ヒューズと車両火災の話。 (前編:ヒューズの話) からのつづきです。
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あ、そうそう。
先ほど文中に車両火災の話題が出たので話題を変えて…
みん友さんの
END。 さんが、先日
車両火災についてのブログ をアップされていました。
これ、結構興味深い内容です。
長いので途中まで見ましたが、 END。 さんの肌感覚として、
… … …
火災原因でぱっと見多かったのが次の件。
①メンテ不良によりエンジオイルが漏洩して着火。
②バッテリーの取り付け不良。
③社外フォグランプ、社外HIDランプの不具合または取り付け不良。
④DIY配線不良。
… … …
ということでした。
確かにたどってみるとそんな感触。
皆さんも気をつけましょう!
…で、終わってしまうと END。 さんと同じブログになってしまうので (笑)
VIDEO
自分なりの視点で味付け、料理したブログにしてみます。
BGM の代わりにどうぞ。
END。 さん、マネしちゃってごめんなさい。m( _ _ )m
… … …
まずは検索して見ました。
自動車のリコール・不具合情報 - 国土交通省
条件はキャプチャー画面の通りです。
検索期間は、直近の年度+今月まで … 2020年 (令和2年) 4月 ~ 2021年 (令和3年) 8月まで。
みんカラに関係ありそうなのは軽自動車か乗用自動車のはずなので、日野・デュトロ、いすゞ・ギガ、日野・セレガなどトラック・バスが出てこないようにしました。ただし貨物自動車のチェックをはずしているのでトヨタ・プロボックス / トヨタ・タウンエースなどは表示されないと思われます。
ここでは社外品などのトラブルを見てみたかったので装置名はその他の装置だけにチェックを入れています。
被害状況には火災のみチェックを入れています。
昨年の 4 月から今月までで…この数 (164 件) です。結構な数ですね。
そのうち本文の “社外品” という文字列をブラウザ (アプリ) のページ内検索で検索すると 29 件ヒットしますが、実際は1案件に2回文言が使われているか所があるため数えたところ25件がヒットしました。25 / 164 件…約 15% のようです。そこそこありますね。
ただ、この 25 件。
ご利用にあたっての注意事項に書かれていますが、自動車制作者 (トヨタ・日産などのメーカー) や自動車輸入事業者からの報告…とありますので、おそらくはディーラーに入庫され、メーカーに報告された案件だけということでしょう。なので実際はこの数値以上に発生している可能性があります。
取付作業視点でみると、すべてがユーザー取付… DIY かというと、もちろん腕のないショップも含まれているでしょうし、ユーザーが改造したモノもあるかもしれませんね。
そもそも論として社外品の品質が粗悪品ということもあるでしょう。そうだとするとプロが取り付けたとしても燃えるモノは燃えます。
【発生原因】
・社外品バッテリーの取付ミス 2件 (うち固定不良 1件)
・バッテリーおよび社外品の燃料供給装置 1件
・社外品 HID キット / バルブ 11件 (うち中古 1件)
・社外品のコンビネーションランプ (テールランプ) 1件
・社外品のラゲッジ LED バルブ 1件 ※ただし 20A ヒューズ切れで一時的に 30A に交換
・社外品ドライブレコーダー 2件
・エンジン出力を上げるための社外品 1件
・社外品インバータ 1件
・社外品の電子機器 1件
・社外品の音響機器 (トランクルーム) 1件
・社外品スピーカー(左スライドドア) 1件
・社外品スピーカー(右リアドア) 1件 ※ナビ側の問題で発生
・ホーン 1件
【車種】 ※件数の併記が無い車種は1件としてカウント
・トヨタ プリウス (ZVW30) 2件
・トヨタ プリウス (NHW20)
・トヨタ アリスト (JZS161)
・トヨタ クラウン (GRS182)
・トヨタ アクア (NHP10) 2件
・トヨタ ヴィッツ (NCP131)
・トヨタ ノア (ZRR75W)
・トヨタ ヴェルファイア (ANH20W)
・トヨタ ハイエース ワゴン (KZH100G)
・トヨタ ハイラックスサーフ (KZN185W)
・トヨタ ルーミー (M900A)
・ダイハツ タント (LA600S)
・スバル BRZ (ZC6)
・マツダ デミオ (DE3FS)
・スズキ ワゴンR (MH22S)
・スズキ ワゴンR (MH21S)
・ホンダ N BOX (JF3)
・ホンダ オデッセイ (RB1)
・ホンダ ステップワゴン (RP3)
・三菱 デリカ D5 (CV5W)
・MINI MINI Cooper D (LDA-XT15)
・BMW BMW 323i (ABA-VB23)
・BMW BMW 335i ツーリング (DBA-3A30)
上記リストとは関係はありませんが、リコールを受けていれば火災にならなかったかもというのが2件混ざっているのも興味深いです。
年次の統計についてはこちらです。
【統計資料】
令和2年: [PDFファイル]
https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/common/data/accidents_fire_r2.pdf
令和元年: [PDFファイル]
https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/common/data/accidents_fire_r1.pdf
平成30年: [PDFファイル]
https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/common/data/accidents_fire30.pdf
… … … なんだか、こうやってリスト化して見ると… すごーく DIY 感がにじみ出ている感じがします。
それと、商品の品質が…品質が…ああっ。 (ム●カ様)
あと、光り物がダントツ。
なんじゃこりゃ!! …っていう雰囲気もだだよう。
バッテリー取付時の締め付け不良もありますね。意外でした。
光り物で思ったのが、フォグランプ関連の交換でかなり発生しているようですね。やはり安かろう悪かろうというものが多いイメージがあります。またバルブの取り付け不良や、ハイワッテージな明るいバルブを付けて燃えたとかそういうのがあるようです。
そして残念なのが…
・社外品のラゲッジ LED バルブ 1件 ※ただし 20A ヒューズ切れで一時的に 30A に交換
…って件。
当該車種は BRZ。
最初にインテリアランプに 20A !? …て思って
トヨタ 86 のマニュアル (PDF : P307) で調べましたが、標準で 20A でした。オーリスでも 7.5A なのに…ドアカーテシとかあるからかな?
