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くまとっどのブログ一覧

2020年06月24日 イイね!

シルエットフォーミュラ <やっぱりポルシェ編>

シルエットフォーミュラ <やっぱりポルシェ編>私が小学生だった、1970年代後半。

今もほとんどマンガを読まない私ですが、この本には思いっきりハマっていました。







私が好きだったのは、早瀬左近のポルシェ 911カレラRS。

フェラーリやランボルギーニの様な、見た目のカッコよさは、あんまりありません。

見ようによっては、フォルクスワーゲン ビートルのお兄ちゃん? みたいに見えるかと。

その為か、パッと見は速そうではありません。

それなのに、実力はトップクラスの性能を誇るスポーツカー。

しかもそれが、いつでも安定して出せる。

そんなところに惹かれていました。



入口がスーパーカーだったからでしょうか。

レースもフォーミュラよりも、ハコに興味がいってまして。

同時期、日本初のF1が富士で開催されていたのですが、テレビ観戦した記憶がありません。

そんなクルマウマシカ小僧には、こんな式が頭の中に出来ていました。



スーパーカー + レース = シルエットフォーミュラ




外観は、なんとなくベース車の面影を残しつつも、実は、ほぼなんでもアリ。

キャビン部だけ流用し、前後は切断してパイプフレーム化。

そんな仕様もありました。

一見ハコの様でも、中身はまるでフォーミュラーカー。

なるほど、シルエットフォーミュラとは、よく言ったものです。

それらの中でも、私が注目していたのは、これでした。






ポルシェ935



田宮のプラモを作られた方も、多かったかと。

911 3.0カレラRSRをベースにした、2.85Lのシングルターボ。

そのパワーは、怒涛の560psでした。


ポルシェの凄いところ。

非常に高い信頼性です。

特にデリケートなレーシングエンジンの場合、数があれば状態の良いもの、悪いものといろいろバラツキが大きくて不思議ではありません。

ですが、ポルシェには非常に少ない。

なのでこんな高性能レーシングカーなのに、普通に市販化出来てしますのです。







ゼロからレーシングカーを製作すれば、935を凌駕出来るものも作れるかもしれません。

しかし現実的に考えると、大メーカーのポルシェを越えられるのか?

資金等で制約の多いプライベーターにとっては、市販の935を購入する方が得策だと言えますね。

なんだか90年代の日本にも、似た様なケースがあった様な・・・



935と言えば、特徴的なフラットノーズ。

実はこれ、ちょっといわく付きの装備なんです。

シルエット フォーミュラの理念には、「なるべくベース車の面影を残すこと」というのがあります。

となると、911の場合、あの特徴的なカエル顔を形成するヘッドライトには、手をつけ難くなります。

ですが、あのライト、やっぱり空力的によろしくはありません。

さて、どうしたものか?



