今年最初の山行は月山だった。
仕事でよく顔を合わせる登山の先輩が、自身とも面識があるその会社の後輩社員(ちなみに今回が初登山)を連れて月山に行くという話を聞いた。
登山の先輩のクルマは5人乗りで、このとき決まっていたパーティーは4人とのこと。
誘いたかったけれど、千葉と山形の往復で5人乗りのクルマにきっちり5人乗るのはキツいからねぇ・・・と言われたが、
「往復は公共交通機関を使って自力でどうにかします。現地合流、現地切り離しでいいので、一緒に登りたいです」
と懇願(といっては少し大袈裟か)。
既に満室だった宿に1人追加してもらえたこともあり、幸いにもパーティーにねじ込んでもらうことに成功。
登山仲間にも運にも恵まれた。
登山は日曜日。
前日にあたる土曜日はクルマ組も自身も、移動で一日を費やせた。
往路は青春18きっぷを使い、常磐線、東北本線、福島から奥羽本線を乗り継ぎ山形まで。
山形駅から高速バスと西川町営バスを乗り継ぎ、志津温泉の宿「まいづるや」に到着したのは17時過ぎ。
パーティーの一人は、当方の公共交通機関の使い方が人並みでないことをまだ認識していなかったため、無事に着くかどうかをものすごく心配してくれたそうだ。
何度も一緒に仕事をしている仲間は「だいこんさんのことだから心配ない。絶対に来る」と説得してくれていたらしい(^^;
そんなクルマ組の気持ちはつゆ知らず、奥羽本線の鈍行で板谷峠を越え、峠駅で力餅を購入したりと、しっかり移動も楽しんできちゃいました(^o^)

晩ご飯と朝ご飯は、温泉宿が振る舞ってくれた美味しい山形の料理に舌鼓を打つ。
登山しないで帰ってもいいんじゃないの?(笑) と思えるくらいだ。
そして、登山しないで帰っても・・・なんてジョークが飛び交う理由が、当日の天気にあった。
朝から曇り、そして終わってみれば殆ど雨と風。
関東圏内の登山なら(面白くないので)絶対中止にするところだ。
とはいえ安全圏内と判断し、登山は予定通り決行した。

朝食を摂り、クルマで移動開始。
姥沢駐車場に到着したのはちょうど800前。
ここから月山リフトで10分ほど上る。
移動や準備もあったので、リフトを降りて登山を開始するのは845だった。
先にも述べたとおり、この日の天気は雨、そしてより高い場所では風も強く吹きつけた。
最初から最後まで、山行中はずーーーっとレインウェアを上下に着用し、ザックカバーもかけたまま。
当然、一眼レフカメラでの撮影はお預けとなった。
登り始めてから20分くらい経った頃である。
自身にとって初めての経験が、恐怖心と共にやって来た。
「雪渓」である。
例年に比べて今年の月山は雪渓がだいぶ残っているとのこと。
誰もアイゼンを持ってきていなかったが「まぁ、軽アイゼンくらいはあってもよかったかもな」と登山の先輩が漏らす。

この時期の雪渓なので、もう雪というより表面は氷。
力強く、そして小股に、一歩一歩テンポ良く進まなければならない。
そう、それがいちばん安全だとわかっているけれど、なかなか上手くいかないもので・・・
ビビって腰が引けて動くのに躊躇してしまうわ、足元が安定していそうなところに足を動かすと大股になってしまい、それが寧ろ次の一歩の足かせになってしまうわで・・・列の後ろにいた先輩登山仲間に厳しく指導してもらいながら、何ヶ所もある雪渓を泣きそうになりながら越えていくのであった・・・(T_T)
雪渓の歩き方のアドバイスついでに、フツーの登山道での歩き方も指摘されてしまう(+_+)
まだまだ登山での歩き方が身についていないようで、後ろから見たら足の裏が見えてしまっている(=足を上げるときに蹴り上げてしまっている)とのこと・・・。
とはいえ、登山仲間のアドバイスは、友情や愛があってのもの。
しっかり言うことを聞いて歩いた結果、登山を終える頃にはだいぶ良くなったと言われてホッとした(^^;
あと、カメラを首から提げるつもりでいたからと、ストックを持参しなかったのは猛省。
反省点を多く残した登山になってしまったが、これから経験を積んでいく上では避けて通れないものもあるので、あまりクヨクヨせず、勉強をする良い機会になったと考えることにする。
雪渓以外で特に緊張を強いられる場所はなく、天気が荒れていることと景色が残念なこと以外は問題なく登山ができた。
ただ、足元が悪く、見通しも悪いため、コースタイムよりはやや長めの山行を強いられた。
焦らずゆっくり安全に下山できればオッケーでしょ。

悪天候の中と言えども高山植物は期待を裏切ることなく、きれいな花をあちこちに咲かせていた。
今シーズン二度目のニッコウキスゲともなると有り難さが薄れてしまう(笑)という冗談を交わしながら(今年は尾瀬でもニッコウキスゲを沢山見たため)、パーティーは歩みを進める。

