今回は国産車、シンプルを極めた車をご紹介。
【住江製作所 フライングフェザー】
恐らく何それ?になっているかと、それもそのはず、生産台数は150~200台(諸説あり)ほどしか作られていない車ですから。

これがそのフライングフェザーです、なかなか可愛らしいでしょ?。
因みに「住江」の読み方は「すみのえ」と読みます。現在は「住江工業」の名でバスの座席などを作っている会社です。フライングフェザーを作っていた当時から日産の系列会社です。
1955年に、最も経済的かつ最も軽い車をという思想で造られました。
スペックはこちら
空冷4サイクルV型2気筒OHV、排気量350cc、最高出力は12.5馬力です。車重は約425kgとかなりの軽量ですね。
ボディの成り立ちは梯子状フレーム(つまりラダーフレーム、バカにしてはいけないよジムニーだってこれですからね)に、必要最低限度の強度の薄鋼板を加工したボディを載せています。

このボディは薄い鋼板をハンマーなどで叩き出して作るハンドメイドだったそうです。
特筆はホイール、画像を見ての通りクラシックカーのようなスポークホイールですが、これ、当時のバイク用の19インチを流用してあります。試作の段階ではリヤカーの車輪を使っていたそうです。タイヤを出来るだけ細く、尚且つホイール径を大きくして極力転がり抵抗を小さくするための処置でもありました。
ルーフは画像の通り前方と横側を鋲止めした幌、鋲を外して幌を巻き取ればオープンに(タルガトップ状態)することも可能、ワイパーは中央に1本のみ、ブレーキにいたってはなんと前輪には着いていません、後輪に機械式ブレーキがあるのみです。この車は徹底的な引き算で作られています。
サスは横置きリーフスプリング(平たく言えば板バネ、トラックと一緒)ですが、一応四輪独立懸架となっています。
尚、150~200台は試作車を含めた生産台数で、市販されたのは50台にも満たないとか。試作車はヘッドライトが真ん中に1つだけのもあったそうです。
翌年1956年には生産中止になりました。何故ならこの時代でも旧態依然なメカニズム、その外観もクラシックカーのようで市場受けも悪く、価格は当時としても安かったのですが(当時の価格は38万円)、あまりにも安普請と見られたようです。この車、快適装備は【皆無】でしたし(エアコンはおろかヒーターすら着いてない)。
しかし、現在の目で見れば小さな軽自動車規格のクラシックカーと言えるかも。車と言うよりかはホビーとして楽しめそうですね。
尚、当時の住江製作所の専務であった富谷龍一氏は、このフライングフェザー開発の後に

こちら、このフジキャビン(以前紹介済)の製作にも関わっています。こちらも商業的には失敗した車です・・・富谷さんは拘りを突き詰め過ぎて失敗するクチの方なんでしょうかね?。
中古市場・・・って、あるわけがありません!!ww
個人所有している方は居るのでしょうか?、動態保存されている個体はその殆どが博物館行きの状態ですから、トヨタ博物館にも居ますよ。

生まれる時代が早すぎた、いや、メカニズム的には遅すぎた感がありますが、少しでも経済的な車を作って日本のモータリゼーションを発展させようとした野心作、それがこのフライングフェザーです。
イジるのは無理でしょうから、オモチャ的に遊びたい車ですね。尚、シートの布は西陣織だそうですよ。こんな小さな車で道内の旅をしてみたいな。
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2018/02/25 00:17:26