部署異動(60m)の引き継ぎなどで少し間が開きましたが、お久しぶりです。

はい、【変態】じゃなくてスズ菌!w
黎明期のスズ菌2サイクルバイクを世界的に有名にした大事な一台を。
【SUZUKI T500】
「スズキ T500」です。
かなり古いバイクなのでわからないかも・・・60年代末期~70年代ですから。
まずは1965年に

市販車初のDOHCを搭載した、4サイクル2気筒43馬力のCB450をホンダが販売
いわゆるクジラタンクの初代CB450ですね。
そして1967年のこと。

スズ菌はこの2サイクル2気筒のT200と

こちらの拡大版であるT250で2サイクルの変態じゃなくて2サイクルのスズキとして世間を席巻(これはギャグなのか?)しておりました。

つまりTT兄弟で市場を攻めていたわけですね。

ちなみに、この初代サイクロン号のベースもT250だったそうですよ。同時期のTS250ハスラーも使っていたようですが。

しかし、ほぼ同時期に4サイクルDOHC、45馬力のドリームCB450の2型で国内外にカチコミをかけて来やがりました。

そんなことをしたら・・・【変態】の血が黙っていなかったわけで・・・同じ浜松のメーカーだし(ホンダも昔は浜松にありました)。
1967年の東京モーターショーに「ファイブ」という名前で対抗馬を出展

当時としては最大排気量の2サイクルエンジンを搭載した、2気筒500ccのT500が1968年に爆誕したのです。
つまり、初代のCB450(クジラのほう)が出た頃には開発は始まっていたようですね。
スペック
空冷2サイクル2気筒、排気量492cc、最高出力47馬力です。
海外でも販売されて、海外(特に欧州)では「タイタン500」という通り名で呼ばれていました。

しかし、輸出用にスズ菌がT500につけていたペットネームは「コブラ」だったり「T5」だったりと・・・この辺が少しややこしいのですがw。
当時、250cc以上の排気量の2サイクルエンジンは、冷却は空冷が主流だったせいもあり、熱対策的に難しいと言われていた時代にあえて500ccの排気量でチャレンジ。
しかし、開発段階ではやはり熱対策に悩まされたそうで、特にシリンダー内の冷却が大問題となり、エンジンの異常振動やシリンダースリーブの引っ掻き傷など、温度の上昇にともなう様々なトラブルが発生して技術陣を悩ませたそうです。2サイクル空冷に500ccという排気量はやはり大きな壁だったのです。
そこでクランクケース右後方にオイルポンプを設置、クランクシャフトの両端部へオイルを圧送して熱対策、このあたりからスズ菌は油冷というものをつかみ始めたのかもしれません。この強制給油潤滑システムによって、T500の信頼性は、はじめて確保されることになりました。
翌年、1969年には早速2型へ、キャスター角の見直しなどを行い、直進安定性を向上させました。
しかし、今度は関西(厳密に言えばアメリカ)から刺客が・・・

はい、北米からカワサ菌が500SSマッハⅢでやって来たのです、2サイクル500ccの3気筒エンジンで参上、ちなみに初期の北米モデルは「ウインカーがオプション」でしたがw(紹介済)。
こうなると・・・T500の売れ行きに陰りが・・・。

スズ菌がマッハⅢに対抗するために出した解答は、1971年に発売した水冷2サイクル3気筒のGT750、いわゆるウォーターバッファロー(水牛)だったわけですが。

T500も同年にGT500と名を変えてスタイルをリファイン、スズ菌GTシリーズの一員として生まれ変わりました。
そう、この頃は市販2サイクルバイクの世界では、ヤマハやカワサ菌とガチの抗争を繰り広げていたのです。「2サイクルのスズ菌」のナニかけて・・・いや、名にかけて。
レースの世界でも活躍していて

こちらがレーサーである「TR500タイタン」、アメリカのカリフォルニア州で開催された12時間耐久レースで1-2-3フィニッシュを為し遂げる快挙を達成しています。
このレーサーから、T500はタイタンとも呼ばれるようになったのです。
日本では、絞りアップハンドルにシッシーバー装着や、セパハンを装着した姿で街角を直管マフラーで駆け抜ける、つまり暴走族の前身である「カミナリ族」や、新聞社の社旗を旗棒になびかせた走り命(がけ)の「プレスライダー」達にも愛されました。
最大排気量2サイクルの名をGT750に譲り、T500(GT500)は1974年末に生産を終了しました。2サイクルのスズ菌の魂は3気筒のGTシリーズに受け継がれて行ったのです。

まあ、結局1972年にはGT380の拡大版であるGT550を出したんですけどね。2サイクル3気筒でサンパチと同じくラムエアクーリングシステム装備のを出しちゃっています。こいつは海外では何故かインディと呼ばれていましたが。
さて、中古市場
流石に年代物の下手をすればクラシカルの部類に入るバイクですのでタマ数が・・・2台発見。
1台はGT500で83万円、もう1台はT500初期の完全ノーマルで110万円でした。
あら?、思っていたよりかは暴騰はしていない感じです。ちなみに上記のGT550は300万円以上なんて物も・・・わりと最近ある番組内で、ヒロミがレストアベースのGT550をある有名バイク屋で80万円で購入していましたが(治すそうで)。
同じ500cc2サイクルのカワサ菌マッパは500万円越えも珍しくないのにな。

スズ菌が「2サイクルのスズ菌」であり続けるために、持てる全ての力で当時世界最大排気量の2サイクルバイクの開発にチャレンジ、熱問題に悩まされながらもそれらを克服し、レースの世界でも大活躍、タイタンの名と共に「2サイクルのスズ菌」の名を再び世界に轟かせたバイク、それがスズキT500です。
所有するなら・・・というかここからは私からの提言。
そりゃ確かにカワサ菌マッパはカッコ良いですよ。
しかし、500万円?、600万円?、そこまでの金額を支払うバイクなんですかねぇ?、正直、暴騰しすぎだと思いませんか?。
そこでT500のススメ!
そりゃ100万円あたりですからこれもけっして安い部類では無いのですが、それでも!、暴騰マッパよりかはまだお求め易い価格かなと。
何?古くさいスタイル?、ジジ臭いだと?

これどーよ!

こんな感じはどーよ!

こんなのはどーよ!

カウル付きもいいぞ!
T500は英国風クラシカル カフェスタイルにすると渋くなるんですよ!。
排気音もマッパに負けず劣らずでパンパンと弾けるような2サイクルサウンドです。チャンバーを装着すれば尚良くなります。
カワサキマッパにバカみたいにお金を払うぐらいなら、まだそれよりかは安く入手出来る、こういう渋いバイクも世の中にはあるんだよという私からの提言であります。
整備面?古いからパーツは流石に厳しいですがそれはマッパも同じだし、T500はツインだからエンジン分解も楽だそうですし、そもそもエンジンの造りがシンプルですから、整備もしやすく他車部品の流用もかなり効くそうです。
カワサキのアレより安くて渋くて整備性も良いのがスズキT500!、いかがでしょうか!。