シルエット フォーミュラのレギュレーションに、「前後フェンダーの変更は自由」というのがあります。

これを拡大解釈すると・・・

太いタイヤを履かせる為にフェンダーの幅を広げたついでに、ヘッドライトの位置も下がってしまった、という体で形状変更したのです。

その結果、あのフラットノーズが誕生しました。

あくまでも「フェンダー変更」なので、レギュレーション的にも問題はありません。

ですが流石にポルシェも、これはやり過ぎかな? と思ったらしく、参戦初期には、カエル顔の935も参戦していました。








その後、935で参戦するプライベーターが急増し、レースは盛況に。

そうなってくると、ワークスと言えども、うかうかしてはいられません。

1978年、ポルシェはワークス935の最終進化版を投入するのです。






ポルシェ 935/78


通称「モビー ディック」です。

遂に911のモノコックボディから決別。

センターモノコックだけ残し、前後はパイプフレーム化されました。

エンジンは3.2Lに拡大され、ヘッドは水冷化。

6気筒ツインターボが叩き出すパワーは、845psにも及んでいました。








前後パイプフレーム化に伴い、ボディカウルも大幅変更。

そのコンセプトは、ユーノディエールの直線番長

長く低いボディカウルを武器にしたロードラック仕様で、ルマン6kmの直線では格上のGr6 ポルシェ936に引けを取らない程に。

その最高速は、366km/hにも達していました。



そんな935ですが、気付けば周りにライバルメーカーの姿は既になく・・・

まるで935のワンメークレースの様相でした。

究極の935を投入したポルシェ ワークスも、この年から活動休止。

ひとつの時代が、幕を下ろそうとしていました。



それでも935、進化は止まりません。

有力プライベーターの手により、更に速さの磨きがかかって行きます。

歴代ある935の中で、私が好きなモデルは、このクルマです。







クレーマー ポルシェ 935 K3



その印象を強くしたのは、1981年の鈴鹿1000km。

今も愛読しています、ドライバーの記事で読みました。

この「伊太利屋」カラー、ピンクと漢字のロゴは衝撃でしたね。

予選から圧倒的な強さを見せつけていた、クレーマー K3。

しかし決勝では燃料系トラブルが発生し、6周の周回遅れ。

本命視されながらも、もはやこれまでか・・・

復調後、そこからは鬼神の猛追。

ゴール直前、奇跡の逆転優勝を果たしたのでした。



そして、この鈴鹿1000km同様、印象的だったレース。

それが1979年 ルマン24時間です。







この年の優勝候補は、ライバル不在だったポルシェ ワークスの936。

順当に走れれば優勝だったものの、まさかのエンジントラブルでリタイヤ。

本命不在となった中、2台のプライベーター935(うち1台には、ポール ニューマン搭乗)による優勝争いへ。

最後は、このNo.41のクレーマー K3が優勝、P・ニューマン組の935/77は2位、3位にも935が入り、表彰台独占となりました。



数々の逸話を残した、ポルシェ 935。

最後はエントリーが935ばかりになり、衰退化。

参戦車両規格をGr Cに変更される事で、シルエット フォーミュラでのレースは終了しました。

このあたりも、90年代に活躍した、あの日本車に似ていますね。



自身が強過ぎたが故に、レース自体が終了。

ポルシェにはよくある話なのですが、そこまでやり過ぎてしまうところが、ポルシェの魅力なんですよね。
Posted at 2020/06/24 10:26:21 | コメント(3) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2020年06月18日 イイね!

スバル360 5年振りの公道走行

スバル360 5年振りの公道走行昨年の夏からスタートした、スバル360公道復帰計画。

既に10ヶ月が過ぎようとしています。

その間の作業といえば、キャブ清掃とブレーキホイールシリンダーのピストン交換。

しかもフロントのみ。

この程度の作業、1ヶ月もあれば出来そうなものですが、時間やら費用の問題で、ここまで遅れてしまいました。

前オーナーからも、ゆる〜くプレッシャーを掛けられて・・・








そんな折、やっと我が家にも届きました給付金。

今回はこれを頼りに、作業を進めます。

以前からの作業で、たちまち見える様な問題点は対策しました。

ですが、それは車庫内での話。

このスバル、前後に1m程しか、動いていません。

しかも人力で。

エンジンもアイドリングは確認出来ていますが、それ以上の回転数は未確認です。

それにガソリンも空なので、給油がてら公道走行させる事にします。


このスバルは、現在車検切れ。

その為、これが必要となります。








臨時運行番号表。

いわゆる仮ナンバーです。

これは、運行期間内有効の自賠責保険があれば、市役所で即日発行されます。

今回初めて申請しましたが、すぐ出来ました。



準備が整いましたら、5年振りで太陽の下にスバルを出します。

実は、何シテルで「4年振り」と書いていたのですが・・・

このスバル、車検が切れてから4年経過しています。

その後、前オーナーに確認すると、最後の1年は入院の為乗っていなかったそうなので、実際は5年振りだという事が、判明しました。



前回のエンジン始動から、9ヶ月振りにセルを回します。

最初のうちは掛かる素ぶりもありませんでしたが、1度掛かっているので始動出来るはず。

この日は真夏日だったにもかかわらず、チョークを引いたり、微妙にアクセルを踏んでみたり・・・

ちょっと時間は掛かりましたが、エンジンは無事始動。

アイドリングも安定していて、ここまでは問題ありません。



さて、初めての発進。

2ストなので、ある程度は回転数を上げなければなりません。

かといって半クラの多用は、クラッチ板の消耗を招きます。

な〜んて考えていたら、早速エンスト。

ですが、これでなんとなく、アクセルとクラッチの関係が掴めました。

スタンドまでは不安なので、MAX 40km/hくらいの道を選んで、そろりそろりと運転。

果たして、エンジンは回るのか? それよりもブレーキは効くのか?

そのあたりを確認しながら、運転します。



スタンドでは、10L給油。

すると8Lで、オートストップが作動。

えっ? タンク容量って、そんなに小さいの?

