今回はマツダさん。
歴代では三代目にあたります。ただ、ちょっと評価には恵まれなかった・・・かな?、そんな1台を。
【MAZDA Roadster (NC)】
「マツダ ロードスター(NC型)」です。
2005年

それまでのNB型ロドスタ(表記はこれで)からバトンタッチされたNC型ロドスタがデビューしました。
スペック
水冷直列4気筒DOHC16バルブ、排気量1998cc、最高出力170馬力です。ちなみにこれはMTモデルのスペックでATモデルだと166馬力になります。

まず最初に、NCロドスタは2005年~2015年の長い生産期間で、NC1・2・3の前期、中期、後期モデルに大別されます。これを念頭に入れて下さい。

エンジン、水冷直列4気筒DOHC16バルブ、排気量は1998ccと初代、2代目より拡大、可変バルブタイミング機構を搭載して最高出力も170馬力と引き上げられました。ただタコメーターは7000rpmまでと意外と回らないタイプで、胸のすくようなトップエンドの伸びには欠けるとか。その分中低速でのトルクを太らせて、日常での使い勝手を重視し乗りやすさを狙った特性です。2型からはセッティング変更などが行われ出力は変わりませんが回転数は7500rpmまで引き上げられており、トップエンドまでの伸び感が向上、エンジン内部にも手が入って、鍛造クランクシャフトへ変更、ピストンをフルフロート化、バルブスプリングを新設計の物への変更などが施されています。

足回り、画像左のフロント側足回りはダブルウィッシュボーン式を採用、基本的に部品等はRX-8と同じですが、アッパーアームをアルミ製とした上でアーム長を大きく取ったレイアウトです。ダンパーはガス封入の物が使われています。ブレーキはディスクを採用。
画像右側がリヤの足回り、こちらもダブルウィッシュボーン式を採用、基本構造はRX-8と同じです。5リンク構成のマルチリンク式、各リンクの長さを最大限に確保しつつ、コンプライアンスコントロールを狙ったレイアウトとなっております。ブレーキはリヤもディスク式を採用。前後ホイールやタイヤサイズは205/45R17です。

側面透視図、エンジンブロックがかなり運転席側まで下がっているのがわかるかと、いわゆるフロントミッドシップ配置で、50:50の理想的な重量配分を達成、これによりコーナリングなど運動性が非常に良いものになっております。

左斜め前から、基本的に足回りやシャシーは同時期のRX-8の物と共通ですが、細部は専用の部品が使用されています。ボディサイズは特に横幅が拡大されていて3ナンバー化、これにより直進安定性やコーナリング時の安定性が向上、まあ、この車幅の拡大は当時賛否両論がありましたけどね。

インパネ回り、三本スポークの革巻きハンドル、メーターはスピードとタコメーターが並ぶオーソドックスな配置、トランスミッションはグレードにより5MTと6MT(RSやVSグレード)、アイシン製の6ATもあります。ATはパドルによるシフトも可能です。

内装、グレードによって変わりますが本革のセミバケット風シート、内張りもNAやNBより質感はかなり向上しています。3ナンバー化の恩恵で横方向の狭さも改善されました。

リヤビュー、テールランプの意匠は初代、二代目を踏襲、幌の開閉方式や収納方式も踏襲しております。基本的にグレード構成はベースグレード(5MT、6AT)、RS(6MT、6AT)、VS(6MT、6AT)の3つで、後は年式により特別仕様が入る感じです。生産期間が約10年と長いので、全部紹介するとかなり長くなりますから割愛で、海外のみの仕様もありますので。
そして、2006年より追加された

RHT(パワーリトラクタブルハードトップ)仕様車が追加、つまり電動格納ルーフです。現行NDロドスタにもRFとして採用されているヤツですね。電動式はこのNCから始まりました。当然幌の車両より重量は増えますが、40kg増に抑えてあるそうです。開閉に要する時間は12秒ほどとかなり早い開閉が可能でした。
さて、その走りは?、理想的な前後重量配分で更に3ナンバー化によるトレッド幅拡大もあり、コーナリング時や直進の安定性が向上、エンジンも2リッター搭載でそれまでよりトルクも増大、悪いわけがないんですよ。現行も含めた歴代ロドスタで最速の評価も受けています。ですが、歴代で最も不人気なんですよねNCロドスタって、何故なのか?。まず、3ナンバー化が歴代に乗って来た方々にはまず無いわ~なんだそうで、それに伴う車重の増大も否定的な意見が多い、でも、NB型の1070kgに対してNCは5MTの幌車で1100kg、そこまで極端には重くはなってはいないんですよね。つまりこれまでのNAやNBユーザーからは、NC型はライトウエイトオープン2シーターとは言えないというのが主な嫌悪の理由だそうです・・・いう程かな?と個人的には思いますが。その分エンジン出力は歴代二番目(現行NDの2リッターは184馬力)ですし、全体的な安定性に振った結果では?と思うんですけど。なので個人的にはNCも好きです、ガチな走り指向なら文句無しだと思います。
モータースポーツにおいては

