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くまとっどのブログ一覧

2020年06月24日 イイね!

シルエットフォーミュラ <やっぱりポルシェ編>

シルエットフォーミュラ <やっぱりポルシェ編>私が小学生だった、1970年代後半。

今もほとんどマンガを読まない私ですが、この本には思いっきりハマっていました。







私が好きだったのは、早瀬左近のポルシェ 911カレラRS。

フェラーリやランボルギーニの様な、見た目のカッコよさは、あんまりありません。

見ようによっては、フォルクスワーゲン ビートルのお兄ちゃん? みたいに見えるかと。

その為か、パッと見は速そうではありません。

それなのに、実力はトップクラスの性能を誇るスポーツカー。

しかもそれが、いつでも安定して出せる。

そんなところに惹かれていました。



入口がスーパーカーだったからでしょうか。

レースもフォーミュラよりも、ハコに興味がいってまして。

同時期、日本初のF1が富士で開催されていたのですが、テレビ観戦した記憶がありません。

そんなクルマウマシカ小僧には、こんな式が頭の中に出来ていました。



スーパーカー + レース = シルエットフォーミュラ




外観は、なんとなくベース車の面影を残しつつも、実は、ほぼなんでもアリ。

キャビン部だけ流用し、前後は切断してパイプフレーム化。

そんな仕様もありました。

一見ハコの様でも、中身はまるでフォーミュラーカー。

なるほど、シルエットフォーミュラとは、よく言ったものです。

それらの中でも、私が注目していたのは、これでした。






ポルシェ935



田宮のプラモを作られた方も、多かったかと。

911 3.0カレラRSRをベースにした、2.85Lのシングルターボ。

そのパワーは、怒涛の560psでした。


ポルシェの凄いところ。

非常に高い信頼性です。

特にデリケートなレーシングエンジンの場合、数があれば状態の良いもの、悪いものといろいろバラツキが大きくて不思議ではありません。

ですが、ポルシェには非常に少ない。

なのでこんな高性能レーシングカーなのに、普通に市販化出来てしますのです。







ゼロからレーシングカーを製作すれば、935を凌駕出来るものも作れるかもしれません。

しかし現実的に考えると、大メーカーのポルシェを越えられるのか?

資金等で制約の多いプライベーターにとっては、市販の935を購入する方が得策だと言えますね。

なんだか90年代の日本にも、似た様なケースがあった様な・・・



935と言えば、特徴的なフラットノーズ。

実はこれ、ちょっといわく付きの装備なんです。

シルエット フォーミュラの理念には、「なるべくベース車の面影を残すこと」というのがあります。

となると、911の場合、あの特徴的なカエル顔を形成するヘッドライトには、手をつけ難くなります。

ですが、あのライト、やっぱり空力的によろしくはありません。

さて、どうしたものか?