そもそもタンク容量って何リッター?

取りあえず今回は試運転なので、9Lで終了させました。







その後は、ホームセンターでお買い物。

駐めるや否や、おじさんがニコニコしながら近づいて来ます。

「懐かしいねぇ」の言葉で始まり、しばし談笑。

やっぱり人気ありますねぇ、スバル360。



まずは40km/hくらいでは走れる事が、確認出来ました。

今度は50km/hくらい出せるルートで、確認します。



道に出て、1速からスタート。

段々クラッチミートにも慣れて来ました。

あと注意しなければいけないポイントが、シフトパターン。

スバル360は、左上がRです。

1速は、通常2速の位置。

これ、ぼ〜っとしてると、間違えます。

そして、2速、3速へ。

50km/hだと、3速です。

ふとバックミラーへ目をやると・・・凄い白煙!

加速時には出るでしょうけど、50km/h定速時にも出ています。

こんなに出るんでしたっけ?


そして、交差点を左折。

4輪ドラムブレーキですから、かなり手前から減速開始します。

ガツン!とは来ませんが、確実に減速は出来ています。

左右どちらかにハンドルを取られるとか、妙な振動が出るとかは、ありませんでした。

そして左折。

あれ? ちょっと減速させ過ぎたかも。

2速では辛くなって来たので、シフトダウン。

「ガリッ!」 あっ、忘れてた! これ、1速ノンシンクロでした。

後続車がいない事を確認して、さらに減速。

どうにか1速に入れてから、再加速しました。



それから再び、50km/h 3速にてしばし定速走行。

すると、白煙は大分少なくなって来ました。

走る事で、シリンダー内のオイルが飛んだのでしょうかね。

そういえば、このスバル、OTがあります。

これ、どんなもんなんだろう?

50km/hで使うとエンジン回転が下がりすぎになりそうなので、55km/hまで加速。

そこでOTにシフトアップしました。

「ガリッ」という音と共に、変速完了。

結構ハイギヤードに感じました。

平坦で空いた道でしたら、55km/hくらいから使えそうです。

その後、何度かOT使いましたが、やっぱりギヤ鳴りがします。

なんちゃってダブルクラッチをしても、変わりません。

取りあえず、近々ミッションオイルを交換してみます。








無事、試運転を終えて、車庫へ帰還。

エンジンは、大分元気になった様に思えます。

それ以外をチェックをすると・・・あっ、リアタイヤに何かが垂れた様な跡が。

ブレーキフルードが漏れた様です。



以前、フロント側で漏れは確認していました。

その時は、フロントだけホイールシリンダーのピストンを交換したのです。

今回、走行した事で、リアからも漏れが・・・

横着はいけませんね、結局4輪やることとします。



今後は、リアのホイールシリンダー修理後、再度仮ナンバーを取得して走行させます。

そこで問題がなければ、テスター屋さんで事前チェック。

その後は車検取得という予定です。


相変わらずのスローペースですが、どうにもならないって事はないと思います。

このままの勢いで、頑張りたいと思います。
Posted at 2020/06/18 10:14:53 | コメント(7) | トラックバック(0) | スバル | 日記
2020年06月12日 イイね!

TOYOTA Ideal Successor 2

TOYOTA  Ideal Successor 2またまた、前回からの続きです。


2世代先のラリーカーを目指していたプロジェクトは、続きます。

ST185が抱える問題点、それは前後重量配分の適正化。

それを検証すべく、縦置きエンジンのIS1は製作されました。

その結果、前後重量配分は50:50に近づけるべき、という結論に至ります。

続いては、もう1つの懸案事項、大型化したボディの対策です。








サーキットを使用するレースとは異なり、一般公道を使用するラリー。

道幅も狭く、ブラインドコーナーも多数あります。

そんな環境の中をハイスピードで駆け抜けるには、道幅を目いっぱい使い切りたいところです。

そこで気になってくるのが、オーバーハング。

ここが長いと、クルマをコースサイドギリギリまで寄せきれなくなってしまうのです。

トヨタのラリーカーは、歴代セリカを使っています。

このクルマは流麗なデザインを売りにしているので、車高は低く前後オーバーハングが長めです。

折角、最適駆動パッケージを投入するのですから、よりオーバーハングの短いものをベースにしたいものです。

その結果、このクルマが選ばれました。






カローラ FX (AE92)


