
目潰しっ!

へああああああ~!目があっ!目がああああああ~!
もう止めませんかこのくだり・・・はい、三菱自動車からです。
その車は、22年もの間その基本型を変えずに造られ続け、晩年には「シーラカンス」と呼ばれてしまいました・・・。
【MITSUBISHI Debonair】
「三菱 デボネア(初代)」です。
1960年代初頭、三菱はトヨタのクラウン、日産のセドリックやグロリアなどに対抗できる大型(当時としては)セダンを欲していました。

そこで、イタリアのフィアットに高性能で知られた当時の最新型セダン「フィアット1800/2100」シリーズ(画像は2100)のライセンス生産を打診しましたが、話し合いは不調に終わりました。
これにより、では自社でイチから開発しようとなり

1964年、デボネアは誕生しました。
デボネアってどういう意味?、英語で「愛想の良い、礼儀正しい、陽気な」という意味合いです。
スペック
水冷直列6気筒 OHV、排気量1991cc、最高出力105馬力
水冷直列6気筒SOHC、排気量1,994cc、最高出力130馬力
水冷直列4気筒SOHC、排気量2,555cc、最高出力120馬力
以上が歴代のデボネアのエンジンです。長期間造られ続けたわりには大別するとこの3種類なのです。

見た目は大柄な車体に見えますが、実は5ナンバー枠にギリギリですが収まっています、そう、初期~中期は5ナンバー車です、実物を見ると案外小さく見えますよ。
車体は古いからフレームがありそうですがモノコック構造を採用、脚回りは前輪はウィッシュボーン独立懸架、後輪は半楕円リーフリジッド(板バネ式)で後輪駆動(FR)と、かなり手堅い設計です。

リヤ回り、60年代のアメ車的なデザイン、それもそのはずでデボネアのデザインをしたのは元ゼネラル・モーターズのデザイナーであるハンス・ブレッツナーが手掛けており、60年代のアメ車然とした角貼ったボディを特徴としています。リヤ上部の羽のようないわゆるロケットテールがまたアメリカン。
まあ、当時はアメ車的なデザインは流行りでもありましたからね。この初期型のテールランプはL型テールとも呼ばれております。

運転席、ジャガード生地のいわゆるベンチシート、初期はコラム式のMTでしたので、フロント側にベンチシートを採用できたのです。

インパネ、横方向へ指針が動くタイプという古色蒼然としたメーター、細いグリップのハンドルがますます古色蒼然、ハンドルに付いている半円状の物はホーンリングという物です、つまりこれがホーンボタンなんです。この半円状の部分を押すとホーンが鳴ります、昔の車はこういう形だったんですよ。

座り心地の良さげなリヤシート、こちらもベンチスタイル、この車乗車定員は6名で、つまり前に3人後ろに3人座れるのです。
1965年に、オートマチックトランスミッション(AT)、前席電動セパレートシート、パワーウインド、パワーステアリングを装備したパワーがてんこ盛りな「パワー仕様」を追加。
1969年、フロントにディスクブレーキを標準装備、同時にホイールを14インチ化。テールエンドのロケットテールの廃止。
1970年、マイナーチェンジと同時に搭載エンジンを変更、デボネア・エグゼクティブとなる。
新開発の直列6気筒SOHCエンジンに変更され、130馬力にパワーアップ。
1973年10月、大幅なマイナーチェンジで後期形へ移行。フロントドアの三角窓の廃止、

テールランプデザイン変更(L型テールを廃止、一般的にはサイコロテールと呼ばれています)フロントウインカー位置の変更など。
1976年、再度のマイナーチェンジでデボネア・エグゼクティブSEとなり、エンジンが2.6Lになり3ナンバー化、ラジアルタイヤ、および電動リモコン式タルボ型フェンダーミラーなどを標準装備。
ちなみにこのエンジン、あの三菱ジープ用からの流用なんだとか、この形式からトランスミッションはATのみとなりました。
これ以降は排気ガス規制対応などの細部変更が主体となりますが・・・・

これ、1984年式・・・どこが変わったん?レベルで変わっていませんなw、そりゃ80年代でこのスタイルならシーラカンスとか呼ばれても仕方ありませんわなw。
晩年は三菱で造ってその三菱の重役向けの社用車か公用車や法人向けになるのがほとんどだったそうで、つまり自社の社用車を生産して自社に販売しているという何とも滅茶苦茶な状態だったとかww、まあ、某ト(ピー)タのセン(ピー)ュリーは31年間造り続けたそうですが、あれもほとんど社内の社用車か公用か法人向けでしたし。
最終的には1986年まで生産されて

ようやく二代目であるデボネアVへバトンを渡しました。こいつはFFベースですけどね。
さて、中古市場
実は初代デボネア、そのクラシカルアメリカンなスタイルが逆に評価されて、意外と旧車好きには人気があるそうでして。
下は120万円あたりからで、初期LテールランプのOHVエンジンのレストア済みとなると、ASK(応談)というプライスタグ付きに、かなり値段が上がったそうですよ。200~300万円あたりも珍しくありません。

その車はアメリカンなスタイルを身にまとってデビュー、排気量的にも当時のライバル達を越えていましたが。

と、両さんにまで言われてしまう始末w。
実は白状すると初期の頃も買うのはほとんど法人か三菱社内の重役用だったそうで、一般自家用車として買われたのはかなり少ないんだとか。古色蒼然、旧態依然、崩壊寸前とまで揶揄される始末・・・。
しかし、そのある意味古きよきアメリカンなスタイルから、いわゆるロカビリー好きなな人々に評価されて、なんちゃってアメ車としてカスタマイズされて妙な人気となってしまった車、それが三菱デボネア(初代)です。
所有するなら、2リッター直6のSOHCエンジン、L型テールが良いですね。
ローダウンにやっぱりクレーガーSSの14インチ8Jホイールにホワイトリボンタイヤかな、ワイヤースポークホイールも捨てがたい。

色は黒で、基本的にはこんな感じで。というか元社用車が多いので流通している中古車のカラーはほとんど黒しかないそうですが。

イメージ的にはこのブラック・ビューティー号に近づけたいな、テレビドラマの「グリーン・ホーネット」の車ですね。こちらはアメリカのインペリアル(クライスラー)・クラウンがベースですが。

これも悪くない、これで色は黒なら言うこと無し。

これは力作、なんとチョップトップ加工(窓枠をカットしてルーフの高さを下げる加工)まで施されています。
古臭さが現在では逆に味わいになっている、日本では稀有な車だと思いますよ。最近はなかなか見かけない車になりましたが、アメリカンオールディーズなスタイルにしてあげるとかなりハマる車だと思います。
内装や小物類は勿論Mooneye'sで統一してあげたいな。