ロシアのウクライナ侵攻を機に緊迫化する安全保障情勢を受けて、日本の防衛産業は大きな岐路に立つ。自民党は4月末に国内総生産(GDP)比で約1%目安だった防衛費を2%以上に増額するよう求める提言をまとめた。近年、国産品の調達予算は横ばいながら海外調達が増加傾向にある日本の防衛産業にとって期待が膨らむ。ただ、財源の議論に乏しく、2022年末の国家安全保障戦略などの改定までさらなる曲折がありそうだ。
政府は年末に国家安全保障戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の改定を予定する。経団連は4月に出した防衛計画の大綱に向けた提言で「防衛産業は国防を担う重要なパートナーであると位置付け、防衛産業基盤の整備・強靭(きょうじん)化に資する政策を体系的に実施すると表明する必要がある」と呼びかけた。
中でも特に「防衛計画の大綱はわが国の防衛の基本方針を示すものであり、防衛産業政策が安全保障政策の構成要素の一つであることを明記すべきである。中期防衛力整備計画においては、適正な予算の確保について明記することが求められる」と強調した。
日本の防衛産業を取り巻く事業環境は厳しさを増す。人工知能(AI)や飛行ロボット(ドローン)など先端技術が登場する一方で、国産の防衛装備品の調達予算は横ばい。19年度は米国からのFMS(対外有償軍事援助)による装備品調達額が約7000億円となり、調達額全体の輸入比率は27・8%まで上昇した。
将来性が見通せずに事業撤退する関連企業が相次ぐ。経団連の提言では「わが国の防衛関連企業では、欧米の企業に比べて防衛事業が売上に占める割合や利益水準が低いため、防衛事業を維持する必要性について、ステークホルダーへの説明に苦慮している」と窮状を訴える。
今後の具体的な支援策として、まずは「安全保障の観点からも防衛装備品の国産化を念頭に置きつつ、調達の自律性を確保することが重要である。その観点から、国内に生産・技術基盤を保有・維持する装備品、国際共同研究開発を推進する装備品、ライセンス国産を推進する装備品、輸入する装備品の明確化」を求めた。
海外からの調達増加を受けて、「米国から輸入する装備品のサプライチェーンに、わが国の防衛関連企業が参画し、国内での維持・整備や米国への部品供給が行えるようにすることが重要である」とした。また、事業の予見性を確保するためにも予算について「装備品の長期的な運用構想を明示したうえで、研究開発、調達、維持・整備に関する予算を継続して確保することが重要である」と提言に記した。
近年重要性の高まるサイバーセキュリティー対策についても「防衛産業の機微技術の流出を防ぐことは、わが国の国益に直結する。今後、防衛省による防衛産業サイバーセキュリティ基準を踏まえ、防衛関連企業は情報保全やサイバーセキュリティ対策の取り組みを強化していく」と宣言。近年の安保情勢の変化で、日本の防衛産業政策のあり方がいま問われている。(日刊工業新聞・鈴木岳志)
日本の防衛費は最近では補正予算で武器の購入など多額の予算を講じているので実質的には6兆5千億ほどにもなるが、GDP2%と言うと10兆円を超えることになる。防衛費の金額の議論ではなくこの国をどうして守るのかという議論が先のはずだが、どうしてこの国は数字に拘るのだろうか。ただ日本の周辺の状況などを考えれば防衛費は増額せざるを得ないだろう。その場合、主要兵器は国産、またはライセンス国産になるだろうが、単年度発注の雨だれ式ではなくどんなものを開発してどのくらい生産して総額でいくらと言った方式の発注を考えるべきだろう。仕事量と利益を確保してやればこれに参入する企業も出てくるだろう。生産設備と人員を投資してもそれに見合うだけの仕事が来なければ撤退する企業が出ても不思議ではない。仕事量の確保と利益の追求が企業の目的なのだから。企業が撤退してしまうとせっかくそれまで蓄積してきた経験や技術が消滅してしまう。仕事量の確保と適正な利益が今後の防汚英産業育成の要だろう、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2022/05/05 13:59:01 | |
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