デートカーと呼ばれた時代

※このログはクルマの性能よりキャラクターを前面に表現しています。

今じゃ「若者のクルマ離れ」の言葉すら聞かなくなった。
若者のお金の使い方がソコに無い時代。

まぁ、あまり書くと「昭和のオッサンが何言ってんだよ。今は平成通り越して令和だよ。」と言われるだろうナァ。

だけどあの「デートカー」全盛の頃ってのは、オイラにとっても青春時代真っ只中。
振り返ってみると今では見ることのできない面白い販売合戦だったナァ。
しかも国産車では希少になってしまった２ドア・クーペ達。
同世代の皆さんにしてみたらもっと言いたくなるかもしれませんが（苦笑）、今回は簡潔に書いてみたいと思います。

時は８０年代後半～９０年代前半。
デートカーという使用用途のクルマ達の存在は何もこの時ばかりではないけれど、¨ モテハヤサレタ ¨ のがこの頃だった。

憧れはトヨタのソアラ。
「コレさえ乗っていれば女子が近寄る」「女子大生ホイホイ」とか呼ばれた。
ナンパグルマとしての代名詞。

「本当はもっと違う魅力があったンだけどナァ…」（Nジャンさんの小言）。
「ソアラなら街道レーサーですよ…」（豊田私設応援団副団長秋葉くんの小言）。



しかし高価過ぎて若者達は手を伸ばすことが難しい。
「ソアラでなくてもこちらで満足」ということでデートカーの代名詞がホンダのプレリュードであった。
背の低い２＋２のノッチバックにリトラクタブルのヘッドランプ。
出来のいいクルマに大満足の若者たち。

新型になってあの新技術が加わった事も追い風になった。
「プレリュードが新しくなったぞ」と話題にノッて大ヒットを飛ばしたかのように見えた。



そのホンダのヒットにライバル達は見逃すワケが無い。
トヨタも日産も猛攻を仕掛けてきた。
面白いのはプレリュードと同じようなコンセプトを被せてこなかった事だ。
つまり安易な後出しでは無かったのだ。

まず日産があのシルビアを一新。
古典的ではあるけれど、駆動方式はプレリュードとは全く異なり、ピニンファリーナも驚いたとウワサされる程のボディデザイン。
車両価格も手が届きやすい設定。
一気にプレリュードから人気を浚って行った。



リトラクタブルヘッドランプではないノッチバック。
「これがトレンドだ」と言わんばかりかと思いきや、日本では不人気とされたリトラクタブル＋ファストバックの１８０ＳＸが登場する。
これまたジワリジワリと人気を出してロングセラーになった。



さぁ、トヨタだって黙っていない。
当時、曲面のボディデザインが流行していたことを受け、セリカを刷新。
プレリュード、シルビア合戦に参入。
しかし、シルビア人気の牙城を崩すことはできなかった。



プレリュードもマイナーチェンジでテコ入れを図るも、「時すでに遅し」の如く。



プレリュード・シルビア・セリカとも時代に合わせ新型に移行するも、ボディサイズは衝突安全性ボディ対応とする為に大型化。
実はこの頃、輸出先であるアメリカでは安全性ボディ対応車が急務となった。
するとこの２ドアクーペ達は徐々に人気に陰りが見え始めた。

三菱もＦＴＯを作ったけれど登場タイミングは遅すぎて、永くは無かった…


時代はＲＶ（リクレーショナブルビークル）車へ人気が移行してくる。
ワゴンやＳＵＶの台頭。

遂にプレリュードもシルビアもセリカも消滅してしまう。

時は流れ、今現在のこのクラスにある２ドアクーペ（クローズド）はトヨタ・８６、スバル・ＢＲＺ、マツダ・ロードスターＲＦ辺りだろうけれども、ハンドリングを楽しむモデルであって、あの頃のようなデートカーでは無いわな。

今のデートカーってＳＵＶ？
ミニバン？

あ…コレがデートカーですか。
確かに都会では十分ですねぇ。