ロードスターカップで現在も活躍中、2リッタークラスやオープンクラスではNCの独壇場だそうです。やはりコーナリングスピードは上位に入るらしい。

そして、装備が簡素化された競技ベースとなるNR-Aもちゃんと設定されていました。現行にも近いグレードがありましたよね。
最初に書いた1、2、3型の違いをもう一度

上からNC1型、NC2型、NC3型です。外観上一番わかりやすいのはフロントバンパーの開口部の形、これで見分ける事が出来ます。2から一時期のマツダの顔だった逆五角形グリルに形状も変わって行きます。上記の通り約10年、2015年にND型へバトンを渡して生産終了となりました。
さて、中古市場
1型ベースグレードのATだとなんと50万円台からあります。6MTだと130万円台から、2型6MTで150~180あたり、3型6MTで210万円台、ATだと130万円台とかなり幅が広いです。正直歴代ロドスタでは一番不人気だったので、比較的に安価な車両が見つかります、ただし、近年のMT車高騰の煽りはしっかりと喰らっていて、MTモデルは年々価格が上昇中だとか、買うなら今でしょ!だと思われます。

歴代三代目のロドスタはそれまでのキープコンセプトを捨てて、RX-8とほぼ共通の新しいシャシーで登場、車幅の拡大で3ナンバー化しましたが、その分エンジンが2リッター化されて増えた車重を感じさせないだけのパワーを獲得、従来のライトウエイトオープンを求める層からは批判的な意見も多数出ましたが、歴代では現在も最速のロードスター、それがマツダ ロードスター(NC型)です。
所有するなら?できれば3型のRHTで6MTグレードがいいな、幌にこだわりは無いので電動トップで、というかNCは屋根つきの方が個人的にはカッコ良いと思うのですが勿論幌でもOKです。2~3cmの少しのローダウン、RX-8用の車高調も使えるんだとか、純正流用も良いかも。小ぶりのフロントリップ、サイドスカート、リヤアンダーはディフューザー装着でウイングはダックテールの小ぶりな物を装着したいかな。吸排気系も勿論交換で。

こんな感じ、ラインを入れるのもアリですね。

リヤウイングはこういうのが良いです。後はディフューザーが欲しいかな。

色が良いなこれ、全塗もアリだな。
ちなみに、NCのパワーアップの方法として、当時のアテンザやMPVの2.3リッター~2.5リッターエンジンに積み換えるというやり方もあるそうです。

こちらが2.3リッターNAエンジンに積み換えて、さらにカムやらピストンやらを改造したもの、220馬力ぐらいに出力が向上しているそうです、これは楽しそうだなぁ。
歴代ロドスタでは一番不人気なNCロドスタですが、その分中古市場も比較的に安価なので走りを追及したい方にはこの上無いロドスタかと、食わず嫌いを止めて一度は乗ってみる価値がある車だと思いますよ。というか程度のよい中古があれば欲しいぐらいですわ。
余談
このNCロドスタをベースにした特装車がありまして。

このスタイルでお分かりかと、はい、光岡自動車ですね、名前は「卑弥呼」(ヒミコ)です。

違う、そうじゃないw
基本的にはフロントセクションとリヤセクションを延長して外装を変更したもの、内装なんかはNCロドスタそのまんまですよ。乗りたいか?と問われると・・・うーん・・・といった感じですがw。
ちなみにNDのロドスタをベースにした卑弥呼も販売されていて、今年3月にファイナルエディションを10台販売して生産が終了したそうです。お値段698万円・・・う~~んw
余談その2
その光岡自動車ですが、かなり少数生産(年間500台ほど)ですが、どうやって儲けてるの?。この手の特装車造りは実は光岡の本業では無いんです。本業は中古車販売や外車ディーラーです。さらに昔は50cc原チャリベースのマイクロカーも造っていて、その時の技術が現在の特装車造りに役立っています。
そして、実はこんなのも・・・

これ、ヴェルファイアをベースにした・・・霊柩車なんです。ヴェルファイアのリムジンとして販売しても売れるかもですね。ハイエースなどもあります。最近はこういうミニバンをベースにしたタイプで

車体を延長しないノンストレッチタイプの霊柩車もあるそうです。ストレッチタイプはやっぱり経年劣化で繋ぎ目が割れて来るんだとか。

こちらは先代クラウンベースの霊柩車、いわゆる今主流の洋型霊柩車ですね。つまり光岡自動車は特装車造りもこちらが本業なんだそうで、バディやビュートみたいな車両は「社長の趣味」で造っているんだそうです。

ちなみに現在こういう昔ながらの「宮型霊柩車」はほぼ絶滅したそうです。家族葬などが増えて皆が葬儀にお金をかけなくなったというのが一番の理由だとか。そして宮の部分を造る職人の高齢化で造れる人がほとんど居なくなったのも理由、尚、昨今は一部の火葬場で宮型霊柩車出入り禁止の所もあるそうですよ。