自宅からほど近いショップで現在販売中の、2006年型S197マスタングGT。お店の敷地の一番手前、歩道にすぐ面した場所に置かれていたのですが、道行く人にも思わず「おっ」と感じさせるような、問答無用のカッコよさです。
どうしてこのS197マスタングは手放しにカッコよく感じられるのだろう?その鼻先の長さ、前進感を強調するレーシングストライプの効果?それらももちろん効いているけど、何より、基本的にはある種の「無骨な」立体造形であるにもかかわらず高いスピード感が備わっている点が、他のスポーツクーペと一味違った印象を与えるからではないでしょうか。
その昔、私の母親がスポーツカーのことを言い表すのに「流線型でスマート」といった表現をよく使っていました。流線型ーいかにも速く走りそうな、低く、滑らかな、文字通り流れるようなスタンスを誇る形で、セダンなどとは違った特別な種別の車を連想させるに十分です。そして古今の多くのスポーツカーは流線型を極めることでその美しさをアピールしてきました。
さてそれに対してこのS197マスタングは、そそり立った逆スラントのノーズが象徴するように、決して「流麗」と表せるような造形ではありません。要所にエッジが立たされ稜線がはっきりとした量感のあるボディは、さながら「セダンが2ドアクーペになった」かのようですらあります。安易に空気と馴染もうとせず、しっかりと存在を主張してやまない、それでいて速く走りそうな「非流線型」なカッコよさこそ、S197に代表される、マスタングという車のカッコよさなのだと思います。
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Mustang | クルマ
Posted at
2021/09/13 20:46:13