
目潰しっ!
いや、三菱行きます。
今回は、以前ご紹介した。

三菱ギャランGTOの弟分にあたります。
【MITSUBISHI Galant Coupe FTO】
「三菱 ギャラン クーペ FTO」です。
1971年の年末のこと。

上記の通り、GTOの弟分という位置付けでFTOがデビュー、全長でGTOより360mmほど短い車体なんですが、車幅はGTOと変わらないというボディディメンジョン、これによりホイールベースはかなり短くなりましたが、トレッド幅はGTOと同じというショートホイールベース、ワイドトレッドな走りに向いたボディを狙ったわけでもなく獲得していたのです。
FTOという車名は、イタリア語でFresco Tourismo Omologare(フリスコ ツーリスモ オモロガーレ)の略で、公認された新鮮なクーペスタイルのツーリングカーという意味なんだそうです、恐らく三菱による造語かと、一部ではフレッシュマンレース的な意味合いもあるとか。
以前ご紹介したGTOは、フェラーリにもある名前で(250GTOなど)、イタリア語のGrandeTurismo Omologáre(グランツーリスモ オモロガーレ)という言葉の略です。GTカーとして認定された車という意味合い。
この車、自社の他の車からの積極的な部品共用(流用)を、恐らく三菱としては初めてやった車でして。
エンジンフード(ボンネット)はコルトギャラン、ドアはコルトギャランハードトップ、ギャランGTO、ギャランハードトップとの共通部品です。そのためドアは車体に対して非常に長く見えます。
エンジンも同社の商用車であるデリカからの流用でスペックは以下の通り。
形式名4G41型、水冷直列4気筒OHV、排気量1378cc、シングルキャブ仕様は最高出力86馬力
それのツインキャブ仕様もあり、最高出力95馬力でした。トランスミッションは4速MTのみです。
最高出力ではGTOに劣りますが、GTOよりも小型で軽量な850kg台のボディ、ホイールベースは短いですけどトレッド(幅)はGTOと同じで、コーナリング性能ではFTOのほうが一枚上手だったそうです。

ご覧の通りかなり短いボディに上級のギャランのボンネットやら左右のドアなどを流用しているので、車体は小柄なんですが伸びやかな感じに仕上がっています。
ズバリ、ターゲットは当時の若者層に向けたパーソナル2ドアクーペでした。
1973年にマイナーチェンジ
まず、エンジンがそれまでのデリカからの流用であるOHVのネプチューンエンジンから、SOHC化されたサターンエンジンへと変更。
そのスペックは
4G33型 水冷直列4気筒SOHC、排気量1,439cc、最高出力シングルキャブ仕様で92馬力
4G32型 水冷直列4気筒SOHC、排気量1,597cc、最高出力シングルキャブ仕様で100馬力
ツインキャブ仕様で110馬力
1400ccもSOHC化で軽快な高回転となり、更に上の1600ccエンジンも設定

その1600cc、ツインキャブを搭載した最上級グレードである「GS-R」が誕生しました。
外観では当時の高性能車のお約束である、ビス止めのFRP製のオーバーフェンダーが目印

運転席、5連メーターがやる気を感じさせます、やはり旧車のインパネは、今の車の無機質な物よりワクワクさせてくれるので好きですね。
このマイナーチェンジは、勿論販売力向上のためのテコ入れだったわけですが。

それは、FTOデビューとほぼ同じ時期の1972年に、トヨタからTE27レビン・トレノが出たからなんです。
こちらは最上級グレードは名機2T-Gエンジン、ダルマセリカと同じDOHC1600ccを搭載しており、コレの対抗として全グレードのSOHC化と、最上級に1600ccツインキャブ仕様、オーバーフェンダー装着のGS-Rを出したんだそうです。
これにより、FTOは実力的には27レビ・トレと並ぶ車になったそうですが、当時の三菱はまだ重工から独立して、三菱自動車としてのスタートをしたばかりで販売網がトヨタより弱く、また、自社のGTOの影に隠れがちで27レビ・トレほどは売れなかったんだそうです。
つまり、自社内にも刺客が居たパターンですね・・・ホ(ピー)ダですか?w。
1975年まで生産販売されたそうですが、やはりレビ・トレほどは売れず、GTOの影に隠れたまま販売を終了。

FTOの名前はそれから19年ほど封印されてしまいます。
思うに、レビ・トレとの差がついた原因は、レビ・トレにはカローラという絶対的なベース車があった事がトヨタの勝因だったのかなと。
FTOはコルトギャランの派生ではあったんですが、実質独立した車種だったわけで、やはりカローラの知名度には敵わなかったというのもあるんじゃないでしょうか。
さて、中古市場
昭和の旧車人気で、当然爆上げですw、GS-Rの程度の良いものならば軽~く300万円オーバーですね、400万円に迫る物もあり、27レビ・トレの中古相場より若干高めです。
そもそも現存台数が少ないというのもありますが、下手をしたらGTOより高額な物も散見されます。

若者へ向けたエントリースポーツとして、自社流用を駆使して製作されたパーソナルクーペでしたが、トヨタから同時期に強力なライバルが現れ、また、自社のGTOの影に隠れてしまうという不幸を背負った部分もありましたが、軽い車体と上級モデルと同じトレッド幅で走りの面では凌駕しており、「わかっているヤツが乗るスポーツ」として認知されていた車、それが三菱ギャラン クーペFTOです。
所有するならやはりGS-Rですね、タコ足、ソレックスキャブ、デュアルマフラーの旧車三種の神器で、SUキャブでも良いかな。
点火系強化、オイルクーラー装着とそちらも抜かりなく。
脚は若干下げて幅広のアルミホイール装着と引っ張りタイヤで、ハヤシレーシングかワタナベ8スポークが定番ですかね、ロンシャンでも良さげ、勿論チンスポイラーもお約束です。

フォグ装着、高めの車高でラリーカー風も良いですね、フォードのエスコートRS風にするのも似合うと思います。
カラーはモスグリーンがイメージカラーですけど、GTOと同じオレンジ色にしても良い感じです。
GTOのほうは旧車イベントなどでも良く見かけますが、FTOって意外とイベントでも見かけない車なんですよね、これまでにじっくり見れたのは1台だけです。また久しぶりにじっくりと見たい車です。