さて、久しぶりに国産の大御所をやります。
もう多くを語らなくても皆様ご存知マツダの「零戦」を。
【ɛ̃fini(MAZDA) RX-7(FD3S)】
「アンフィニ(マツダ)RX-7(FD3S)」
いわゆるFDセブンですね。
サバンナSA22、FC3Sと紹介してきましたがその3部作のトリを行きます。
1991年先代FCの後継としてデビュー。
とても流麗かつ美しいスタイルで、デビュー時に眼を奪われまた。
まずはスペックを。
水冷直列2ローターシーケンシャルツインターボ、排気量654cc×2(1308cc)、最高出力255馬力(初期型)です。
FDは大別すると初期、中期、後期型、形式的に分けると1型~6型になります。
初期型(1~3型)
2型から改良が始まりボディ剛性の強化見直し、脚回りの強化セッティング変更やリヤウイング形状の変更など、画像は1型。
2型です。
3型です。
中期型(4型、1996年から)
アンフィニチャンネルの廃止に伴い1997年に「マツダRX-7」へ車名変更、吸排気やCPU変更で265馬力に向上、外観はこの時からテールランプが丸型3連になっています。
後期型(5~6型、1999年から)
5型でボディ剛性の更なる強化、脚回りも更に見直し、リヤウイング形状の変更(可変可能に)内装の変更、全グレードでエアバックやABSの標準化などなど。
6型(最終型)
ABSの強化EBD(制動力配分システム)の搭載など。
大別するとこのようになります。
さて、零戦と書きましたがそれは開発時の徹底した軽量化から。そもそもFDの開発はFCが販売された1年後の1986年から始まったそうでその時からの目標は
「パワーウエイトレシオを5kg/ps以下にすること」
「乾燥重量を1250kg以下にすること」
この二つが至上命題だっだそうです。
特に軽量化は徹底しており、その作業は「ゼロ作戦」と呼ばれボディは1gでも軽くするために6回もボディを再設計したそうです。ウイッシュボーンの脚回りはアルミ製、ボディの剛性に関わる部分は強化しそれ以外の部分は肉抜きをし各ガラスの厚さにもこだわり少しでも軽くする
その設計思想は正に零式艦上戦闘機に共通するものがあります。
まあ、零戦の場合は「限られたエンジンパワー(初期の栄エンジンは1000馬力も出ていません)を生かし最大限の性能を引き出す」ための軽量化でしたが。そのため防弾性ガーとかほざく輩がいますけど、同時期のアメリカやイギリスあたりの戦闘機もたいして防弾性能を重視していないんですけどね。ただし、その軽量化がロール(横転)の遅さ、急降下性能の低さ(下手すれば空中分解、テストの段階で一人死んでいます)、拡張性の無さを露呈するわけですが。
設計者の堀越二郎もエンジン選定の時点で栄より重いけど拡張性のある爆撃機によく使われた金星エンジンにしておけば良かった「我、誤まてり」と後年書いています。
はい、閑話長いよ。
まあ、このように徹底的なこだわりで造られたFD3S、ロータリーターボの異次元加速と、フロントミッド配置されたエンジンによる理想的な前後重量配分。軽量化された脚回りによるこれまた異次元のコーナリングで正にピュアスポーツとして君臨したわけですが。
これだけ多岐に渡って手が加えられているということは、それだけ問題も抱えていた車であることの裏返しなんです。
最初期はその徹底した軽量化が仇になり、ボディの剛性が足りないという問題にぶち当たりました。2型と5型で2回に渡り補強されたのもそのため、少々重くなりました(だから馬力を上げて対処)。
そしてロータリーエンジンとは
とにかく爆熱ゴッ(ピー)フィンガーエンジンであることが問題、ロータリーNAのエキマニですら真っ赤に燃える!補器類を壊せと轟き叫ぶ!のはよくある話(ロータリーバイクの動画を参照)、それに更に高熱アゲアゲなツインターボ装着ですからまず冷却をなんとかしないと・・・最悪エンジンブローでヒートエンド!です(コラコラ)。
初期~後期までこれに起因する故障も多い車なんです。
そもそも、ロータリーはそのコンパクトさ故にラジエーターとの高低差が発生しやすく冷却効率がよろしくない(特にFDとRX-8もこの傾向があります)。
エンジンオイルによる冷却とクーラントによる冷却が同時に行えない(レシプロはシリンダー内壁をオイル、そのすぐ外に直接ウォータージャケットがあるから同時に冷やせます、ロータリーは内側がオイル、外側(ハウジング側)クーラントなので別々冷却なんです)、つまり元々冷却効率でレシプロに劣ります。
クーラントのみで直接冷やしている部分もあるから、気泡が発生しやすい、ロータリーはその気泡との戦いで、エアブリーザータンクが必ずありますが、ノーマルは樹脂製なので効率が悪かったり(金属製の物がアフターパーツであるぐらいです)。
また、当然高温が続くと電気系にも悪影響が、それに起因する故障もレシプロより多めです。
更に歴代で実はFDだけが「ハイオク指定」なんですよ、そりゃコスモの20B3ローターほどの象飲鯨食ではないですが燃費は知らない方があなたは幸せになれます(^_^;)。
2002年の限定車(バサーストR)の販売を持って約10年の歴史にピリオドを打ちました。
さて、中古市場ですが。
現在は5~6型が主流ですね。ただし、バサーストRやスピリットRなどの限定車つまり役物は走行距離に関係なく最低300万円から最高400万円を越えます。4型あたりのタイプRBでも200万円オーバー、ジリジリと値段が上がっているとのこと、アメリカあたりでも人気なので流出しているそうで、値段が上がるとのことです、R32GT-Rも今この現象が起きています。中古市場価格がかなり高騰しました。
マツダがその情熱で精根込めて造り上げたピュアロータリースポーツ、そのスタイルも評価されていて世界で最も美しい車という海外のランキングでも61位の評価を受け、ロータリーロケットと海外でも評価の高い地上の零戦、それがアンフィニ(マツダ)RX-7(FD3S)です。
たまに見かけますが美しい車です、最後までリトラクタブルライトを貫き通したのもまた良しですね。
所有したなら?、個人的にFDは青色が綺麗だなと思うので青で、形式は265馬力化した4型が良いかな、いたずらなパワーアップはせずに軽くで、脚をしっかり見直し外観はリヤウイングを一体感のある短いダックテールにしたいですね。勿論冷却には色々とつぎ込みたい、ラジエーターの容量上げ、インタークーラーよりこちらを先にやらないと、オイルクーラーも装着で。ヘッドライトはリトラクタブルのままレンズの高さを低くして、つまり薄型にしたいです。
これは最終型のミニカーですが、私のイジりのイメージに近いです。ウイングだけ一体型のダックにしたい所です。
まあ、維持にすら莫大なお金が必要ですけどね。
FD3S・・・良いなぁ。
次のRX-9(らしい)はかなり高額な車になるそうですし(800万円?)、どちらかと言えばコスモの血脈になりそうな予感がしています。