今回は久しぶりに日産の旧車で、歴代四代目になる名車の系譜を。
【NISSAN BLUEBIRD(610)】
「日産ブルーバード(610型)」です。

先代にあたる三代目ブルーバード通称510ブル、これの後継として。

1971年610型ブルーバード、通称サメブルがデビューしました。
スペック(1600のものです)
水冷直列4気筒SOHC8バルブ、排気量1595cc、最高出力 100馬力です。
ちなみに当初は510型も並売されていたので、610型は「ブルーバードU」という名称でした。Uってなんだよ?それはUとはUSER(ユーザー)の頭文字であり、尚且つ「あなたのU(You)です」とも表現されていました・・・You、訳がわからないYo!、まあつまり「あんたのブルです」と言いたかったのやら?、日産としては「ユーザー・オリエンテッド」のUなんだとか。

エンジンはL型1600cc、SOHCの直列4気筒、これは先代510型からのきゃりーぱみゅぱみゅじゃなくてキャリーオーバー、他に1800ccもありました。

わりと四角四面だった510型に比べると曲線も上手く融合させたデザイン、画像は4ドアセダンで他には

610から初めて追加された2ドアハードトップ、リヤ側のサイドウインドが独特の形でJラインと呼ばれたそうです。グレード編成はSTD、DX、GL、SSS、SSS-L、SSS-Eが設定されておりSSS-Eは1800ccのインジェクションとなっており125馬力を出力します。ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップ、ワゴン、バンの4種類です。ただ、610には510にはあったタクシー仕様は設定されていませんでした(個人タクシー除く)。タクシーベースはは510型での継続だったそうです。

白黒ですがこちらがバン、ワゴン系です。かなりリヤ回りが長くなっております。
足回りは名車510ゆずりのフロントはストラット、リヤはセミトレーリングアームの4輪独立懸架を採用、ブレーキはフロントディスク、リヤはドラム式です。

インパネ(SSS系)、いわゆるこの頃の流行りである6連メーターがスポーティー

シート類、この時代にありがちなフカフカシート、2トーンの内装もあります。

前期型、フロント回りは当時のケンメリに近い感じのデザイン、実際スカイラインの弟分的な扱いでしたので。

こちらが後期、前期よりスッキリした顔に変化しています。
販売面では人気が高かった510系よりやや苦戦しており、ライバルであったトヨタのコロナには差をつけられていました。当時の日産ファンとしても510を好む方が多かったそうです。
そこで1973年に大きなテコ入れを実施、より大型で排気量も2000ccにアップした2000GTが追加になりました。

こちらが追加のGT系、さらにアメリカンな当時のポンティアックっぽい顔にチェンジ。直列6気筒のエンジンを納めるためにフロント側が延長されています。

当時のスカイラインGT系に搭載されていた直列6気筒SOHCのL20型エンジン、これを搭載しています。
GT系のスペックはこちら
水冷直列6気筒SOHC12バルブ、排気量1998cc、最高出力125馬力です。
上記で610型は通称サメブルと書きましたが、正しくはサメブルとはこのGT系のことを指す言葉でして、その理由は

フロントフェンダー先端部、ウインカーの後方に2本のプレスラインがあるのが見えるかと、これがサメのエラのように見えることからGT系はサメブルと呼ばれていて、つまりサメブルとはGT系を指す言葉になります。足回り等は通常の610と同じですが、前後のホイールベースは伸ばされています。

リヤビュー、やっぱりどこかアメリカンな感じ、この頃の国産車の流行りのスタイルでしたからね、グレード編成はGT、GT-E、GT-X、GT-XEとなります。ちなみにサメブルはわりと後でつけられたあだ名で、当時を知る人達はブルUとかブルGと呼びわけるのが一般的だったそうです。
610系は1976年までの生産期間で、1973年に追加されたGT系は実質3年ほどの販売だったのと、当時としては高めな価格設定なのもあり売れなかったそうで、サメブルは今ではかなりの希少車となっております。ちなみに610型の後継は

