みんカラをアップデートしたらブログの不具合が治りましたw。
さて、バイクも久しぶりに外車からで行きます。
お国はドイツ、あら、こちらもベンベだわ・・・というわけで、BMWモトラッド(モトラッド→二輪)から行きます。
【BMW F800S(ST)】
F800S(ST)です。
比較的に近年のバイクなんですが、BMWのバイクの中では比較的に(ヤッチ)マイナーなバイクなので、皆さんの脳内が?の嵐だよ・・・。
と、いうわけでいきなり画像を出しますね。

こちらがF800S、BMWのバイクなんですが、どこか一昔前のドゥカティのような雰囲気です。2006年のデビュー。
スペック
水冷並列2気筒DOHC8バルブ、排気量798cc、最高出力85馬力です。
この水冷並列2気筒エンジンは、BMW製ではありません。ロータックス社と共同開発したエンジンになります。

こちらがロータックス社のロゴ、BRPロータックス有限合資会社が現在のフルネーム、オーストリア(だからカンガルーは居ない!)のエンジンメーカーです。
歴史は結構古く、1920年にドイツで誕生してその後オーストリアへ移転、さらにその後はボンバルディアの傘下になり、さらにさらにそこから分離してBRPとの合資会社となり現在に至ります。
とにかく根っからのエンジン屋さんでして、昔は2サイクルがメインでしたが4サイクルへ移行、バイク用は新生ビューエルに水冷Vツインを供給したり、並列2気筒や単気筒エンジンも様々なメーカーに供給、井戸の汲み上げ用エンジンや発電機なども造っています。現行のハスクバーナ(現在はKTMの傘下)にもエンジンを供給しているはず。
そのロータックスのバイク用エンジンのなかでもタイプ804というエンジンがありまして、これがBMWのF800シリーズ用85馬力仕様と、F650GS用71馬力仕様などに搭載されています。
つまり、BMWらしい空冷水平対向エンジンや横向き直4(昔のKシリーズだね)エンジン以外はBMWじゃねぇわ!という貴兄はここで回れ右ですな。
このパラレルツインエンジン、ちょっと面白い仕組みでして、クランク角(位相)の動きが今時珍しい「360度」なんですわ(正直古いやり方です)。
現在のパラツインは内外メーカー及び排気量も問わずで「270度」が主流です。
他には「180度」もありますけどね。この3種類が代表的なクランク角(クランク位相)です。
まあ、口であれこれ書いても解りにくいでしょうから図で説明。

これが、並列ツインエンジンにおけるクランク角の図。
一番左が360度、片側シリンダーが爆発行程の時にもう片側が排気行程、つまり左右のピストンが常に同じタイミングで上下に動くのが特徴です。
180度が真ん中、見ての通り片方が上死点の時にもう片方が下死点という方法、ツインでも高回転にしたい場合に選択されます。
一番右が現在のパラツインで主流の270度位相、片方が上死点の時にもう片方が圧縮(もしくは掃気)過程になるという、わりと左右がバラバラに動く感じとなります。
180度型の高回転とVツインのようなトルク感が得れる、つまりいいとこ取りなやり方なんですね。
ちなみに現在販売されている国産パラツインバイクのほとんどが270度ですが、カワサ菌のW800やメグロ(新生)が360度を(あえて)採用しています、古いやり方という意味がこれでお分かりかと。
そして、同じカワサ菌のニンジャ250やヤマハのR25などが180度を採用しています。
本当は、それぞれに一次振動とか二次振動とかが発生したり打ち消したりと細かい説明が必要なんですが、それだけでかなり長いブログが書けるので割愛!。
ちなみに、振動自体は六次振動まであるらしい・・・(このあたりは、人が感じる事が出来ないレベルだそうですが)。
まあ、バイクの場合は二次振動あたりまでが問題に(もしくは持ち味に)なるんですが。
かなり話がそれましたが、F800の360度クランクはダダダダダダダダと等間隔で連続で爆発する感じです、つまりこのタイプはカワサ菌W800と同じく排気音の歯切れが良いんです。
しかし、360度は一次振動が大きくなるという欠点もあります。

よって、それを打ち消すためにクランク中央にかなり巨大なバランサーがついております、これにより振動はほぼ皆無だそうです。
排気音はアイドリングはダダダダダダダダですが、回すと連続音に変わりピックアップが鋭いタイプ、回転落ちも早いですよ。

ブレーキは前後でブレンボ、フロントは4ポット対向、リヤは2ポット、BMWバイクのお家芸であるフロントテレレバーサスペンション、リヤはシャフトドライブではありません。フロントは普通の正立テレスコピックフォーク(なんと日本のSHOWA製)、リヤはモノサスでホンダのプロアームみたいな片持ち式スイングアームです。

もう一度この画像を、リヤ回りに注目。駆動伝達はBMW伝統のシャフトドライブじゃなければ何?、これ実はベルトドライブなんですよ、ハーレーと同じですね。ベルト自体も4万キロは交換不要で当然チェーンのような注油は不要です。
シート横についている丸いのは何?、実はこれ給油口なんです、シートの右側にあります。
で、STとは?

