この記事は、
VAB用高効率冷却システム開発 Tuned by おじゃぶ🔧について書いています。
本投稿の命題は、
【ラジエータ(熱交換器)の律速は空気(走行風)側である】
です。
一般的な熱交換器として考えたときは、液相と気相それぞれの物性やとくに流量、温度により律速となる方は変わるため、命題とまでは言えない場合があります。
しかし、その対象がラジエータとなった場合は、命題として考えて差し支えないです。
さてさて!
毎年この時季にこんなことを書いていますね😁
暑いと、ヒトも如何に冷やそうか、と考えてしまうものです。
そんなこと考えへんわ!
そうでしょうか??
きっとこの時季、暑いからアイス食べようとか水に濡れたタオルを首にかけるか、、、などと考えているのではないでしょうか?
視点を変えて、クーラーボックスの中にビールやチューハイをいれて、それを大量の氷で冷やす。
このとき、無意識に適量の水も加えませんか?
そう、これらの行動は、物理学的に考察すると、【伝熱促進】しているのです。
アイスなら顕熱、濡れたタオルなら潜熱による冷却、はたまた氷水にする理由は伝熱面積の拡大、といった具合です。
◆◆◆
では、ラジエータはどうでしょうか??
熱交換を果たす媒体を考えてみると、
与熱側:クーラント
受熱側:空気(走行風)
です。
冒頭にも示しましたが、ポイントはクーラントは液相、空気は気相である、ということです。
伝熱性能でいうと、1/10~という桁違いで、液相の方が優位です。
これこそ、ラジエータの空気側の伝熱面積(波波のフィンがついている)が大きい理由です。
気相のハンデは、伝熱面積で稼いでいる、ということです。
❔❔❔
では、質問!
(もちろんエンジンルーム内の限られたスペースに設置しなければならないのはいうまでもないですが)
伝熱面積はただただ大きくしたらいいものでしょうか?
コアを分厚くしたらいいという話でしょうか?
答えはNo👐です。
ラジエータには、処理すべき熱量に応じて、最も高パフォーマンスとなる形(伝熱面積、フィンの種類)、材質、厚みが存在します。
●●●
最近、とあるショップのサイトにて、新しい製品の情報がリリースされていました。
どうしても、
【より空気抵抗が小さい設計。冷却のための導風性能はそのままに・・・】
という記述が気になったのです。
はっきり言います。↑はウソです。
物理的にあり得ません。こんなことできたらノーベル賞とれます。
根拠は以下の2点。
①物体が流体から受ける力(ここでは空気抵抗、専ら圧力抗力)は、投影面積に比例する。ここで、投影面積=導風口(開口面積)と考えれば、矛盾することは明らか。
★空気抵抗低減→投影面積縮小→導風口縮小なのに、導風量が増えるわけがない。
②そもそも、エアロパーツの空気抵抗と、熱交換器の冷却性能(空気抵抗)を同じ指標で考えていることが、大間違い。
★段階的に考えていれば辻褄が合う話も、いまの謳い文句のままでは、【うちのラジエータはもう限界なんです、、、】と自爆そのもの。
まぁ、サイドターン式のラジエータや、分厚いインタークーラーの方がよく冷える、というショップの説明に対して、違和を感じないのであれば、もうそれまで(笑) おじゃぶがダウンフロータイプに拘っていることには理由があるのですよ!?
いわれるがまま、ショップのカモになってください😁
話が全然違う方向に向かいますが、
本投稿でいいたかったことは、(とあるパーツの)空気抵抗を小さくしても冷却性能が変わらない理由は、ラジエータにあるから、ということです。
どんなにいい空力パーツを着けて空気を捉えたとしてと、それは必要ないことなのです。
繰り返しますが、理由はラジエータの性能限界がきているから、です。
風量を増やせば冷える。
これはある領域までの話であり、夏場の厳しい環境で論ずるべきは全く別の(温度的)領域になります。
風力のデザインだけでは解決しようがない問題なのです。
◆◆◆結論◆◆◆
本気で冷やしたいなら、ラジエーターやインタークーラーの構造最適化が必要です。
交換ではなく、最適化です。
半分趣味ですが、400万円を投じて、ラジエーターとインタークーラーを設計から手掛けた理由はここにありました。
と、最後にタネ明かし。
書いてくれとの依頼があったので、投稿してみました。
おやすみなさい~
Posted at 2024/08/07 23:29:01 | |
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