こちらの810型ブルーバードが引き継ぎました。正直コレも不人気車でしてね・・・いずれまた。
さて、510ブルはラリーの日産を支えたとも言っていい活躍をしましたが、この610もラリーに参戦しております。

こちらが610のラリー仕様、510と同じくサファリラリーに参戦していて

1973年には240Zが3台、610ブルは2台の体制でサファリラリーに参戦、同じ日産の240Zと鍔迫り合いを繰り広げつつ最終的には2位でゴールしました。しっかりとラリーの日産、ラリーのブルーバードを継承していたのです。
GT系をベースにしなかった理由は直6を搭載したことでフロントヘビーとなり、回頭性で4気筒モデルより劣っていたからなんだそうで、ホイールベースが伸びたことも仇となったとか。よって1800SSSの4ドアセダンをベースにしたラリーカーが製作されました。
さて、中古市場・・・超絶爆上がり中です。
ブルU系の4ドアセダン1600で最低370万円あたりから、2ドアハードトップのSSSだと500万円をオーバーします。そしてブルGいわゆるサメブルなんですが、程度の良い物だと1000万円オーバーもザラに居て、あとは応談がほとんど、もう1000万円が最低ラインなんじゃないかなと、ケンメリGT系と同じ直6のL20エンジンなのが評価されているそうです、いや、もう本当に気安く買える車ではなくなっております。販売当時はどちらも不人気車だったのにな。

世界的に大人気だった510ブルーバード、これを越えるべく大型化、高級路線で設計製作したのですが、価格の高騰と全体的に丸くなった外観が受けず販売面では苦戦、販売台数ではトヨタのコロナの後塵を浴びる憂き目に、テコ入れとして2000ccのGTグレードを追加するもやはり販売面では苦戦、何故なら車両価格がケンメリGTと大差がなく、もう少し出せばローレル(ブタケツ)も狙えるぐらいの価格設定でしてそれが仇となりました。なんぼGTとはいえブルーバードにそんなに高いお金を出したくないと、つまり身内にも敵がいた状態で510のように人気とはなりませんでしたが、海外ラリーでもしっかりと活躍して後継としての責任を果たした車、それが四代目日産ブルーバード(610型)です。
所有するなら?、そりゃサメブルGTが欲しい!・・・と言いたいところですがかなり厳しいかと、中古のヨンメリなら買えちゃう価格ですよ。まあ、ブルUでも充分に高価なんですが。とりあえずはオバフェン、チンスポ、シャコタンの三種の神器は勿論やりたいです。

4ドアセダン、これこれこんな感じが良い、オバフェンは無しでもカッコ良いな。

2ドアハードトップならこんな感じ、ちょっとケンメリっぽくなりますがカッコ良い。

サメブル、やはり良いなぁ、高額すぎて買えませんがやはりイジると迫力がありますね。

バンの改造車、これはこれでセンスが良くてカッコ良いなぁ。
4ドアセダンの1800SSSが一番現実的かな・・・それでも400万円近くしますけどねw。
さて、余談
610ブルーバードの後継は

こちらの810ブルーバードと書きましたがあれっ?となりませんでしたか?
「710ブルーバードはどこへ行ったんだ」と。
610からなので710となるのが自然ですが、ブルーバードは610型の後継は810型なんですよ、6と8の間を繋ぐミッシングリンクは?、実はちゃんとあるんです。

710の形式番号は、こちらの初代バイオレットに与えられたのです。610以降大型化したブルーバード、下は1000ccクラスのサニーになるんですがそこを埋める1400~1600ccクラスの小型車をということで1973年に追加された車種です。つまり610ブルーバードと並売されていた510ブルーバード(1600ccのみ)の正当な後継車はこちらのバイオレットなのです。こちらもいずれまたやります。