話を戻して。
社外品が粗悪品で回路を保護していたヒューズが切れてくれたのに、『この LED バルブが電気食い過ぎて切れたんだろう』とユーザーが思われたのか、それとも手持ち品に 20A のヒューズがなかったから当面をしのぐために 30A のヒューズを入れて対応したら LED がちゃんと点灯したのでそのままにしていたら、トランクのロック※が発火した…ってパターン。
※トランクのロック側にはトランクの開閉と連動するためにスイッチが入っていますのでそこから燃えたようですね。
この方、ヒューズが切れる段階でディーラーやショップとかプロに話をしていたらこんなことにはならなかったはずなんですよね~。もしくはもう一度 20A を差し込んでヒューズが切れたら社外品をはずすとかしていれば…。
ご本人様の知識もどうだったのか分かりませんが、もしかすると周辺の方がそうしろと言ったのかもしれないし。
ドラレコも今後は地味に増えそうだし、音響機器もそこそこあるんですね。
あと、DIY の取付について。
みんカラを含めてネット上には莫大な情報、そして魅力的な情報がたくさんあります。
しかし、その情報。
本当に正しい情報ですか?
これを疑う人がものすごく少ないです。
そして、その手順、取付位置、取付方法で安全と間違いなく言えますか?
あまりにも動けばいいっていう情報が氾濫しているように思います。
それぞれ、1つだけ例を出しますと…
例えば…以前にも何らかの形でお伝えしましたが、防水コネクターの作り方を間違えている人がほとんどです。
最近他人様の整備手帳をみたりするとき、自分がやったことのあるカスタマイズに目が行って『他人様はどのような作業をされているのかな~』と見させていただくのですが、ほぼ全ての人が間違っています。
ちなみに正しい作成方法はこちらです。→
整備手帳
取付位置、取付方法の例だと… LED ウインカーの抵抗の取り付け。
抵抗を取り付ける場所がなってないです。
これは抵抗がどんなものなのか、なぜ必要なのかが分かっていなくて、これが分かっていないから取付場所や取付方法がむちゃくちゃな場所や方法になってしまっているということ。
知らなくても説明書をよく読めば設置場所の注意点は大抵の『ちゃんとした』メーカーの場合記載されているはずです。
一応ここで書いておくと、自動車のウインカーは、電球が切れたか切れていないかを判断するために、流れる電気の電流量をチェックして、ウインカーの電球が切れたときにそのことをドライバーに伝えます。
しかしLED バルブは電気の消費が少ないです。本来であれば、電球から LED に変えるだけで正常に点灯動作ができればよいのですが、 LED バルブをそのまま取り付けると…
VIDEO
動画の右ウインカーを点灯したときのように、ウインカーが高速点灯するハイフラッシュ現象 (以下ハイフラ) が起きます。(動画では、右フロントウインカーをわざと外して電球が切れた状態と同じ状態にして撮影しています。つまり電流が 0 の状態です。)
抵抗はその名の通り電気を流れにくくするものです。その流れにくさが “熱” となって消費されます。こたつや電気ヒーターなんかと同じで電気を通すと熱くなります。
このことを応用して、つまりはハイフラにならないようにシステムをだますために、電気を抵抗で無駄に消費させてあたかも電球が装着されているように見せるために行うモノです。
しかし、これはとにかく熱くなります。
ハイフラ防止抵抗の温度は、何度くらいまで上がるのか? 熱対策の知識 - DIY ラボ
そのため熱対策をしっかりと行う必要があります。また分岐は防水対応のエレクトロタップを使うべきです。
たとえば、車種によってはリアのテールランプの隙間はおそらく水の通り道になるようにも設計されているはずです。
そんなところに防水機能の無いエレクトロタップで分岐したら…ってことです。そもそもエレクトロタップも適切なサイズが選ばれていない場合もあって接触不良によりついたりつかなかったり。
どうしても防水機能の無いエレクトロタップで分岐するのであれば、水がかからないような処理や場所を選ぶ必要があると思います。
2つの例を例示しましたが … つまりは、他人様の情報が本当に正しい情報なのか?というのは、結局はご自身が知識を付けるか、情報が正しいかの判断力をつけるか、詳しい人に教えてもらうか、やってもらうかしかないような気がします。
