
オイラは製造業の会社員。
父親は定年で既に退職しているが、同社だった。
オイラは入社当時は心細くてたまらなかった。
後に ¨ 兄キ ¨ と慕う同じ部署での先輩に出会った。
「君がNジャン(父)さんの息子さんか。」
そんな兄キはオイラより9コ年上。
オイラのスマホに彼からメッセージが入った。
「間もなく定年。お世話になりました。」
兄キは東北秋田県の象潟市出身。
しかし高校は山形県酒田市の私立高校。
そう、ウチの親父の出身地とかなり近い。
あの酒田大火事件の時に親父は偶然実家に帰省する為に酒田駅にいた。
兄キは当時学生で偶然にも酒田駅にいたという。
後に同じ会社に勤務すると、お互い妙な意気投合をしたという。
兄キは人柄もあってなのか不思議な事に自然に仲間が集まってくる。
週末は妙にオイラも楽しかった。
兄キのレガシィのトラストのリップスポイラーは、オイラが吹いたシルバー。
兄キのレガシィのフジツボのマフラーはオイラが取り付けた。
兄キの倅のセリフに腹を抱えて笑った。
「お父さん、塾に迎えに来るのはお母さんにして。クルマ、やかましいから。」
水平対向のサウンドが特徴的だからナァ…
兄キは音楽プレイヤー。
ウチにあったドラムセットは兄キに譲った。
ヴォーカル、フォークギターもこなす腕前だ。
オイラと兄キのセッションは何度やったかわからない。
職場の仲間の結婚式ともあれば、兄キとオイラは余興のご用達だった。
クルマもモータースポーツも大好きだった。
自身もレーシングカートをやっていた。
「つま恋」でよく走っていた。
「前にな、オレより遥かにバカっ速い小学生がいたんだよ。コッチは35秒を削ろうと必死だったのにアイツは余裕で30秒を叩き出すんだよ。なのに『今日は調子が出ない』とか言うんだよ。名前聞いたよ。今でも忘れられない。高木虎之介だってさ。」
兄キはクルマも大好きだった。
何度も富士スピードウェイへ一緒にレースを見に行った。
兄キはオイラがスカイラインGT-Rを手にしたとき、心底羨ましがってくれた。
兄キはかつて1BOXを乗っていた時もある。
ある日、オイラは荷物の運搬もあって一度、借りた事がある。
その時、代わりにオイラの愛機を乗ってもらったのだが、本人は嬉しがって走り回ったという(笑)。
兄キもスカイラインGT-Rに憧れていた。
しかし、後に目に病を負ってしまった。
運転免許証は返納。
最初で最後に運転した憧れのスカイラインGT-Rはオイラの愛機だった。
そっか…
兄キが定年か…
そうだね。
時代は変わったね。
それも変な方向に。
兄キ。
お疲れ様。
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Posted at
2018/04/19 21:39:19