これはもう私にとって夢のような一冊!イギリス・ダントンにあるFord of Europeのデザインスタジオの、70年におよぶ活動を取り上げた書籍を入手しました。→追記:一部訂正します。書籍のメインテーマはイギリスにおけるフォードのデザイン活動の70周年であり、ダントンのスタジオ自体は開設から50年です。
ダントンでのデザインワークは、かつてヨーロッパにおけるフォードがイギリスフォードとドイツフォードに分かれていた頃に活動の端を発していて、双方が一体化した後にイギリス主導の開発車両のデザインを手がけ、近年ではおもにインテリアデザインを主体に(エクステリアデザインはドイツのメルケニヒスタジオがメイン)、トランジットなどの商用車デザインもおもにダントンが担っています。
この書籍には私もいままで見たことのない写真やスケッチが多数なのが、とにかくご機嫌です♪たとえば1990年代の、最初のフォーカス開発中のスケッチやモデルなどは特に興味ぶかく見ることができました。あの独特のインテリアも、デザイナーが走らせたインスピレーションに富んだスケッチのラインが起点にあったことがよくわかります。
そしてそして、本書を通じてこれまでベールに包まれていた我が六代目フィエスタのデザインヒストリーも明らかになりました!開発当初はメルケニヒが二代目モンデオとフォーカスのプロジェクトで手一杯だったので、エクステリアを含めてダントン主体のプロジェクトだった、当時のホンダの小型車(たぶん初代フィットのこと)のようにMPV的な印象にならないことを意図した、3ドアが5ドアよりリアピラーの角度を寝かせてスポーティーさを強調したのは、日本のコンパクトカーの先例に習った・・・などなど、知らなかったことばかりです。ともかく、六代目フィエスタはイギリスの空の下でデザインが進められたのですね。六代目の、当時のアウディ調に秩序だったデザインはドイツ主導で進められたに違いないと思い込んでいたので、これは新鮮な驚きでした。
さらに、カーデザインに関心がある方なら、パトリック・ルケモン、イアン・カラム、マーク・アダムス・・世界のカーデザインの歴史を築いてきたビッグネームの数々がフォードのスタジオを経ていることを知り、そのクリエイティブ・シンクタンクとしての歩みの重要さも実感できるのではないでしょうか。
そもそも欧米を問わず、フォードのデザインの歴史を真正面から取り上げた媒体はほとんどありませんから、これが実に貴重な資料であることは間違いありません。
イギリスの出版物には、こうした彼の地におけるフォードをテーマとしたものがこれまでにも少なくなく、ある意味でフォードに対して国民車的な愛着を寄せる人が多いことを物語っています。
Ford Design in the UK - 70 years of success
Veloce Publishing Ltd.
ISBN: 9781845849863
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Ford | クルマ
Posted at
2018/06/23 11:49:15