こちらがST、Sとほぼ同時期に販売されています。
何が違うのか?、まずハンドルがSはセパハンですがこちらのSTはアップのパイプハンドル、リヤには標準でキャリアを装備

このようにオプションでパニアケースやカウルにラージシールドを取り付けることも可能、つまりスポーツツアラーで名前がSTなのです。
でも、実はSにもこのキャリアやパニアケースは取り付け可能だったり・・・はい、正直に申し上げると、フロントのシールドの大きさとハンドルの違いだけです。
Sの走りは?、サスペンションが良く動き倒しこみも軽快、ツインですが高回転まで良く回るエンジンと相まってなかなかの峠マシーンだそうです。ブレーキはブレンボ、悪いはずもなく良く効くし、足回りも良い、国産に負けない実力の持ち主だそうですよ。
セパハンがキツければアップハンドルのSTも選べる、あちらのバイクにしては至れり尽くせりなのです。純正オプションでグリップヒーターも装着出来ますし。
しかし、実際の売れ行きは・・・正直、不人気車でした。やはりBMWらしさに欠けると言われ続けてしまい・・・。
よってSは2010まで、STは2013年で生産終了となっています。
ただ、このF800の血脈はこの次の世代で花開きました。

2010年から追加されたF800R、つまりネイキッドモデル(ストリートファイター系)ですが、これはセールス的には成功しており2015年以降も生産されています。
そこ、何だか顔が一時期のスズ菌のバイクっぽいなとか言わないw。
ちなみに、このRからベルトドライブを廃止し、一般的なチェーン駆動に改められました。
一番成功したのはこのF800GSかと、いわゆるアドベンチャー系で2013年に追加、これは今でも中古でも高価です。今大型ではアドベンチャー系は人気がある車種ですから。

Sは潰えましたが、STはさらに進化してF800GTになりました、STと大差ない感じですが、直進安定性を向上させるために車体がSTより延長されています。これは2020年まで生産されました。
このようにBMWが打ち出した、これまでの伝統を捨てた新機軸のツインバイク達は、最初は不振でしたがその次の世代は成功をおさめたのです。
さて、中古市場
Sは正直不人気でしたので、走行距離多めなら50万円あたりから、上で80万円あたりが相場です。STも概ね同じぐらい、BMWの空冷水平対向オールドバイクは価格が上がり続けていますが、水冷パラツインはわりとお求め易いのです。水平対向じゃなきゃ嫌だという固定観念を捨てれば、国産の同じクラスの新車より安く買えちゃうんです。人気の800GSでも100万円行かないですよ。
最新のBMWのSS(スーパースポーツ)系(300万円近くの価格です)バイクも普通の水冷直列4気筒なんですから。

BMWがこれまでの伝統である空冷水平対向エンジン、フロントのテレレバーサスペンション、シャフトドライブ駆動の図式を捨て、新時代の水冷並列ツインエンジンで勝負に出たわけですが、最初はやはり昔からの伝統に則って造られたバイクの方が人気があり、こんなのBMWのバイクではないと最初は不人気でしたが、新たなBMWのバイクとして認められてからは次世代型は人気も出始めて、評価される原動力となったバイク、それがBMW F800S(ST)なのです。
所有するなら?やはりセパハンのSですね、イジりはアクラポビッチのスリップオンマフラーを付けたいところ、色は暗い銀色か白も捨てがたいな。
後はタイヤに拘ってメッツラーあたりを履かせて。
ただこのF800S(ST)、ウインカー操作が結構特殊でして、右ウインカーは右側のハンドルにスイッチがあり、左ウインカーは左側ハンドルにスイッチがあり、一回押すと点滅して、もう一回押すと消えるという変態(スズ菌でもこれはやらんなw)操作を強いられますが。
ただし、基本的にBMWのバイクは維持費がかかる事もお忘れなく。
空冷R系(水平対向)のエンジンオイル、エレメント交換で2万円はザラです(正規代理店でのお話)、故障すれば部品代も高額、国産の倍かかるのも珍しくはありません。
だからこそ、F800系は実は社外品流用がしやすいという利点もあります。フロントフォークのオイルシールはホンダCB1300SFのが使えるとか(SHOWA製サスの強み)。
でも、ベルトドライブのベルト交換作業は10万円オーバーだそうですが・・・・。