今回は、かなりレアな車をご紹介、お国は「オーストリア」からです。

カンガルーなんて居ね~し!
これ、本当にオーストリア国内の空港などで売っているお土産なんだそうですよw。ステッカーなどもあるとか、普段からよっぽどオーストラリアと間違えられて(頭にきて💢)いるんだろうなw。

濃い緑色の所がオーストリア、ドイツのご近所さんで首都はウィーン

それ、Queenな。
少年合唱団が有名ですね、公用語はドイツ語です。クラシック音楽の世界では絶対はずせない国ですよ、ベートーヴェンもオーストリアの人ですし他にも著名な人が沢山居ます。

バイクだとKTMは有名ですけどね、日本にもディーラーがありますし。

狂気の塊のような車、KTMクロスボウ(紹介済)もあるでよ。
さて、本題。
今回のは恐らくまず普段お目にかかることはない車かと、一応カテゴリー的には「軍用車」ですからね。
【Steyr (Daimler) Puch PINZGAUER】
「シュタイア(ダイムラー)プフ ピンツガウアー」です。
はいっ!何それ珍百景状態かと、ピンツガウアーとはこんな車です。

スゴく・・・軍用車です。
ちなみにピンツガウアーという名前は、オーストリアに居る馬の品種名から来ています(ピンツガウエルとも呼ばれています)。
スペック
強制空冷直列4気筒OHV、排気量2499cc、最高出力87馬力です。
燃料はガソリンで燃料供給はゼニスのキャブレター式、年式や形式によっては2700ccになったりもしますが。

一見大きく見えますが、全長は4.2mほど、車幅は1.78m、全高は2.04mと高さはありますが案外小柄な車なんです。

大きさ的には、初期のウニモグみたいな感じですかね。
乗車定員は最大で10名、仕様によっては5~6名、車格や排気量や定員数から一応普通免許で運転できる範囲内には収まっています。
1971年に誕生、当然軍用車として生まれオーストリアは勿論のこと、周辺諸国や一部の中東諸国、ニュージーランドなどでも軍用車として採用されています。
足回りは四輪独立懸架で、ショックアブソーバーは2本ずつ装着されていたりと質実剛健な足回り、エンジンは上記の通りOHVの強制空冷式と古めかしいですが、シンプルな構造で故障しにくく、また、故障しても整備は容易だそうです。車体が傾いてもオイルを安定してエンジンへ供給する機構もついていたりします。
高い車高は全ては走破性のため、デフやドライブシャフトを出来るだけ高い位置に取り付けてあって、ちょっとやそっとでは腹を擦るなんてことは皆無だそうです。
勿論、四輪駆動(AWD)ですよ。

運転席、さすが軍用車シンプルの極み、快適装備?そんなものありませんヒーターぐらいです。
シートはビニール、フロアマット?その辺のホームセンターでゴムマットでも買ってこいよなレベルw。たぶんフロアをホースで直接水洗いも可能かなと。
助手席側の上部には戦車みたいにハッチもついていて、上半身を乗り出すことも可能ですよ。本来は視界不良な時の視察用ハッチですけどね、トランスミッションは5速MTのみです。
ちなみに画像のは710Kというパネルバンタイプで、710Mだと

この通り運転席から後ろは幌だそうです。

リヤシート、これまたシンプル、使用地域や形式によってはこの通り横座りだったり、アンビュランス(救急車)タイプもあって可倒式のベッドも兼ねるベンチシートタイプなどもあります。つまり室内レイアウトは選べるということです。

6輪タイプ(デファレンシャル切り替え式の6輪駆動)の712もあります。
尚、日本の陸上自衛隊も70年代にこの712を少数輸入したらしいです。現行の73式トラック開発の参考にしたとか?。
余談ですが、現在でも自衛隊では

タレスオーストラリア社製(オーストラリアにベートーヴェンは居ませんw)のブッシュマスター装甲車(MRAP)が少数ですが、輸送防護車として配備されていますよ。

MRAPとは対地雷、対爆発物防護車という意味合いでして、このV字型の底部により地雷や爆発物の爆風を逃がす効果があるそうです。タイヤも特殊なコンバットタイヤ(一部がパンクしてもタイヤ内部が仕切られていて走行可能)だったり、燃料タンクは特殊な樹脂製で外部に装着されていて、銃弾を受けて穴があいても、ある程度は自然に塞がったり、爆発炎上しても車内には被害を及ぼさないようになっているそうです。海外派遣での要人警護に使うらしいですね。
さておき、1980年には

後期型にチェンジしています。
エンジンはVW製の水冷ディーゼルターボになり、5MT以外に4速ATも選択可能になりました。
外観はラジエーターグリルがついたぐらいで、大きな変化はありません、というか、このピンツガウアーという車は最終的には2000年まで大きく基本形を変えずに生産され続けたのです。
2000年以降はシュタイア プフ社自体が細かく分裂してしまいまして、このピンツガウアーの製造権はイギリスのATL社に移り、その後は生産はされていないみたいです。
さて、中古市場
軍用車両を取り扱っている業者さんが少数輸入しています。
初期の空冷エンジンタイプで、車検や排ガス適合などの作業もやってくださるそうで乗りだし価格で720万円ほど。
ハンヴィー(H1)を買うよりかは安いのかなと、高さはありますが車体の大きさも現実的ですし。普通免許で一応乗れますし(ハンヴィーH1は今は普免では乗れませんよ)。
タイヤも普通の小型トラックや大型クロカン車用で適合するそうですし、ハンヴィー(H1)は4輪全部を交換すると80万円以上かかるそうですよ。

本来はバリバリの軍用車両ですが、この通り明るい色で塗ってあげればなかなか可愛げもありますね。
その出自からあのウニモグにもひけをとらない走破性を持ち、並みのクロカン車両よりもとんでもなくハードな車ですが、比較的小柄な車格から個人所有もしやすいほうで、道なき道を突き進める本物のクロカン車両、災害レベルの極限状態からサバイヴすることも可能なタフな車、それがシュタイア(ダイムラー)プフ ピンツガウアーです。
所有するなら?、710Kをベースに中を改装してキャンピング仕様にしたいですね、後席片側をアンビュランス仕様のシートにしてベッドにすれば良いかなと。
色は明るいグリーン系とかシルバーで塗りたいかな。そして、リヤゲートには。

このステッカーを貼り付けてあげたいw、KTM乗りの皆様もどうですか?。
実はかなり昔に、バイクで道内を回っていたときに、あるキャンプ場でこのピンツガウアーを見たことがあります。やはりキャンピング仕様にしてありました。最初はなんだこの車は?となりましたけど。
新雪の平原でも平気で、小川や山の中にも余裕で入れるとか。
流行りのSUVなんか足元にも及ばない本物のクロカン(というか軍用)車両、これぞ「本物」です。
ちなみに、シュタイア プフ社は分割されたものの会社としては軍需メーカーとして存続しており。

現在はパンデュールII モジュラー式多目的装輪装甲車などを造っております。はい、今でもガチの軍用車両企業です。