久しぶりに神保町へ出向いたので古書店街を歩いていたら、とある古い書店前の歩道上で、段ボール箱に無造作に車のカタログが入れて売られているのに気付き、思わず足を止めて物色。90年代初頭から半ばくらいのものを中心に、国内外各社のカタログがたくさんあって、フォードに関するものは90年代の東京モーターショーのパンフレットを2種類、格安で入手できました。
この頃は日本でのフォードのビジネスがオートラマを中心に展開されていた時期で、今回入手したのはオートラマによる1991年と1993年の東京モーターショー会場配布用のパンフレットです。このうち特に93年版は、アメリカで発売間もないSN95マスタングと、やはりヨーロッパで売りに出されたばかりの初代モンデオを大々的に紹介していて、折数も多く、大判のサイズもあってとても見ごたえがあります。
その折を開いて中面を見ると、当時日本で販売されていたフォードグループの車種がいかに多かったかがひとめでわかります。多くはニホンフォード扱いのマツダ車ベースの各車で、あとはトーラスとエクスプローラーに代表されるUSモデル、この段階ではモンデオの販売はまだ始まっておらず欧州モデルは含まれていません。またオートラマでなく近鉄モータースや北海自動車工業など、老舗のフォード取り扱い系ディーラーの所管となるマーキュリーやリンカーンのモデルも紹介されており、「フェスティバからコンチネンタルまで」まさにフルラインでの布陣ですね。
今にしてみれば、それこそがフォードというブランドを捉えどころがない正体不明な存在として印象づけることに作用してしまったわけですが、ともかくブルーオーバルの傘の下になんでもかんでも寄せ集めた意欲?は感じられます。
裏面の全国のオートラマ店舗一覧も、トータルで300店程度が記されています。ただしこれについては、91年版の方がさらに掲載されている店舗数が多く、その数およそ340店!すでに93年にはピークを越えて、店舗数の減少傾向が始まっていたのかもしれません。
フォード自身が日本から消え去ったいま、このパンフレットは紛れもなく、この国におけるフォードビジネスの栄枯盛衰のうち、実態はともかく「栄」を誇った一時期を色濃く伝えてくれるものです。
なお、私がこのパンフレットの内容でもっともグッときたのが、フェスティバの紹介枠です。93年にはフェスティバは初代からフォードデザインによる2代目に変わっていましたが、よく見るとそこには初代ベースの起亜自動車製になる4ドアセダン「フェスティバβ」の姿が!なんと、当時は2代目とともにβも併売されていたのですね。しかし一体どの程度の人がこの小さなセダンを選んだのだろうか・・
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Ford | クルマ
Posted at
2020/06/17 19:49:48