当時、ライバルの動向。

三菱は、ギャラン VR-4からランサー エボリューションへ移行すべく、エボIを限定販売。

スバルも、レガシィを移行させる為、インプレッサを販売。

両メーカーとも共通するのは、ダウンサイジングです。


トヨタも、もちろん追従します。

しかも、より小さなボディへ。






まずは、ベース車のバルクヘッドより前を切断。

そこにパイプフレームを介して、3S-GTEを縦置きにマウントします。

しかもその位置は可能な限り後ろに寄せて、フロントミッド化。

前後重量配分と共に、重量物を重心近くに追い込む、マスの集中化も併せて行なっていきます。

続いて、元々FXはFFなので、4WD化で必要となったプロペラシャフトを通すべく、フロアにセンタートンネルを新設。

ここまでやるのであれば、サスペンションも見直しします。

このクルマ、前輪をよく見ると、本来あるべきスプリングとショックがタイヤ横にありません。

それは、パイプフレーム化に伴い、ストラットからダブルウィッシュボーンへ変更をしていたからなのです。

しかもスプリング、ショックをエンジン前方に配置した、プルロッド式。

フロント周りだけ見れば、往年のGr 5の様です。

当然リアも、ストラットではありません。

ツインショックを採用した、マルチリンクに変更されています。

これこそ正に、TTEが考える「理想的な後継車」

このクルマは、「IS2」と呼ばれることになります。






IS2も、現役ワークスカーST185と比較テストを実施します。

IS2にはワークス仕様よりも60ps低いエンジンが、搭載されていました。

ターマックのテストフィールドで比較をすると、最高速ではエンジンの差が現れ、ST185の方が優っています。

ですが、それ以外の項目では、IS2の方が速く、特にコーナリングに至っては格段の違いを見せていました。

この結果に満足したTTE、次期ST205にはIS2を採用すべきと、トヨタ本体にプレゼンをする事になったのです。



当時のWRCは、Gr A規格。

TTEは、IS2を2500台生産する様に迫ります。

いくらなんでも、このままの仕様で生産するのは、非常に困難。

とても採算が合いません。

多少は生産車に合わせて譲歩したとしても、それでも莫大な投資が必要となりそうです。

流石にこれにはトヨタ本体も難色を示し、結局、ISプロジェクトはIS2完成をもって終了となりました。




その後参戦したST205は、TTEの悪い予感が的中し、重く大きなボディが災いし低迷します。

そして最後は、エアリストリクター問題を引き起こし・・・

そのまま現役から退く事になりました。



2年間の活動休止を経て、あの時TTEが思い描いた「理想的な後継車」が参戦する事になりました。






カローラ WRC



当時はGr Aだった規格は、より改造範囲が広いWRカーへ変更。

ベース車も長年のセリカから、やっとコンパクトなハッチバック、欧州カローラにスイッチしました。

しかしエンジンは縦置きではなく、セリカを踏襲して横置きのまま。

但しマスの集中化を狙い、25度後傾して搭載されていました。


参戦初年度の1998年、開幕戦優勝と幸先の良いスタート。

このままタイトル獲得かと思われましたが・・・

最終戦、最終ステージの残り300m、まさかのエンジンブロー。

誰もが獲得したと思っていたタイトルが、この時、滑り落ちてしまったのです。

カローラ WRC がマニュファクチャラーズタイトルを獲得するには、結局あと1年待たされることとなったのです。



TTEが何度かタイトルを獲りつつも、相当苦労をしていた歴代セリカ。

その経験から生まれたIS2は、残念ながら実戦投入されませんでした。

これが、もう少しカローラ FX寄りのクルマでGr A ホモロゲ取得し、ST205に代わって参戦していたら、トヨタWRCの歴史は、どうなっていたでしょうか。


それに「カローラ FX GT-FOUR」がもしも2500台限定発売されていたら、それは魅力的なクルマだったでしょうね。
Posted at 2020/06/12 10:19:30 | コメント(6) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2020年06月09日 イイね!

TOYOTA Ideal Successor 1

TOYOTA   Ideal Successor 1前回ブログからの続きです。

トヨタのWRC開発車両 Ideal Successor (IS)。



カローラFXをベースにした、IS2。

その誕生は1992年でした。

この年はトヨタにとって、記念すべき出来事もありました。







カルロス サインツ ドライバーズチャンピオン獲得



サインツにとっては、1990年に次いで2度目の快挙です。

そして次なる目標は、マニュファクチャラータイトルとのダブルタイトル獲得!

