鉄道好きＮジャン　#6

「ケーベン」の名前で両親は言う。
軽便こと静岡鉄道駿遠線。

たった１度だけ「ケーベン」に乗ろうと母親が生まれたばかりの妹とＮジャンをつれて新藤枝から大井川駅まで乗せてくれた。
最初で最後の「ケーベン」。
路線バスの普及により昭和４５年、廃止されたのである。

Ｎジャンが生まれる前、新藤枝駅から大手駅（旧　静岡鉄道藤枝営業所）までもこの「ケーベン」が通っていたそう（昭和３９年廃止）で、Ｎジャンの家の近くにはまだ線路の部品が置かれてあった。

母親がバリバリの静岡藤枝弁（イントネーションはゴン中山選手のお父様、『義助』さんに近い）で「ケーベン」について語る。

「あてらんち（静岡藤枝限定方言「私達」の意味）、仕事に行く時『ケーベン』乗ると、あんたのバーサンが『弁当忘れてる』って投げてよこした（「渡した」の意味）だよ。あまりお客さんが多いと瀬戸川登れんくて（「登れなくて」の意味）、みんなで降りて押したんだもん。」