登山を始めて2時間15分が経った1100、我々の目の前に月山神社が姿を現してくれた。
500円のお布施を納め、お清めをしてもらい、神社の中に入る。
ここを実質頂上と考える説もあるらしいが、ひとまず自分は御朱印帳と御朱印をいただき、一行は再び歩き始める。
「三角点があるところが頂上」と考える登山者が大半で、天気が悪かったからか、ちょっと見つけにくいところに真の山頂があった。神社から歩いて2~3分の距離である。
一行はひとまず無事に、頂上まで辿り着けた。
さて、雨でレインウェアがずぶ濡れということもあり、一行は頂上小屋に立ち寄り小休止することにした。
天気もさることながら、神社へのお参り登山者が多く、山小屋付近は大混雑・・・。
我々が小屋に入ったタイミングが良かったのか、席を見つけると周りの利用者はあっという間に登山道へ向かって行った。
のびのびできて少しラッキーだったかな♪
元々悪天候の中での登山ということがわかっていたので、持ってきた食料は行動食のみ。
とはいえ、小屋で食事が振る舞われていると何かは口にしたくなるというもの。自分はきのこ汁(500円)をいただいた。
暖かい山小屋から出るのが億劫にならないうちに、一行は下山を開始した。
トイレが混んでいたこともあり、下山開始は1220。
下りは途中で姥ヶ岳を経由するルートを選んだ。
天気が良ければ姥ヶ岳山頂から日本海まで見えるらしいが、当然この日は心の目で見るしかなかった(汗)
姥ヶ岳山頂で10分ほど小休止を取り、いよいよゴールを目指してラストスパート。
1430頃には月山リフトのリフト上駅に到着し、姥沢駐車場には1500到着。
一行は、無事に山行を終えることができた。
さて、今回の山行で話題になったのが、登山靴である。
雪渓でヒーヒー言いながら下山していたとき、先輩登山仲間が一言
「だいこんさんの靴って、そんなに食わない(=グリップしない)か?もしかすると、そろそろ次のステップの靴を考えた方がいいかもね」
と言った。
えっ!?
もしかして、当然技術がへっぽこなのもあるけれど、雪渓での移動が危うかったのって靴も原因しているの??
下山後、「靴はたしかに(雪渓を)歩きづらい原因だったかもね・・・」と、先輩仲同士でディスカッションが(^^;
う~ん・・・先輩登山仲間の靴はみんな40000円くらいのを履いているんだよなぁ。
差が出て当然だし、差がないと40000円の靴の立場もないからねぇ。
そして、登山靴に関するもう一つの話題。
今回初めて登山した仲間は、とりあえずファッション寄りのトレッキングシューズを履いてきたのだが、10年選手のこいつがまずかった。
下りで両足とも一遍にソールが剥がれるというハプニングが発生したのである。
幸い、仲間が持っていたタイラップと予備のシューレースで応急処置をして事なきを得たが、とにもかくにも登山靴ってもんのすごく大事。
わかっていたことだけれど、こういうハプニングを目の当たりにしちゃうとね・・・あらためて思うのであった。
さて、何だかんだあった登山も、無事に終わればあとは風呂とメシに期待がかかるのは、必然であって当然のこと。
自分はクルマで山形駅まで送ってもらうことになった。
その途中にある「道の駅にしかわ」で温泉に浸かる。
入浴料、激安の300円というのが忘れられない。
お風呂上がりに当然きっぷも購入(*´▽`*)

そして、ようやくのお昼ご飯というか、早めの夕食というか、やはり道すがらにある「六十里越ドライブイン」という「月山山菜そば」を振る舞ってくれるそば屋さんに立ち寄ったのだが・・・このお店がとにかく大当たり。
そばはキラキラ輝いていて美味しいわ、つけ汁はみんなで分けて使えるよう鍋いっぱい具沢山で用意してくれるわ、佇まいは昭和の雰囲気がビンビン伝わってくるわ、お店の御主人も奥さんも優しい人わで、とにかく大満足。
下山後の食事、最高のひとときとなりました。
さて、自分は引き続きクルマのお世話になり山形駅まで移動。
パーティーの4人とは山形駅で分かれた。
帰りの荷物を極力軽くしたかったので、お土産や汚れたウェア、使わなかった山専ボトル等々は、駅前のコンビニで荷造りをして宅配便で自宅へ発送。
往路ではのんびりと目的地を目指したが、何せ翌日に仕事が控えているため、復路は「つばさ158号」で一気に関東へ引き戻されるのであった(^^;
これで自身の登山記録がまた少し伸びた。
通算18座、日本百名山は9座のピークハンティングに成功したこととなる。
【登山記録】
月山 標高1984m
登山日 190728
天気 雨時々曇り 山頂付近で風
740 「まいづるや」出発 自家用車で移動
800 姥沢駐車場着
830 月山リフト「リフト下駅」発 ペアリフトで移動
840 月山リフト「リフト上駅」着
845 「リフト上駅」発 登山開始
935 牛首通過
1100 月山神社着
1115 月山山頂着(1984m)
1135 山頂小屋着 休憩
1220 山頂小屋発
1350 姥ヶ岳山頂着(標高1670m)
1405 姥ヶ岳山頂発
1435 月山リフト「リフト上駅」着 ペアリフトで移動
1445 月山リフト「リフト下駅」着
1500 姥沢駐車場着 自家用車で移動
1530 「道の駅にしかわ」着 入浴
1620 「道の駅にしかわ」発 自家用車で移動
1700 「ドライブイン六十里越」着 腹ごしらえ・・・そば美味し
1750 「ドライブイン六十里越」発
1830 山形駅着 パーティーと分かれる
1931 「つばさ158号」から列車を乗り継ぎ帰宅の途へ
2340 自宅着