今回はホンダさんから。
初代、二代目はバリバリのスポーツだったのに・・・どうしてこうなった?、そんな太陽のスポーツのお話です。
【HONDA CR-X delsol】
「ホンダ CR-X デルソル」です。
1992年、それまでのサイバーCR-Xの後継として

デルソルは誕生しました。
キャッチコピーは「太陽のスポーツ」、車名のデルソル(delsol)とはスペイン語で「太陽の」という意味です。
峠や環状でよく壁や崖下に突き刺さっていたw二代目サイバーCR-X、その後継ですからさらにスポーツ度を増したモデルなんだろうと期待値は高かったんですが・・・まあ、色々とありましてw。
スペック
水冷並列4気筒DOHC16可変バルブ、排気量1595cc、最高出力170馬力です。
こちらのスペックは最上級グレードであるSIRのものでVTEC装備です。他にSOHC16バルブ1595ccVTECエンジン、130馬力のVGi、1493ccSOHCエンジンのVXiというグレードもあります。

こちらは1.6リッターVTECのSIRの名機B16Aエンジン、8000rpmまで回るいかにもホンダテンロクVTECなエンジンです、VTECが切り替わるとンバァァァァァァ~!な音のヤツですね。最高出力170馬力は当時のテンロクNAとしては最高のもの、リッター100馬力を越えてしまいました。じゃあ先代サイバー(160馬力)より速いのでは?、いや、それがちょっとねぇ・・・後程。
足回りは前後共にダブルウィッシュボーン、ブレーキは前後ディスクブレーキを採用、基本的には先代サイバーを流用した感じですね。トランスミッションはMTとATが全グレード選択可能。

サイドビュー、リヤはハッチバックではなくなりリヤウインドーが垂直に、初代、二代目のコーダ・トロンカ(テールを垂直に切り落としたようなスタイル)とは明らかに違います。どちらかと言えばクリフカット的ですね。トランクルーム回りの形状から一見ミドシップにも見えますが、エンジンは前でFF駆動ですよ。

リヤビュー、初代や二代目よりクーペ感が強いスタイルなのがわかります。

車内、初代、二代目はリヤにワンマイルシートと呼ばれた後席がある2by2でしたが、このデルソルでは完全に2シーターとなりました。

シートはサポートが強めのセミバケ風、造りはかなり良かったそうです。真ん中の差し色はボディカラーに対応していて、かなりお洒落感が増しています。

インパネ回り、右からスピード、中央がタコ、左がその他のわりとシンプルな計器類、一応オープンカーですのでメーターハウスの形はゴーグルをイメージしたものだそうです。

さて、この車の最大の売り、「太陽の」という名前のとおりルーフが開閉します。全グレードで電動と手動式の開閉が選択できるようになっていました。電動ルーフの開閉がなかなかユニークでして

電動開閉ルーフの名称はトランストップと申します、メーターハウスの右上側に黒いスイッチがありまして。これをスイッチオンすると

リヤのトランクルームのトップが上にせり上がるように移動します。

ルーフのフロント側のロックを手動で解除、するとルーフ後方が持ち上がり、後ろのトランクルームのトップの中へ収納されます。そしてトランクルームのトップが元の位置へ戻って終了となります。ルーフを閉める場合はこれを逆にやる感じです、開閉にかかる時間は約45秒とのこと、それなりに時間がかかりますね。ちなみにこのトランストップの車両はルーフの素材が通常のスチール、手動式の開閉のトップのルーフはアルミ製だったそうです。手動式は軽量化されていたんだとか。

