
先日、リモートタッチの「カバー」の人工皮革を本皮化した件を
夏の工作シリーズ⑤「リモートタッチの本皮化」にUPしましたが、その続きで、今回は指先で動かす 「操作部編」 です。
カバー部は、「元の人工皮革を型紙として使う」ことと「薄くて伸びる皮を使う」ことで、予想外に上手く出来たのですが、この操作部は小さいながらも、意外と厄介でした。
<パーツの構成>
操作部は、3つのパーツに分かれるのですが、
上部の黒い樹脂部 と 中段のメッキパーツ と 下部の操作部本体 です。
上部パーツと下部本体は4つのフックで固定されていて、中段のメッキパーツと下部本体も4つのフックで固定されています。
よって、下部本体を裏から見ると、「4つ+4つ=8つ」のフックが見えます。
<問題点>
①上部パーツは中段メッキパーツの内部にすっぽり1.5mmほど潜る形状ですが、この上部パーツに皮を巻くと外径が大きくなり、中段パーツに入らなくなります。
②皮を巻きつけるとなると、上部パーツと中段メッキパーツの間に皮を巻き込まなければなりませんが、そうするとパーツ同士のクリアランスが広がってしまうので、上部パーツのフックが下部本体に届かなくなり、フックで固定できなくなるのと、純正よりも上部パーツが上に出っ張ってしまいます。
<解決法>
① そのまま皮を巻くと外径が大きくなって中段メッキパーツに嵌めれなくなるので、皮を巻いても外径を同じにするには、上部カバーの外径を小さく削るしか有りません。
具体的には、今回使用する皮の厚みが約0.8mmなのですが、周囲をぐるっと1.0mm程度削って外径を小さくすることにしました。
② このフックで固定が出来なくなる点が一番悩んだのですが、Leather Custom Firstさんの商品はどうなっているのかな?と商品写真をじっくり見ていると、純正の操作部の形状と比べて、皮を巻いた部分が上側にやや出っ張っているのがわかると思います。
つまり、上部パーツに皮を巻きつけると、「裏側に巻いた皮の厚み分だけは分厚くなるのは仕方が無いことで、上に出っ張るのも仕方が無い」ということです。
(↓Lether Custom Firstさんの写真)
『専門の業者さんもこうなんだから、素人の私もそれで良い』 と判ると、気楽なもんです。
<加工方法>
(1) 裏側の4つのフックをニッパーで切断し、裏側全体にある出っ張りの中で、
①中央の出っ張り、②後方の大きな(高い)出っ張り の2つは残して、
他の出っ張りを削ります。
この裏側を削るのは、皮を裏側に巻いた時に、凸凹していると接着剤で皮を
固定し難いので削るのですが、①中央の出っ張り と ②後方の大きな(高い)
出っ張り は、上部パーツの位置合わせ用の出っ張りなので、これは残して
おきます。
この裏側の部分は見えなくなるので、あまり神経を使わずに、適当で良いと
思います。
(ハンディルーターをお持ちの方はそれを使うと簡単に削れます)
(2) 上部パーツの周囲をぐるっと1mmほど削る為に、上部パーツの周囲に細めの
白マジックで、塗り幅がほぼ1mmになる様に線を引きます。
それをヤスリで磨いて、周囲の外径を1mm(全長・全幅では2mm)小さくします。
(両頭グラインダーをお持ちの方はそれを使うと簡単に削れます。但し、削り
過ぎにはご注意を。)
(3) 皮をカットします。
この時、カバーの時の様な型紙に当たるものは有りませんが、中段のメッキー
パーツを型紙として活用します。
ア) 皮の裏側に、メッキパーツを裏返して置き(裏側の4つのフックが上を向く
様に置き)、周囲を細めのペンで輪郭をなぞります。

メッキパーツの周囲に30mmほどは余白を残しておいて下さい。
(このメッキパーツは上部パーツより外形は大きいですが、上部パーツには
膨らみがあるので、このメッキパーツの大きさが、上部カバーに巻いた時に
(ほぼ)ちょうど良い大きさになります。
イ) 皮を巻いた時に、裏側で皮が重ならない様にするために、下記の様にカットします。
(※←ここ重要です)