そうなるはずなのですが、実はトヨタのWRC活動を担うTTE(現 トヨタ ガズー レーシング ヨーロッパ TGR-E)には、一抹の不安があったのです。

それは主に2つ。




グループA ホモロゲ台数の削減



それまでホモロゲ取得には、連続する12ヵ月間に5,000台以上の生産台数が必要でした。

しかしタイトルを獲得した翌年の1993年から、その数は半分の2,500台に引き下げられます。

これは何を意味するのか?

4WD+ターボのクルマを年間5,000台以上生産する為には、高い生産技術力が必要です。

生産能力もさることながら、それをあまり高価にならない様に抑える技術も必要なのです。

いくらホモロゲの為とは言え、大量な売れ残りを出す訳にはいきませんから。

高い生産技術力でクルマは開発、生産が出来て、それを完売出来るマーケットを有する国。

それは、日本くらいしかなかったのです。

90年代初め、日本車がWRCを席巻出来たのは、これが理由の1つです。

しかしホモロゲ台数が半分になると、参戦へのハードルは下がり、ヨーロッパの強豪勢が新型車の投入も可能になります。

こうなると混戦が予想され、勝利することが難しくなることでしょう。





現行市販車パッケージの限界



タイトルを獲得した1992年には、レギュレーションの変更がありました。

それは、エアリストリクターの小径化。

グループAでは、トップスピードに依存しないクルマ作りが求められて来ます。

その為、ライバルに打ち勝つには、コーナリングスピードの向上が必須です。

ですがセリカには、歴代モデルが抱え続けている弱点があったのです。

それは、アンダーステア

元々セリカは、FFから派生した4WD。

つまり横置きエンジン、横置きミッションが基本パッケージです。

2つの重量物がフロント側に寄っているので、ST185の前後重量配分は、60:40とフロントヘビー。

これがアンダーステアの要因だと、考えられていました。

もはやセッティングで対処するのではなく、根本的なパッケージの見直しが必要ではないか、TTEではそう考えていたのです。


そして1993年には、TTEの不安を具現化した様なクルマが参戦してします。







フォード エスコート RS コスワース



本来は横置きエンジンのFF車だった、エスコート。

そこにシエラRS コスワースの4WDユニットを移植しています。

これは縦置きエンジンの4WDシステムです。

その前後重量配分は、セリカ以上にバランスの良いものと予想されます。

これだけの大幅パフォーマンスアップは、ホモロゲ数が引き下げられた事によって、可能となったのでしょう。

この先、フォード以外でも新型車を投入してくる懸念が出て来ました。

対してその頃TTEでも、次期ラリーカーの開発もスタートしていました。







セリカ GT-FOUR (ST205)


基本パッケージは、ST185からの踏襲。

3S-GTEを横置きした4WDです。

参戦は1994年を目標としていました。


エンジンは小径エアリストリクター適用により、ST185よりパワーダウン。

ボディは大型化され、重量も増えています。

果たして、このST205で勝てるのだろうか?