開くとタルガトップ的なスタイルとなります。

ちなみにクリフカット的なリヤウインドーはなんと上下に動いて開閉できるようになっていて、スイッチで完全に開くことが可能、開くと上の画像のようにロールバー付きのオーブンといった雰囲気が味わえる二度美味しいギミックです。
後程のお話を、このようにかなり凝ったギミックも装備、これはデルソルは売れたでしょとなりますが、正直皆様このデルソルって実物を見たことは少ないのでは?、はい、商業的には爆死でした。
なぜ売れなかったか?、二代目サイバーはどのグレードでも850kg~910kgほどの車重で、同年代のベースになったシビックより軽くそれも速さの秘訣でした。それに対してこのデルソルは1040kg~1180kgとかなり重くなってしまいました。これにより走りの面が結構スポイルされてしまったわけです。タルガトップオープンというスタイルである以上車体に補強が必要ですし、トランストップ機構自体の重量も結構重い(50~60kgぐらいだとか)ので、さらに車重にプラスになってしまう。トドメは上記のとおりトランストップ車のルーフは耐久性を考えたのかスチール製・・・そりゃ重くなりますわなw。なのでホンダCR-X デルソルを検索すると最初に出てくる検索候補は「ホンダCR-X デルソル 遅い」なんです。やってみてくださいw。
なのでいろんな意味で刺さりまくっていた初代バラスポ、二代目サイバーのユーザーからはなんかデルソルは軟派で軟弱な車になってしまったと酷評でした。ただ、重くなった分車体の安定性は上がったという意見もありますね。
こういう車でしたからレース仕様等はありませんでした。ただ、初代バラスポの最初のキャッチコピーは意外にも「デュエット クルーザー」だったんですよ、それからマイチェンの度にスポーツ色を強めて行き、二代目サイバーは走りのCR-Xへ進化したのですが、ホンダが当初目指したのは二人のための特別な空間的な車だったのです。なのでデルソルでは初代初期のバラスポでの本来の路線への回帰、つまり「新しいスポーツの提案」としてこのようになったんだとか、ただ色々と新機構を盛り込み過ぎて重くなりすぎたわけですね。本来二人のためのスポーツだったわけですから・・・似たようなコピーの車が他社にも居たなw。そして特に二代目サイバーはよく突き刺さってたものですから、一部から白い目で見られたのもあってホンダ的にはそれは不本意だったのかなと。
それとマツダのNAロドスタの存在も開発のきっかけになったようです。しかし時期的にバブル崩壊、それとトランストップ付きのSIRだと210万円越えと当時のテンロクスポーツとしては高めの価格設定も裏目となりました。最終的には1998年で生産販売を終了、この後CR-X系の血脈はしばらく止まることになりました、一応後継のハイブリッドのアレが出るまではですが。
ちなみに北米などにも輸出され、そちらでは「シビックCR-X」(初代、二代目も)の名前でした。あちらではそれなりに売れたそうです。
さて、中古市場
VGiやVXiの手動式ルーフのATなら80万円あたりからあります。それぞれのMTだと100万円あたり、そしてSIRは電動ルーフもそうではないのも、特にMTは300万円越えも散見されます、もう走行距離関係なくです、かなり価格帯の幅が広いですね。そもそも売れていないのでタマ数が少ないというのもありますが。

CR-Xとしては三代目、特に二代目サイバーはバリバリの走りの車だったのでこのデルソルにも期待がかかりましたが、いざ販売されたら高い!重い!遅い!の三拍子で走り屋さん達の期待をことごとく裏切って酷評、販売面では不人気車となり爆死、しかし、本来ホンダがCR-Xに対して与えたコンセプトであるデュエット スポーツという面では歴代て最も体現した車、それがホンダ CR-X デルソルです。
所有するなら?、手動式トップのSIRかな、まずは軽量化でルーフやボンネットを社外のFRP製にしたい。エンジンはロムとVTECコントローラーでイジイジして、足回りは車高調で固めてローダウン、外観は軽めに

この無限のバンパーは付けたいな。というか無限のエアロ装着で、リヤは初代インテグラタイプRの純正ウイングを装着すると似合いますよ、マフラーも無限が良いな。

こちらはEGシビック

こちらはEKシビック

EGやEKシビックの顔面を移植したのもいますね。これはこれで似合うな。シビソルとかシビ顔と呼ばれているみたいです。

こんな感じの軽めな感じも良いなぁ。ホイールは無限のも良い。
サイバーは今でもたま~に見かけますが、中古のお値段が物によっては500万円近く、デルソルは全く見かけなくなりましたね。絶滅危惧種です、手厚い保護が必要な車かと。
余談
初代、二代目にあったCR-Xのコンプリートモデルである「無限CR-X.pro」(二代目サイバーはpro.2)

実はデルソルにも「無限 CR-X pro.3」があったんだそうです。エンジン関係はそのままで、エアロや内装や足回りやホイールやマフラーなどが専用品だったんだとか。さすがにこれはお目にかかったことがありません、というか現在国内で何台残っているのやら?、あったら中古価格もかなり高額になりそうですね。