シルエット フォーミュラのレギュレーションに、「前後フェンダーの変更は自由」というのがあります。

これを拡大解釈すると・・・

太いタイヤを履かせる為にフェンダーの幅を広げたついでに、ヘッドライトの位置も下がってしまった、という体で形状変更したのです。

その結果、あのフラットノーズが誕生しました。

あくまでも「フェンダー変更」なので、レギュレーション的にも問題はありません。

ですが流石にポルシェも、これはやり過ぎかな? と思ったらしく、参戦初期には、カエル顔の935も参戦していました。








その後、935で参戦するプライベーターが急増し、レースは盛況に。

そうなってくると、ワークスと言えども、うかうかしてはいられません。

1978年、ポルシェはワークス935の最終進化版を投入するのです。






ポルシェ 935/78


通称「モビー ディック」です。

遂に911のモノコックボディから決別。

センターモノコックだけ残し、前後はパイプフレーム化されました。

エンジンは3.2Lに拡大され、ヘッドは水冷化。

6気筒ツインターボが叩き出すパワーは、845psにも及んでいました。








前後パイプフレーム化に伴い、ボディカウルも大幅変更。

そのコンセプトは、ユーノディエールの直線番長

長く低いボディカウルを武器にしたロードラック仕様で、ルマン6kmの直線では格上のGr6 ポルシェ936に引けを取らない程に。

その最高速は、366km/hにも達していました。



そんな935ですが、気付けば周りにライバルメーカーの姿は既になく・・・

まるで935のワンメークレースの様相でした。

究極の935を投入したポルシェ ワークスも、この年から活動休止。

ひとつの時代が、幕を下ろそうとしていました。



それでも935、進化は止まりません。

有力プライベーターの手により、更に速さの磨きがかかって行きます。

歴代ある935の中で、私が好きなモデルは、このクルマです。







クレーマー ポルシェ 935 K3



その印象を強くしたのは、1981年の鈴鹿1000km。

今も愛読しています、ドライバーの記事で読みました。

この「伊太利屋」カラー、ピンクと漢字のロゴは衝撃でしたね。

予選から圧倒的な強さを見せつけていた、クレーマー K3。

しかし決勝では燃料系トラブルが発生し、6周の周回遅れ。

本命視されながらも、もはやこれまでか・・・

復調後、そこからは鬼神の猛追。

ゴール直前、奇跡の逆転優勝を果たしたのでした。



そして、この鈴鹿1000km同様、印象的だったレース。

それが1979年 ルマン24時間です。







この年の優勝候補は、ライバル不在だったポルシェ ワークスの936。

順当に走れれば優勝だったものの、まさかのエンジントラブルでリタイヤ。

本命不在となった中、2台のプライベーター935(うち1台には、ポール ニューマン搭乗)による優勝争いへ。

最後は、このNo.41のクレーマー K3が優勝、P・ニューマン組の935/77は2位、3位にも935が入り、表彰台独占となりました。



数々の逸話を残した、ポルシェ 935。

最後はエントリーが935ばかりになり、衰退化。

参戦車両規格をGr Cに変更される事で、シルエット フォーミュラでのレースは終了しました。

このあたりも、90年代に活躍した、あの日本車に似ていますね。



自身が強過ぎたが故に、レース自体が終了。

ポルシェにはよくある話なのですが、そこまでやり過ぎてしまうところが、ポルシェの魅力なんですよね。
Posted at 2020/06/24 10:26:21 | コメント(3) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2018年06月16日 イイね!

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <④ レース編>

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <④ レース編>ロードカーとレーシングカーとの距離が近いメーカーのひとつが、ポルシェです。

911が高評価を得ているのは、その乗り味も当然あります。

それ以外にも、レースで得た数多の勝ち数も、その裏付けとなっていることでしょう。

例えば、先頃開催されました、ニュルブルクリンク24時間レース。

舞台がノルド シュライヒという、世界屈指の難コースであることに加え、今年は雨。

そんな悪条件の中、勝利を収めたのは、この車でした。





ポルシェ 911 GT3 R


ポルシェは序盤、トラブルやらペナルティで、メルセデス AMG GT3にリードを奪われます。

その後、夜からは雨が降り出す厳しい状況でも、怒涛の追い上げを敢行。

ラスト1時間で逆転に成功し、見事優勝を飾ったのでした。


ただでさえ滑りやすいニュルなのに、それに加えての雨。

RRの2WDでレースをすること自体、非常に難しいのに、しかも優勝。

いつリアがブレイクしてスピンしても、全くおかしくはない状況で優勝出来るなんて。

にわかには信じ難いです。


これだけの技術を持つポルシェなのですから、ベースをRRからミッドシップに変更すれば、もっと扱いやすく、しかも速い車を作れたのではないか。

いろいろな呪縛でそれが出来ていないのが、残念でさえ思えてきます。


ですが、歴史を紐解いていくと。

このRRの呪縛にとらわれていない911 レースカーが、存在するのです。





ポルシェ 911 GT1



1996年のルマンで、デビューを果たしています。

ルマンで優勝出来たのは、3年後の1998年でした。


キャビンは911(タイプ993)を流用するも、それ以外はほぼ専用部品。

エンジンも空冷から全水冷化へ。

エンジン搭載位置も、911の名を冠していますがRRではありません。

ミッドシップ化されています。


しかも、RRではない911は、他にもあるのです。





ポルシェ 911 RSR


2017年型から、ミッドシップになっています。

ミッドシップ化の要因ですが、きっとリバースステア対策だと思っていました。

ですが、ポルシェの見解は、こうです。





ダウンフォースの増大


要は、こうだそうです。

従来、ボディの後端にはエンジンがありました。

それが前に移動となるので、従来エンジンのあった部分に大型ディフューザーが搭載出来、リアのダウンフォースが増えたのだそうです。

確かにそうかもしれませんが、エンジン位置の搭載位置まで変更して行うことなのでしょうか。

ちょっと理由が厳しいですね。


今年は4台参戦するワークスカーの中で、1台は往年のカラーを纏っています。





ロスマンズカラーです。

ポルシェ956/962も、そうでしたが、ロスマンズ、かっこいいですね。

この色は、何に塗っても似合います。

2輪ではホンダで採用されていましたが、やっぱりかっこよかったですね。


911RSR、昨年のルマンでデビューをしました。

終始レースをリードするも、ラスト1時間前にタイヤトラブルで緊急ピットイン。

残念ながら、表彰台を逃してしまいました。






今年のルマンといえば、トヨタ悲願の初優勝が話題の中心です。

ですが、ポルシェ、悲願のクラス優勝を懸けた戦いでもあります。

911RSRの参戦する、LM-GTE Proクラスにも、是非ご注目を。


果たして、911 RSRは、未来の911となるのでしょうか?
Posted at 2018/06/16 22:51:13 | コメント(3) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2018年06月15日 イイね!