↓
↓
↓
皮が重なるとその分だけ 完成時に上側に出っ張るので、極力その出っ張りを
小さくする為に、裏側で皮が重ならない様な形状にカットした上で巻きつけます。
(上部への出っ張りを皮1枚分に抑える為です)
私も1~2度練習して判った事ですが、最初は大きめにカットしておいて、巻き付けテスト
を繰り返しながら徐々に小さくしていくと良いことが判りました。
この裏側で重ならない様にしつつ、皮の巻き込みが見えない様にするのは、
意外と大変ですが、それさえ出来れば後は簡単なので、このカットする部分は
慎重に行って下さい。(皮の伸び方にもよって違いますので、その点もお忘れなく・・・)
(4) カットした皮を上部パーツに巻いて、輪ゴムで仮止めして、1(~2)日ほど
置いておきます。
そうすると皮に形状が馴染んくると思います。
(5) 皮が馴染んだら、上部パーツを脱脂した上で、表・裏に接着剤を塗り、
10~20秒ほど放置して半乾き状態になったら皮を貼り付けます。
接着剤は、カバーの時と同様に、G17ボンド or 77スプレーボンドが良いと思います。
この時、皮を軽く引っ張りながら巻き付けるのですが、
(A) 裏面で(極力)皮が重ならない様に
(B) 皮の切込みが表面(側面)から見えない様に
(C) 裏側の接着部分が剥がれてこない無い様に
注意しながら貼り付けて、完全に乾くまでしっかりと固定します。
私の場合、広い部分は77スプレーで。裏の巻き込み部分はG17ボンドを使用ししました。
この「接着剤の半乾き具合」と、「皮の引っ張り具合」は微妙ですが、前述の様に、
1度で上手くいかなくても2度3度とやる内に上手くいきますので、失敗を恐れず
頑張って下さい。

(↑周囲の切り込み部がこんもりしていますが、中段メッキパーツに押し込めば見えなくなります)
(6) 下部パーツの中央部に”薄め”の両面テープを貼って、(または接着剤を塗って)
皮を巻いた上部パーツに貼り付けます。
固定に両面テープを使ったのは、両面テープなら何かあったときに剥がし易い
のでやり直しも効きますが、接着剤だとハミ出る可能性があるのと何かあった
ときに剥がし難いので、やり直しが効かなくなる可能性が高いからです。
薄くて”強力な”両面テープがあればベストだと思います。
この部分は指で軽く押さえるだけなので、ガチガチに固定しなくても簡単には
外れなくなっていれば充分だと思います。
接着剤を使う場合は、塗るのは中央部付近だけにして、接着剤のハミ出し
には充分注意して下さい。
この後にもゴムでぐるぐる巻きにしてしっかりと固定するまで一晩ほど放置
したら完成です。
<装着>
単純に、上から差し込めば完成です。
<最後に>
私は今回加工した操作部のみ予備パーツ(約¥1700)を購入しましたが、それは分解して加工方法を検討するためだったのですが、私の加工方法を参考に作業されるのであれば、予備パーツを購入しなくても、上部と中段のみ外して、下の写真の状態にして加工に着手すれば、操作部を動かすことが出来るので、予備部品を購入しなくても済むと思います。
ちなみに、カバーを加工する場合も、カバーが無くても下の写真の状態でもリモートタッチの操作は充分出来ますし、私もこの状態で暫く過ごしましたので、こうすることによって予備パーツを買わなくても済むと思います。
この操作部は小さいが故に意外と苦労しましたが、これでカバー部とお揃いの皮で統一できたので、満足しています。
皮の色によっては、この操作部は純正の黒のままでも違和感がないとも思いますので、お好みで弄られると良いかと思います。
参考にして頂けると嬉しいです。
(今回は説明しにくい微妙な箇所が多くて、上手く説明が出来なかったり、写真が無かったりしてしまいましたが、その点はお許しくださいm(_ _)m)