そして悪循環に近いのが、そのような知識が無いから、ご自身の車種に対応していると書かれているポン付けできる製品を買えば安心!…という流れになるのですが、これまた粗悪品が多い。
どう見てもこれは壊れるとか、光り物だと光軸やカットラインがでないライトで単純に対向車がまぶしいだけのライトとか、実際に街でもよく見かけるようになりました。
取り付けている人はそういった知識がない方も多いので、単純に明るくなった!! と喜んでるだけ。
¥が高いのはなぜ高いのか?、なぜ大手が販売をしないのか? それにはいろんな理由があるからでしょうけども、なぜかそういったことまで考えないといけなくなった時代になった気がします。
インターネットの普及で、情報やモノがあふれていろんなモノが手に入りやすくなったのはいいことなのですが、そういった判断が難しくなった時代だな~と感じます。
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最近、点火系の電装品として
コンデンサー (キャパシタ) を取り付けました。
しかし、
以前のブログ に書いたようにこれをエンジンルームに設置すると、ラジエーターの熱などが金具や風で伝わりこの装置を暖めてしまい、むちゃくちゃ熱くなるときがあって気になってます。
その
ブログ に書いたようにコンデンサーというのは、とにかく熱に弱いです。
もし使用されているコンデンサーが一般的な電解コンデンサーであれば、温度次第では寿命が数ヶ月しか持ちません。
今回の車両火災の件でいろいろと検索していたところ、ある検索結果が目に留まりました。
車両火災「自動車電機系チューニングパーツ」から出火した火災について - 消防防災博物館
読んでみると…実況見分結果-(6)、出火原因の部分に書かれていますが、
内部のケーブル接続部で絶縁破壊 (絶縁不良) が発生し、トラッキング等の電気的異常が発生。つまり火花が散ってそれが周辺の可燃物に着火し出火したと結論づけています。
詳しい内容はリンク先を見ていただけたらと思うのですが、製品の形状をみると、私が買った物とは違うメーカーのようです。(たぶん
ここ の過去の製品 (ホッ○イナズマ) かな?)
しかし、こういったものはどのメーカーのものも動作の原理や考え方はだいたい同じになってきます。ただ製品の安全性や熱対策については各メーカーでことなるでしょうけれども。個人的には安心・安全が一番重要だと考えていますのでそこは譲れないところです。(ほとんどの方はそうだと思いますが (^^ゞ )
(消防防災博物館 Web サイトより抜粋)
あと気になるのが、コンデンサーはプラスとマイナス極に並列にとりつけます。これが正しい取付ですが…
これって、コンデンサーの配線が切れたり、そもそもコンデンサーに異常があった場合で、電気が流れなくなるだけだったらノーマルに戻るだけなんじゃ?
だとすれば、普段化から効果を感じにくいと思っている場合だと故障や寿命によるパワーダウンの判別はかなり難しいのでは?
熱の影響による寿命もあるとすれば、この手のパーツの中古はあまり性能アップは期待できないばかりか逆に悪影響、最悪の場合火災の原因にならないか?
そんなことも考えるようになってきました。
そのため、一概に自分の環境でも起こりえるかどうかは分かりませんが、安易な DIY 装着は同じような問題を起こす可能性があることは頭の隅に置いておく必要があると思いましたし、できることならば『メーカー側の具体的な対策、対応状況や見解、そして後継機への改善事項としての展開 (対策機能搭載) 』などを製品ページに載せていただけると結果として今後も安心して使えると思いますし、新型品も欲しくなります。
例えば熱対策はしっかりおこなっていますとか、ショートを検知したらすぐに切り離される、ヒューズが切れるとか。
自動車は、通行人、通行車など自車周囲の交通への影響も大きく、ドライバーや同乗者はもとより周囲の人の命にも関わりますし、仮にひとたび火災が起これば、燃えるのは車だけではないかもしれません。
そういった安全性をアピールすることも大事なのでは?と思いました。
(2021/08/09 10:16 追記)
一部内容に誤りがありましたので修正しました。(具体的には『車両火災「自動車電機系チューニングパーツ」から出火した火災について』のくだりで、出火原因がコンデンサーからの発火ではなかったため修正しました。)