VWのID.4を試乗しました。私にとって初めてのBEVの運転-テスラはもとよりリーフでさえ走らせた経験がないから-と思いきや、今から20数年くらい前だったか、当時日産が市販したハイパーミニという小型BEVを仕事で走らせていたことを思い出しました。ハイパーミニ、ご記憶の方はほとんどいらっしゃらないですよね?ちなみにハイパーミニのデザイナーだったのが和田智さん、のちにアウディへ移り、A6でいわゆる「シングルフレーム顔」を打ち立てた方です。
・・閑話休題。そういうことでほとんどBEV初体験でしたが、都心の道をわずか20数分間走らせただけとはいえ、片側複数車線の幹線路あり、長く続く登り勾配あり、いくらか狭い住宅地内の曲がりくねった道もありと、なかなかよく考えられた試乗コースだったこともあってそれなりにいろいろなシーンを体験できました。その間、ID.4は終始好印象でした。
走り出しは穏やかでアクセルペダルの踏み度合いに則したスタート、不自然な加速感はありません。ブレーキははじめ少し反応が鈍いかな?と思いきや、それはスポーツモード設定のせいらしく、コンフォートモードに切り替えたら自然なタッチになりました。トルクが豊かでまどろっこしさを覚えず、そのくせあくまで静かな巡行は、これがBEVなんだな・・と感じさせるもので、しかも適度に引き締まった脚さばきだから安定した走行感で駆けることができました。
ID.4で特にいいな、と思えたのは、車両のインターフェイスがこれまでの内燃機関車のそれから極端な飛躍をしていない点です。もちろんシフト操作は初めに説明がなければすぐにはできない設えでも、物理的・機械的な操作しろが確保されているから、いきなり未体験ゾーンの別世界へ放り込まれた感覚は皆無です。また運転席からのボディ前方の見切りと斜め後方の視界も存外によく、サイドミラーの視野量も十分にあり、それなりに車幅があっても取り回しには不安感を覚えずに済みました。
テスラあたりは様々な部分を既存のクルマとはことごとく変えることで、その先進性をむしろ好む層を惹きつける設計思想だと思います。それに対してID.4は、内燃機関車に慣れ親しんできた人が無理なく移行できて、実際にたやすく使いこなせる商品性を意図しているように理解しました。BEVの普及に関しては賛否さまざまあるとはいえ、その商品内容がうまく適合する状況下でみれば有効な一つのソリューションたりえるわけで、BEVを必要とする多くの人が選択するに足る内容を備えることは、有意義なトライアルに思えます。
個人的にはより小型のハッチバックであるID.3にさらに関心がありますが、そちらは国内導入予定はないそうなのが残念。
本来あまり共感できずにいるVWというメーカーのID.4をわざわざ試乗したのも、ひとえにそのプラットフォームが、これから登場する欧州フォードのBEVへも応用されるから(ちょうど昨日あたりのAUTO CAR JAPANに、来年3月に発表される欧州フォードの新型BEVクロスオーバーのティザーを紹介した記事が掲載されましたね)。我が愛する欧州フォードがこの先新たな「骨格」とする部分がどんなものなのか、それは信用に値するものか?そんな関心が先立っての試乗でした。結論としてはひとまず安心できています。
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2022/12/21 18:16:58