Nジャン(N-JUNKIE)のブログ一覧

～プチ　コスプレ～

もうひとつの個人的なサプライズがコレ。
ＮＩＳＳＡＮ　ＣＨＥＲＲＹと書かれたツナギ。
基本的に非売品だ。

あまりの珍しさに仲間達にもウケた。
「何？すげー！！」という声がちょっと嬉しかった。

このツナギには、Ｎジャンのエピソードが詰まっている。




↓ＢＧＭ


小学校２年生の頃だった。
我が家に初めての新車、日産チェリーＦⅡがやってきた。
スカイラインではないとダダをこねたオレに両親はもちろん営業さんも困っていた。

数日後、親父に連れられて日産チェリー静岡販売店に行った。
新型車の発表展示会だった。
あの頃の店は、まだ規模が小さくショウルームには展示車１台がやっと。
イベントは、これまた小さなサービス工場でやっていた。

その時、金魚すくいをやっていた。
すぐに穴の開くオレに見かねたサービスのお兄さんが「内緒だよ。」と言ってペーパーを二重にしてくれた。
おかげで２０匹の金魚をすくったのだ（笑）。

帰りに営業サンが言った。
「ボク、これ持って行きなよ。クルマ、好きなんだろ？」
もらったのはレースカーのポスターだった。
ＦＪマシンで、「日産チェリー静岡」がスポンサーだった。
若手ドライバーのプロフィールが書かれてあった。
「星野一義　静岡市出身」
この時から実は星野ファンになってしまった。静岡出身のレーサーがいたのである。



時は流れて２２歳になったオレ。
ＨＣＲ３２ 購入を考えていた。
この時、チェリー店でも新たにスカイラインを取り扱っている事を知った。
そんな思い出もあってか、親父を連れてチェリー店に行った。
工場長は親父を覚えていた。

「Ｎジャン（父）さん、随分久しぶりじゃない。」
「いやぁ、実はウチの小僧のクルマをさ（笑）。」
「えええええ！！！　もうこんなに大きくなっちゃったの？」

ＨＣＲ３２をこの店で決めた。

ある日、仕事で遅くなったオレ。
さすがにサービスはやってないだろうと思いつつも立ち寄ってみた。
もう終礼をやっていた。

だけど、工場長はイヤな顔ひとつも見せずに業務時間が終わっても、オレのＨＣＲ３２を整備してくれた。
色んな話をしてくれた。



クルマの下に潜ろうとした工場長は、ツナギを敷いて作業をしていた。
「あれ？このツナギは要らないの？」
「ああ、新しい（デザイン）のになったからね。」
「え！　ちょうだい（笑）！」
「もってけ！！」
それがこのツナギだ。



しかし、その後、長らく勤めていた工場長は他部署へ転属。
日産チェリー店は、日産プリンス店に統合。
店舗も大きく立派に改築された。
思い出の日産チェリー店が消えてしまった。

結婚をして、住所が変わった。
その時、リバティの購入を考えていた。
知り合いの伝をたどって販売店を訪ねた。

担当営業マンさんは、なんとあのチェリー店に勤めていたらしい。
ふと、工場長のことを聞いた。
「あ、この店に居ますよ。」
なんと思わぬ所で再会。
両者、あまりにも面白くて笑ってしまった。

「実はね、このコゾーさんのスカイラインと、親父さんのチェリーは、オレが見たんだよ。」

リバティの契約をすると、納車は３週間後との事。
営業さんは言った。
「実はね。来週、ボクは定年なんだよ。工場長は再来週定年なんだ。同期でね。あなたが最後のお客さんでよかった。こんなに日産が好きなお客さんだなんて。」



最後にこっそり一升瓶に入った日本酒を持って販売店に行った。
「お疲れ様。」
「バッカモン。気を使うなよ。」
「ったく、相変わらずだな。」

このツナギは「もうひとつの宝物」なのです。

※画像提供：フォトヤマさん、ぴんきーさん