▽ジャーナリスト去る

　筑紫哲也が亡くなって数日経ちました。訃報自体は先週金曜日、出張の帰路に新幹線の中で知ったのですが、それからしばらく考えていました。この喪失感は何なのだろうと・・・

　筑紫哲也は今では数少なくなった大人のジャーナリストでした。ジャーナリストは権力の見張り犬だという姿勢は、テレビで見る限りでは相当角が丸く削れた印象がありました。
妻は筑紫哲也のインタビューを見て

『「・・・ハァ、ハァ」と相づちを打っているだけだ』

と。(確かにそう見えます)

　この「ハァ、ハァ」という相づちは、私の数少ないモノマネのネタであった事もありますが(笑)、その、まずはひたすら相手の話を聞き引き出す、というインタビューのスタイルは、自らの論点を論じる「多事争論」との対極として筑紫哲也の力量であったのではないかと思います。「古舘伊知郎はゴメンだが、筑紫哲也ならインタビューに答えよう」という政治家、渦中の人物は多かったのではないかと思います。

　一般には「多事争論」など持論の主張という部分の印象が強かったと思いますが、その一方、それ以外の場面では淡々と事実の提示（報道）に徹していたように感じます。
あるいは主張や訴えかけは「多事争論」だけに限定していた、という点にむしろ筑紫哲也のジャーナリストとしての本質があったと・・・それ故信頼出来たのではないかと思います。

ご冥福をお祈りいたします。