(安岡正篤-「人物を創る」より)
「格物」 --- 科学的読み方と哲学的・認識論的読み方(一)
その次が「八条目」といわれる八箇条。
「古之欲明明徳於天下者、先治其国。欲治其国者、先斉其家。欲斉其家者、先修其身。欲修其身者、先正其心。欲正其心者、先誠其意。欲誠其意者、先致其知。致知在格物」。
※(古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、先づ其の国を治む。其の国を治めんと欲する者は、先づ其の家を斉う。其の家を斉えんと欲する者は、先づ其の身を修む。其の身を修めんと欲する者は、先づ其の心を正す。其の心を正さんと欲する者は、先づ其の意を誠にす。其の意を誠にせんと欲する者は、先づ其の知を致す。知を致すは物を格すに在り。)
格物、致知、誠意、正心、修身、斉家、治国、平天下、八つになります。これを三綱領に対して八条目といいます。
「物格而后知至。知至而后意誠。意誠而后心正。心正而后身修。 身修而后家斉。家斉而后国治。国治而后天下平。自天子以至於庶人、壹是皆以修身為本」。
※(物を格して而る后知至る。知至りて而る后意誠なり。意誠にして而る后心正し。心正しくして而る后身修まる。身修まりて而る后家斉う。家斉うて而る后国治まる。国治まりて而る后天下平らかなり。天子より以て庶人に至るまで、壱に是れ皆身を修むるを以て本と為す。)
中江藤樹が読んで非常に感激したというところです。
この本末先後というところから考えて行くと、まず自分を問題にする。つまり自分の何が発達段階であるか、何が根本であるかと言えば、天下を治めるとか何とかいうのは頂上の問題であります。天下に明徳を明らかにするためには、それに先んずべき問題として、その国を治めるということがなければならぬ。その国を治めるということの先決問題あるいは根本問題として、まず其の家を斉えなければならない。家を斉えるための先決問題・根本問題は修身ということでなければならぬ。身を修めるには、これに先だつ根本精神として「心を正す」ということが必要である。心の根本形式は意志であります。意志というものは、精神の最も根本的な形式の働きであります。したがって意を誠にするためにはまず知を致さなければならぬ。我々の知識、我々の精神、我々の意識、我々の理性の働き、これを完成し、樹立しなければならぬ。そのための鍵は「格物」にある。
※
「大学(一)」参照。
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「古本大学講義」(八)
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Posted at
2011/07/24 02:07:24