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <③ ポスト911 FR編>

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <③ ポスト911 FR編>ミッドシップを採用し、かなり運動性能を特化させた車、914。

旋回性能を優先したパッケージなので、定員は2名でした。

どうやらポルシェと言う会社、狭くとも4人乗りにしておきたい思いがある様です。

実は、ポルシェの名を冠した最初の市販車、356。

開発当初は、この様な車でした。





ポルシェ 356 No1



最初に試作をされたこの車は、アルミボディを纏ったミッドシップ。

ですが、量産化するには、プラス2であっても4人乗りが良いだろう、となりまして。

結局、量産の356は4人乗りとなり、後席確保の為にRRへ変更されました


ポルシェのエントリーカーも、4人乗りが良いのでは、考える様になったのでしょう。

914の後継モデルは、1976年にFRの4人乗りとなり、誕生しました。





ポルシェ 924


今回もエントリーモデルということで、コスト削減を狙った部品構成をしています。

サスペンション等の足回りは、フォルクスワーゲン ゴルフや、ビートルから。

エンジンは、アウディから流用しています。


そうすると、914同様にまた言われてしまうのです。

「これはポルシェではない」と。


ですが、そこはポルシェ。

他社とはひと味違うFRを、誕生させたのです。





トランスアクスル方式


その前に、簡単に駆動方式のお話を。





現在、多くの車が採用しているFF方式。

これは、エンジン、トランスミッション、左右のタイヤに駆動力を振り分けるディファレンシャルギヤを一体化して、前輪を駆動しています。

機関部品が一体となることでコンパクトとなり、室内を広くすることが可能になるのです。


ですが重量配分が、前側に偏ってしまいます。

その為コーナリング時には、その重い部分に遠心力が掛かり、外側に膨らみアンダーステア傾向に見舞われてしまうのです。


片や、FR方式の場合。

エンジン、トランスミッションが前側、ディファレンシャルギヤが後側に分かれています。

その為、前側の重さが分散され、アンダーステアは弱くなります。


それで普通は十分なのですが、ポルシェは更にひと手間掛けてきています。

FRは、ディファレンシャルギヤを後側に移動させても、やっぱりまだ前側が重いのです。

そこで、エンジンに付いているトランスミッションを、後側のディファレンシャルギア側に移動させ一体化します。

そうすることで、更に前後重量配分が均等化し、コーナリング性能の向上に繋がるのです。

このミッション、デフを一体化させる方式を、トランスアクスルと呼びます。

ポルシェは、以降、928、944、968と、FR採用機種全車にトランスアクスルを採用しています。


よくBMWは、この前後重量配分に拘りを持っていて、エンジン搭載位置を後ろに下げたりしています。

ですがポルシェも、負けないくらい前後重量配分に拘りがある様です。

それは長年RRの911で苦労をしてきたので、重量配分がいかに大切なことなのか、身を持って知っているからなのでしょう。





ポルシェ 944


924の後継として誕生した、944。

これは非常に良く出来た車でした。


エンジンも遂にポルシェ製となり、928用のV8エンジンを半分にしたものをベースに、開発されました。

途中から追加された、944ターボ。

これは多くの日本製スポーツカーの開発に、大きな影響を与えていました。


1980年代の後半。

日本車の運動性能が、飛躍的に向上した時期でもあります。

各メーカーが自らの鍛錬の場として、この地に足を踏み入れたのです。





ドイツ ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ


一般公道と変わらないのでは言われるほど、低い路面摩擦係数。

先が見通せない、ブラインドコーナーの数々。

コーナーによる左右Gの他に、ジャンピングスポットで襲いかかる上下G。

ここは、日本メーカーのテストコース、サーキットでテストをしても表れない挙動が露呈するのです。

ニュルブルクリンクで開発するにあたり、ターゲットとなった車。

それが、この944ターボなのです。






944ターボは、日本メーカーからすると、非常にイメージしやすい車だったのかと思います。

例えば同じポルシェでも、911の場合。

車を分解しての彼我解析にしても、各方向にGセンサー付けてを走らせてみても。

やっぱり最終的には、「なぜRRなのだろうか?」という疑問に、ぶち当たってしまいます。

どう考えても、日本車の未来に911は、ないのです。


その点、FRレイアウトの944。

直列4気筒エンジンのターボ+FRのパッケージ。

非常に現実味のあるものです。

実は飛び道具的な技術はなく、既存の技術を徹底的に磨き込むことでつくられた車になるので、日本メーカーも理解しやすい成り立ちをしています。

911の様な華はありませんが、非常に完成度の高い車でした。


その後、よりツアラー色の強い928、944の代替機種968も投入してきました。

販売台数で、これらFRモデルは大きく貢献していました。

では911の代替になるかというと・・・。



やっぱりRRの911でないと、ポルシェじゃないのか?

