先月発売されました、ホンダの新型N-WGNに試乗して来ました。
今回のN-WGN、2017年に誕生した2代目N-BOXからの派生です。
この2代目が、デザインこそ初代と大差ないのですが、クルマの構造で大変革が行われています。
レーザーブレージング溶接、シーム溶接による接合技術の改善と、ハイテン材(高張力鋼板)の適用拡大による、軽量高剛性ボディの採用。
そしてターボモデルには、電制ウェイストゲートバルブ採用による、燃費改善。
今後のホンダ車における指標となる様な、そんな構造のクルマが現行の2代目N-BOXなのです。
その技術を応用し、低全高、リアドアのヒンジ化による軽量化を果たしているのが、この新型N-WGNなんですね。
参考に、燃費(JC08モード)と車重を比較すると、以下になります。
N-BOX
NA 27.0km/L / 890kg
TC 25.4km/L / 910kg
N-WGN
NA 29.0km/L / 850kg
TC 25.8km/L / 860kg
NAでは7%、TCは1.5%の改善がされています。
NAに比べてTCは、改善幅が少ないですね。
TCの厚いトルクは、重量の重いN-BOXと相性が良いのかもしれません。
では、試乗してみます。
こちらが、標準仕様のNAモデル。
スペックは、以下になります。
58ps / 7,300rpm
6.6kgf m / 4,800rpm
先代と比べて変更はありません。
まずは、発進加速。
スロットル開度を30%くらいのイメージで踏んでみると、十分流れに合わせられます。
特段速さは感じませんが、軽のNAなりの加速とでも言いましょうか。
うちのたぬきさんが乗る、先代N-BOXと大差はないイメージです。
ただ違いは、CVTの制御が徹底的にエンジンを低回転に押さえ込んできます。
60km/hくらいまで加速したのですが、2,000rpmを越えませんでした。
この時の加速を、緩慢だと感じる方もいるのかなぁ、と思います。
おそらくアクセルを多く踏めば、鋭い加速も出来るのでしょう。
エコから的な評価をすれば、そこまでしなくても全く問題ないと言えるレベルです。
ネットを見ていると、静粛性が高いと言われています。
確かに、先述のCVT制御の影響か、エンジン音は小さいです。
ただ、逆にロードノイズが目立ってきています。
先代N-BOXと比べて、言われてみれば静かかなぁ、くらいの差だと思います。
あと、最近のホンダ車で顕著なのが、直進性。
現行フィット3あたりから、キャスターアクションが強くなり、直進性がかなり良くなっています。
ただ逆に、ハンドルが重くなったと思う方も、いるかもしれません。
このクルマでも期待をしていたのですが、そこまで極端に強くなっていませんでした。
おそらくメインユーザーは女性でしょうから、このくらいが適正なのでしょう。
個人的には、R34 スカイライン並みが好みですが、あれだとホンダ的には重すぎてNGとなるでしょうね。
燃費は、16.6km/Lでした。
非常に短距離で、街中での走行。
燃費を稼ぐ定速区間が、ほとんどありませんでした。
しかも負け犬スイッチはオン。
それらの条件を踏まえると、かなり健闘した結果だと思います。
続いては、カスタムのターボモデル。
スペックは、以下になります。
64ps / 6,000rpm
10.6kgf m / 2,600rpm
馬力は、規制値の上限。
トルクはNAの38%増で、しかもわずか2,600rpmで出ています。
これには、発進加速で期待が持てそうですね。
実は、このターボエンジン。
先日現行N-BOXで体感しました。
義父のアクティトラック車検時の代車が、現行N-BOXターボだったのです。
正直なところ、ずっとNAモデルだと思っていました。
先代N-BOXと、加速感に違いを感じません。
今日、あのクルマがターボだったと知り、驚愕した次第です。
でも、これが電制ウェイストバルブの効果なのかなぁ、と。
普段時はあまり過給せず、加速や登坂時になると本領発揮。
そんな特性なんだろうと思っていたのです。
だから緩くアクセルを踏んでいる分には、NA的な走行感になったのかなぁと。
今回もそんな思いで、走らせてみました。
まず発進加速。
えっ! 全然違います。
まごう事なき、ターボの加速です。
スペック通り、低回転から力強い加速をします。
そうはいっても、そこは軽。
吹っ飛ばされる様なものではなく、じわ〜と効いてくる感じです。
加速感は、フィット 1.3(非HV)と同じ様な感じがしました。
CVTの制御も、NAと同様。
2,000rpm以上になることを許しません。
ですが、そこはターボの特性を遺憾無く発揮。
むしろ2,000rpm以上は必要ないと思えて来ます。
このN-WGNとN-BOXでは、エンジンセッティングが異なっています。
でもそれは排ガス浄化性能の改善なので、加速とは関係がない内容です。
それにしても、驚く程にN-BOXと異なり、非常にターボらしい走り味でした。
燃費は、13.3km/Lでした。
でも、これには理由がありまして。
ターボ方が、1回多く信号に引っ掛かっています。
停止直後は、アイドルストップしました。
先代では、ターボにアイドルストップは、エンジン冷却の関係から採用されていなかったはず。
それが、新型からは、ターボもアイドルストップ出来る様になっています。
ですが、負け犬スイッチがオンだった為、15秒程で再始動。
そこで見る見る燃費が下がってしまいました。
その後、多少挽回して、この数字です。
ちなみに信号停止する直前は、16.2km/Lでした。
今回は非常に短距離での試乗だったので、足回りの違いは、よく分かりませんでした。
ただ、NAとターボの違いは、明確です。
ターボの低回転トルクは、非常に魅力的でした。
燃費はNAの方が良かったのですが、エコから的な深夜下道特急便モードだと、結果が逆転する様な気がします。
軽のターボだったら、フィット 1.3と比べても、遜色ないですね。
このN-WGNのターボで長距離走行した場合、どんな感じになるのか、非常に期待が持てそうです。