今回もヤマハから。
ヤマハのイメージ(個人的な)、ハンドリングとシートの座り心地が良い洗練されたバイクを造る会社。
そしてキレてからの後だしジャンケンが得意な会社w
基本、優等生で柔らかくどこか女性的なデザインのイメージです。
しかし・・・だ、この会社時々漢(おとこ)くさ~いバイクも造るのですよ。

例えばV-MAXとかね(紹介済)、やはり私は北米では現行の1700より初代の1200のほうが好きですね、良い出物があれば欲しいぐらい(実際候補で探しました)。

MT-01も良いですね、無骨さの塊で好きです(紹介済)。
このV-MAXなどとは全く真逆の方向で漢くさくて質実剛健な、実用一本槍なバイクがヤマハには存在するのです。
【YAMAHA AG200】
「ヤマハ AG200」です。
1985年のデビュー・・・というか、生産自体はこれより前からされていたんですけどね。
てか、どんなバイクだよ?となっているかと、日本では知名度は無きに等しいですから。

これです、これがヤマハAG200、はい、ここでは珍しくオフロードバイクですよ。ただし、ただのオフロードバイクではありません。
スペックはこちら。
空冷単気筒SOHC2バルブ、排気量196cc、最高出力16馬力です。
同じヤマハのXT200をベースにしたエンジンで、日本ではTW200とほぼ共通のエンジンです、あのセローとも兄弟関係になります。
まず、名前のAGとは。
農業や牧畜などを意味する「Agriculture」(アグリカルチャー)の略、名前の通りコイツはバリバリの農業用バイクなのです。
牧場や農場で走って仕事をする事が前提というユニークなバイクです。
尚、このアグリカルチャー(農業、牧畜用)というバイクのカテゴリー、日本では馴染みが薄いですが海外では一つのバイクのカテゴリーとして認知されていて、実は現在も日本のホンダ、スズ菌、カワサ菌にもそれぞれ車種がありますよ。
日本ではこの分野は四輪の軽トラがありますからね、こちらは最近は海外でも高く評価されていますけど(特にアメリカでは中古車が大量に輸出されているぐらい大人気)。
このような出自のバイクですから、その装備も独特でして。

ライト上にガードも兼ねた頑強なキャリア、軽い荷物なら載せられます。
鉄製のハンドルガードを標準で装備、籔の中や背の高い農作物の間を駆け抜けるために重宝します。
クラッチレバーを固定出来る機構が付いていて、クラッチを切ったまま固定し、それを解放するとすぐに走り出せる機能があります。つまり、作業中のあなたの両手がギア操作をせずにフリーになりますね。
更にリヤキャリア、かなり大型で強度の高い物が装備されています。牧場では干し草を運んだり、農場なら収穫した農作物を満載したりと頼りになる装備ですよ。
この大きなリヤキャリアがあるので1人乗りですけどね、2ケツ不可です。
他にもフロントとリヤフェンダーには大型のマッドフラップ(泥除け)や、オプションだそうですがサイドスタンドを右側にも装着可能で止める場所を選ばない、チェーンカバー装備で泥だらけの場所でも安心、ガソリンタンクもリブ付きで頑強だしエンジンガードやペダル類もこれまた頑強な造りだったりと

まさに仕事猫ならぬ「仕事バイク」なのです。
働くためのバイク、この呼び方が相応しい。
牛を追ったり羊を追ったり、大規模農場で軽作業をしたりと海外では大活躍なんですよ。

日本には、働くバイクと言えば世界のスーパーカブがありますけどね。流石にこれで大規模な農場や牧場を走るには・・・ハンカブ(ハンターカブ)もあるけど。
ですのでAGは北アメリカ、オーストラリアなどが主戦場なのです。
一部地域では小数が軍用としても使われているとか?。
そんなバイクをヤマハは上記の通り1985年に日本でも販売したのです。「道なき道を行くヘビーデューティートライアル」というキャッチコピーで、しかし、これまた上記の通り働くという部門では日本ではスーパーカブの独壇場ですし(今もね)、まだその頃は性能が全てのレプリカ系ロードモデルが持て囃される時代でしたし、当然売れていません。
しかし、ヤマハは日本では売れないとわかっていても敢えて販売していたようにも見えます、「こういう世界もバイクにはあるんだよ」というヤマハなりの提言だったのでは?。
正味の販売期間は1年ほどだったとか?。このように静かにその姿を消したのでした・・・・。
さて、中古市場
実は結構強気な価格です。40万円あたりが相場、特に最近はアレのために注目されるようになりましたから・・・アレって何だよ?、後述しますね。

「道なき道を行くヘビーデューティートレール」として日本では販売されましたが、本来は農場や牧場で仕事をするための仕事バイク、当然高速走行は苦手で速さというものからは縁遠く、性能第一主義な当時は見向きもされませんでしたが、その積載力やタフさは折り紙付きの漢の仕事バイク、それがヤマハ AG200です。
乗るならとりあえず前後のギア比を見直して乗りたいですね。かなり低速仕様なので。
・・・・・・おい、私が消えたって?、お前は何を言っているんだよ。

実は、オセアニア方面(オーストラリアとかニュージーランドなど)や南アフリカ方面では、まだ新車で販売しているんですw。
そう、実はかなり息が長いバイクなのです。1980年代初頭から今現在まで現役ですからね、SR400並みかも?
エンジン周りやタフな装備はそのままで、フロントホイールが19インチから21インチに変更、バッテリーなどの電装系が6Vから12Vへ変更などなど細部を熟成させながら今現在も生産されているのです。つまり一応現行車ということになります。地域によってはAG200Fという名前になってはいますがまだ生存しているのです。
日本でも一部の業者さんが逆輸入販売を(いや、輸入販売かな?)していて、新車で車両本体77万円あたりです。意外と高いな。
ヤマハさん、ソロキャン流行りの今ならAGは再販しても売れるのでは?、そう、上記したアレとはソロキャン需要のことです。
ギア比だけを見直してまずは台数限定で販売してみてはどうですか?、ソロキャンでゆるキャン(このAGならガチキャンだって出来るさ)な今こそが再販のチャンスですよ!。

せっかくのタフなツールとして優秀なこのバイクを農場や牧場だけで走らせておくのは勿体無い気がしますけどね。
実際、今現在のAGのオーナーさん達は山岳トレッキングや山奥でのゆる・・・じゃねぇなガチキャンに使用していますし。
今なら需要がありそうですけどね、ホンダのハンカブ(ハンターカブね)がかなり売れていますし。