いよいよ次回が完結編。

ロードカーと密接な関係にある、レーシングカーについて、お話は続きます。
Posted at 2018/06/15 10:04:53 | コメント(7) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2018年06月13日 イイね!

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <② ポスト911 MR編>

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <② ポスト911 MR編>日増しにハイパワー化が進む、911。

日々進化をする911なれど、RR故に越えるべき技術的なハードルは、非常に高いものになってきました。

そこで、ポスト911となる、新たなシリーズ展開を模索することとなります。

その第1弾は1970年に投入された、このモデルです。





ポルシェ 914



ただこの車の場合、誕生の経緯は「RRからの脱却」よりも「拡販を担うエントリーモデル」といった意味合いが、強く出ています。

その為、コストへの割り切りは必要です。

そこで、フォルクスワーゲンと協同し、ビートルからエンジン他、多くの部品を流用することにしました。

同じRRのビートルのエンジン周りですから、そのまま911へ流用することも可能だったでしょう。

現に、914以前には4気筒の911ボディ、912というのがありましたので。

ですが、ポルシェはそれを良しとはせず、ビートル、911とは異なるパッケージでチャレンジします。






より高い運動性能を求めて、914で採用したのはミッドシップでした。

ですが、志は高かったものの、コストを重視し部品流用を多くした結果か、極端に廉価なイメージが付いてしまい、「ワーゲン ポルシェ」という異名が付いてしまうことに。

その局面を打開すべく、914には新たなる心臓を与えるのです。





ポルシェ 914/6



遂にエンジンもポルシェ製に生まれ変わります。

搭載エンジンは、911Tと同じ、水平対向6気筒の110ps。

911と同じエンジンを、より旋回性能に優れたミッドシップに搭載するのですから。

その実力たるや、想像に難くはありません。




現在でも、ミッドシップのスポーツカーは多々あります。


その多くは、フィアット X1/9から端を発するエンジン横置き搭載です。






X1/9は、ベース車であるFFのフィアット128のパワートレイン部を、そのまま後輪に移動させています。

その為、エンジンが後輪車軸上にくるので、ミッドシップと言えども重量配分が後輪寄りとなっているのです。

つまりは、RR寄りの特性になるのです。




対してポルシェ914は、縦置きの水平対向エンジンなので、エンジンはより中央寄りになっています。

その為、前後の重量配分が均等に近くなり、よりバランスが良くなっているのです。

更には、よりパワーアップされたこの様なモデルも誕生します。





ポルシェ 916


写真の車は916なのか、914をベースに916仕様なのか明確ではありません。

なにぶん、市販はされておらず、わずか11台しか作られなかった車になりますもので。

ですが、外観はこの様な前後にオーバーフェンダーの付いた仕様だったそうです。

しかも916、中にはこのモデルと同じエンジンだった仕様もあったそうで。





ポルシェ 911 カレラRS


あの、名車として名高い「73カレラ」です。

これとと同じ2.7Lエンジン搭載を、より旋回性能の高いミッドシップに搭載していたなんて。

当時は、ポルシェ最速だったのではないでしょうか。



そんな914ですが、エントリーモデル故に販売台数は多かった様です。

ですが、911シリーズと双璧を成すまでには至りませんでした。

そして、さらに開発は続いて行きます。

またまた、続きは次回へ。
Posted at 2018/06/13 10:14:20 | コメント(3) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2018年05月30日 イイね!

