時どきタンジェリンスクリームのフォーカスSTと会える六本木のパーキングに、今日は二代目フォーカスがいました。それも日本だとかえって珍しい?STでない標準車です。こちらは17インチホイールとエアロパーツ装着の、限定車2.0アトレティシュに準じた仕様ですね(アトレティシュは確かボディカラーがブラックのみだったからこれは違う)。
かつてライターの森慶太氏が二代目フォーカスをして「歴代フォーカスで一番ドイツ車っぽい」と評していたのに、私も賛同します。欧州フォードの開発体制もあって、そもそもがドイツ車の気質を色濃く持ち合わせているフォーカスですが、そのバランスがよりドイツ的にぐいっと振れたのがこの二代目初期型である気がします。この場合のドイツ的とは、部品と組み立ての精度を高めることによる製品品質へのこだわりを意味します。二代目フォーカスのデビュー当初、フォードとしては異例なほどに「プレミアム」を強調していました。
しかしこのモデルを境に、欧州フォードはフォーカスのキャラクターに関しては、プレミアム性の追求よりも、ダイナミズムのアピールに軸足を置くようになりました。VWやアウディのようなジャーマンプレミアム路線とは違う、フォードならではの「動的性能の質」を真正面から訴える方向へ舵を切り、それはフォーカスが四代目へと歩を進めた今なお継承される、フォーカスをフォーカスたらしめている根本的な要素となっています。
その意味でこのモデルはフォーカスとして、自らの立ち位置を明確化するきっかけとなった記念碑的なモデルといえるかもしれない。しかし日本では売りづらい商品であったことはまちがいなく、もともと位置付けがはっきりしないフォードという前提があるところへ、「プレミアムを謳うわりには(VWなどと比べると)それほどでも・・でも妙によく走る」という、どっちつかずの典型みたいになってしまったのですから。でも、そうしたポジショニングの迷いみたいなことを抜きに、純粋に一台のクルマとしてみれば、完成度の高い充実した存在であったように今でも思います。
Posted at 2018/05/29 22:42:47 | |
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