彼らと出会えたことはとても幸運だったと思います。
今日はこのあたりで休みましょう。
また明日。
本日走行:315km (GPS距離291km、除く徒歩7km)
本日の行程
林道下呂小坂線
数河 宮川周辺
林道 洞-数河線 数河側
ニコイ大滝
池ヶ原湿原
板倉の里
高山市街地