呪縛、解き放たれる

イメージ戦略でのMotoGP、プロモーション活動。

長年、老舗サテライトチームでの存在感を示し、時折非常に印象深い活躍を魅せた チーム・ダンティン 。元GPライダーの経歴を持つスペイン人オーナーは、 戦う経営者 の印象を持たせ、予算的に厳しい状況ながらも、懸命にチーム存続を掛け、サーキット外での 戦い を展開していたように思えた。

しかしながら実際、すでに経済的なチームマネージメント力はほぼ喪失。関係各所からの信頼は失われ、昨季からのMotoGP活動は完全にDUCATI、パートナーの プラマック のコントロール下に置かれていた。

参戦エントリー名から "ダンティン" のワードが消えていた真意を、もっと深く考えるべきだった。



今季、ケーシー以外のDUCATIは苦戦。マシン的に抜本的な改善が必要、とし、DUCATIに強く要望していく、としていたダンティンの強いリーダーシップは対面的なものでしか無かったようだ。すでにチーム活動資金、支払いは滞り、DUCATIへのマシンレンタルフィーは支払えない状況にあったよう。これではマシンのアップデートは難しく、何よりチーム存続の危機に瀕していた。それでもここまでやってこれたのはDUCATIの理解と、プラマックの情熱の賜物だろう。

とりわけ政治的な画策により アリーチェ の資金をチームに投入させた DUCATI の面目は潰され、堪忍袋の緒も切れたようだ。USGPラグナ以降、チーム立て直しが計られ、粛正が行われた。チームマネージャーの肩書きを与えられていたダンティンはついに 解雇 。その力を見切られたのだ。この事実はMotoGP公式サイトにも小さく、詳細は無く伝えられた。




サマーブレイク明けのブルノには、新生 アリーチェチーム が現れた！。マシンはケーシー等が駆る オフィシャルスペック が投入され、マシンの洗練度は一気に増した。結果も伴われ、トニは今季初ポディウム！。ワークスマシンとの格差が広がる昨今、サテライトのポディウムは非常に評価できるモノなのだ。


何よりチームクルーが生き生きと自らの仕事に勤しみ、その雰囲気も一気に良くなったと伝う。やはりサラリーが支払われる、ということは、当然だがすべて影響するようだ。そうクルーはサラリーも貰えない状況だったようだ。


ダンティンの存在は 威圧 にも似たようだったらしく、今チームはそれらの 呪縛 から見事解き放たれたようだった。ミサノでも連続してトニ、ポディウム。いよいよこのチームが機能し始めたようだ。






チーム・ダンティン　はスペイン選手権ではまだ存在する。ほとぼりが冷めれば、またＭｏｔｏＧＰのパドックに戻って来るだろう、がサーキットでのもっぱらな噂なようだ。