
24歳。
親父は山形県庄内生まれ。
オレは有給休暇消化のため2日間の連休を貰った。
独り、親父の実家に向かった。
夏の庄内地方は緑が広がる。
鳥海山が見下ろす大地は、本当に自然が豊かだ。
目的は祖母に会う為だ。
歳の頃90過ぎ。
正直もう二度と会えないかもしれないと思った。
実際動くのがやっとでオレの為にヨボヨボしながら出てきてくれた。
2泊3日なんてあっという間だ。
少しでも長居したくて夜行列車(特急 出羽
※)を選んだ。
※当時
別れ際、妙に寂しくなった。
「また来いのぉ…」
さすがに酒田駅まで送ってくれることは出来なかったけれどその姿は今でも忘れない。
従兄弟夫婦に送ってもらい酒田駅で別れた。
ビールとさきいかを買い込んで出羽を待つ。
酒田駅の機関区を見ながら懐かしい風景を思い出す。
ホームに出羽が入ってきた。
お客さんがロクに乗っていない出羽は貸切のような状態。
流れる外の光を見ながら涙が止まらない。
「ゴメン、二度と逢えないかもしれないと思っていた。オレ、情けないよ。婆ちゃん、またオレと会う気だったんだね…。オレ、また会いに行くから。」
翌年、祖母は息を引き取った。
=8年後=
32歳。
結婚した年の晩秋。
お腹の大きくなった女房殿を連れ、親戚周りに庄内へ行った。
婆ちゃんの墓参りも忘れずに。
「よぉ。オレの嫁だ。よろしくなぁ。」
帰りの列車は夜行列車を選んだ。
あの時の思い出を蘇らせたくて。
残念ながら「出羽」は廃止され、「あけぼの」に統一された。
列車名は変わったけれど、風景はあの時のまま。
レールの音を拾いながら古い車両は上野駅に向かっていた。
※フリー画像使用
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Posted at
2008/12/14 23:44:56