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <① 911の苦悩編>

RRにあらずんば、ポルシェにあらず? <① 911の苦悩編>自動車に興味がなくても、その名前はご存知かと思います。

ドイツのスポーツカーメーカー、ポルシェです。


「This is PORSCHE」と言えば、やっぱりこの車でしょう。





ポルシェ911



1964年誕生なので、今年で54年。

今も第一線級のスポーツカーです。

長い歴史を持つ車なので、当然デザインは変化してきています。

しかし、どの代を見ても「あっ、911だ」とわかるところが、この車の凄いところです。

その外観イメージを司る、大きな要因。





それはRRレイアウトです。


フォルクスワーゲン ビートルを手がけ、ポルシェ社の創業者、フェルディナンド。

356を設計した、フェリー。

代々続くポルシェ一族の設計は、ずっとRRでした。

なので、911を設計したブッツィーも、RRを踏襲していたのは至極当然のことと言えます。

それに1960年代当時、このRRは一般的なレイアウトでした。





例えば、日本を代表する名車、スバル360。

これも、国民車構想という決められた規格の中で、広い室内を実現しています。

この車は、RRレイアウトになっています。





片や、こちらはフィアット ヌォーヴァ 500。

こちらもスバル360同様、コンパクトな車体なのに、大人が十分に乗れる空間を確保しています。

やはりこれも、RRレイアウトです。



当時は、特にコンパクトカーを筆頭に、RRが台頭していました。

FRの様なプロペラシャフトが不要なので、軽量で室内も広く出来るのが主な理由です。

それならFFだっていいのでは? となりますよね。

実際、現代はFFの方が主流なんですから。

ですが、当時は高精度の等速ジョイントが開発されておりませんで。

ハンドルを切って曲がるとタイヤの回転がぎこちない、そういう欠点があったのです。



そんなRRですが、いいことばかりではありません。

これらのコンパクトカーや、ポルシェも356まででしたら、RRでも成り立っていました。

ですが911になると、段々とその欠点が浮き彫りになってくるのです。






RRには、この様なハンドリング特性があります。

ハンドルを切り始めた直後。

回頭性を阻害する重いエンジンが前にないので、鋭くノーズをイン側に向けてくれます。


そこから車速が上がってくると・・・

エンジンを積まない軽さが逆に、フロント接地荷重の小ささに繋がります。

また、後輪にはエンジンの重さから来る大きな接地荷重によって、強力な駆動力が掛かります。

この2つの要因によって、今度は外側に押し出されていく「プッシュ アンダー」と呼ばれる状況に。


更に車速が上がると、今度は車両最後端にある重いエンジンに、強い遠心力が掛かってきます。

その力によって、今度は後輪が外に膨らんでいき、オーバーステアの状態に。

この様な特性を、初期はアンダーステア、最後はオーバーステアに変わることから「リバース ステア」と、呼ばれています。









スキルのあるドライバーは、この特性を利用してドリフト状態に持ち込み、華麗にコーナリングをしていきます。

ですがそれは、本当に高度なドライビングテクニックが、要求されるものなのです。

そこでポルシェは、この急激なハンドリング特性の変化を穏やかにするべく、数々の対策を911に施してきました。


例えば、この車。





ポルシェ911 カレラ4 (タイプ 964)



911史上初の4WDモデルです。

リバースステア対策には、2つの方法があります。

1つは、リアタイヤを太くしてグリップを上げる方法。





リアタイやが太いと言って思い出されるのは、この911ターボ(タイプ930)ですね。

これはリバースステア対策というよりは、増大されたターボパワーをタイヤのグリップで押さえ込む。

そんな意味合いが強いです。


もう1つは、フロントにも駆動力を掛ける方法。





それが、この964 カレラ4の考え方です。

内側に巻き込もうとする前輪に駆動力を与えて、前から引っ張ることでアンダーステア傾向にします。

そうすることで、オーバーステアを相対的に抑える、という手法です。



この様にポルシェ911には、リアのスタビリティ向上が命題となって進化してきました。

この進化の結果から、RRはスポーツカー向きのレイアウトだと、言われることがあります。

ですが現実は、ポルシェの弛まぬ努力によって、RRをスポーツカーに昇華させているのです。


更なる高みを目指す911に対して、ポルシェが最後に切るカードは、おそらくこれなんでしょう。


RRレイアウトからの脱却



911がここまで苦悩してきたのは、自身の存在意義ともいえる、このRRレイアウト。

ただこれは、本当に最後のカードです。

ポルシェも過去、何度かチャレンジをしましたが、このカードだけは切れませんでした。

いくら旋回性能が上がろうとも、「RRにあらずんば、ポルシェにあらず」という考えが今も根強くある以上、そう簡単には出来ません。



RRエンジンの呪縛に捕らわれたポルシェ。

その中でポルシェが試みたことについては、また次回に。
Posted at 2018/05/30 10:18:40 | コメント(4) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記

プロフィール

「スバル360のブレーキシューを組み上げ、シュークリアランスも調整終了。
なのにエアが抜けない・・・。
そういえば、以前も結局4輪やらないとダメだった様な。」
何シテル?   04/17 18:01
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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