TTEには不安がよぎっていました。



もうST205での参戦は決定事項なので、変更出来ません。

そこでST205の次を、TTE主体で提案をしていこう。

そういうプロジェクトが動き出します。

それは、まだ誕生していないラリーカー、ST205に対しての理想的な後継車 「Ideal Successor」

つまり、2世代先のラリーカーを見据えて動き出したのが、このISだったのです。




まず確認した事は、前後重量配分の改善。

その為に、こういうクルマを製作しています。








見た目は、普通の白いST185。

ですが、中身は大幅に変更されています。








搭載された3S-GTEは、縦置きに変更されています。

しかし、ただ縦置きにしただけではフォード エスコートと同じで、アドバンテージがありません。

そこで、このクルマは更に重量配分を改善すべく、ミッションは後方に搭載しています。

つまり、トランスアクスルなのです。

これにより前後重量配分は、50:50となりました。

効果の見込めるトランスアクスルによる4WDですが、デメリットもあります。

それは、複雑なパワー伝達経路による重量増です。








R35 GT-Rの写真から、パワー伝達経路を見てみましょう。

左のエンジンが発生させた動力は、プロペラシャフトを介して右のトランスミッションに伝達されます。

そこで減速された動力は、2つに分かれます。

1つはリアデフを通って後輪へ。

もう1つは、別のプロペラシャフトを介してフロントデフへ伝達され、前輪を駆動します。

つまり、プロペラシャフトが、2本必要となってしまうのです。

「軽量こそ正義」のラリーカー。

ですが、このクルマは重量増よりも重量配分を優先させ、トランスアクスル方式の4WDを採用したのです。

この縦置きエンジンセリカ、後に「IS1」と名付けられました。








このIS1とST185のラリーカーとで、走行比較テストを実施します。

ほぼ全てのテストで、IS1の方がST185を凌駕する結果となりました。

また縦置きエンジンになった事で、エンジンルームにもスペースの余裕が出来て、熱的にもメリットがあったそうです。

これで縦置きエンジン化による重量配分の改善は、大いに効果あり、と判定されました。


次は、その大きなボディ対策です。

それを対策した「IS2」については、長くなりましたので、また次回へ。
Posted at 2020/06/09 10:25:35 | コメント(4) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記
2020年06月03日 イイね!

このラリーカーの正体は?

このラリーカーの正体は?先日、ブログ作成用資料を検索すべく、ネットを徘徊しておりました。

すると、たまたま見つけました、1枚の写真。








コンパクトハッチでブリスターフェンダーのクルマ。

なかなかカッコいいですね。

こんな出で立ちですから、きっとラリーカーでしょう。

それにしても・・・はて? このクルマ、なんでしょう?

真っ白なので、おそらくテストカーなんでしょう。

メーカー名等も、なにも書かれていません。

プジョーかな? ひょっとしてダイハツ?

なんとなく最後のシャレードに似てませんか?







ダイハツもラリーやってましたからね。

ひょっとして・・・可能性はあります。

と言っても、ほとんどサファリだけでしたけれど。

でも、もしかしたら、それ以外のラリー参戦も目論んでいたりしたのかも。

過去には、全日本ラリーの為だけに、JAF公認FIA非公認のホモロゲ車を投入したり・・・

はたまた、こんなコンセプトカーも作ったりしましたからね。






シャレード 926R

シャレードのグループBホモロゲ車、926ターボのエンジンをDOHC化。

それをミッドシップにしたものです。

簡単に言えば、シャレード版ルノー5ターボです。

でもサイズが、シャレードより大きいかな。

ブリスターフェンダー分を差し引いて、ちょっとサイズが違うかも?

う~ん、一体、このクルマはなんなんだ?






写真1枚だけでは、あまりに情報がなさ過ぎます。

取り合えずネットで見つけた場所から、関連写真を手繰ってヒントを探します。

すると、違うカットの写真が出て来ました。








リアビューです。

ん? 「COROLLA」って書いてありますね。

隣はWRカーのカローラWRCです。

ということは、これもカローラWRC?

いやいや、あれは丸目です。

テールライトも形状が違います。

でも、このテールライトは・・・あっ! カローラ FX (AE92)だ!

トヨタだということは分かりましたが、このクルマ、ラリーには参戦していないと思います。

一体、正体はなんでしょう?







メーカー名まで分かったので、詳細が判明しました。

このクルマの名前は、トヨタ IS2

「IS」とは・・・・Ideal Successor アイデアル サクセッサー

直訳すると「理想的な後継者」なんだとか。

一体、なにの後継者なんでしょうか?

このクルマ誕生の背景は? そのメカニズムは?

ちょっと長くなってきましたので、IS2の詳細は次回へ。
(実は、まだ調査中で、まとまっていないんです・・・)



それしても・・・

いくら実戦投入がなかったクルマとは言え、その存在を私、全く知りませんでした。

実はIS2の誕生は、28年前の1992年。

日本メーカーのクルマなのに、たまたま見つけた写真から存在を知るなんて・・・

文系クルマ趣味人と自称しておりながら、まだまだ精進が足りませんね。

猛省です・・・。
Posted at 2020/06/03 10:37:01 | コメント(4) | トラックバック(0) | トヨタ | 日記

プロフィール

「スバル360のブレーキシューを組み上げ、シュークリアランスも調整終了。
なのにエアが抜けない・・・。
そういえば、以前も結局4輪やらないとダメだった様な。」
何シテル?   04/17 18:01
クルマ、バイク、自転車と、自分でコントロール出来る乗り物が好きです。 それも日本製が好きです。 (自分で買えそうもないものには、興味が持てなくて) ...

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