
以前、ある楽器店の店頭に電子ドラムがデモで置いてあった。
懐かしさもあってついつい叩いてしまった。
ウデは落ち、パフォーマンスのような事は出来なくなっていたけれど、基本的な8ビート、16ビートくらいは叩けていたし、単純なオカズ(Fill in)くらいは出来た。
ウチの連中は驚いた。
「へ!? ドラム叩けるの?キーボードだけだと思っていた。」
時は中学の事。
吹奏楽部に所属していたオイラ。
前にも書いたけれど、ウチの中学は合唱に力を注いでいた。
エースの合唱部は全国大会常連だった。
対する吹奏楽部は弱小で日の当たらない活動だった。
当然、楽器の構成も少なかった。
Nジャンさんはパーカッション(打楽器)担当。
一年の頃は下積み。
シロフォン&グロッケンを担当。
早いハナシが鉄琴と木琴ネ♪
11月になると地域全学校との音楽発表会が催される。
そこで小学生時代、転校して行った女子に再会した。
「Nジャン君の楽器コレなの?」
そう言って笑いながらトランペットを持って去って行った。
「くそー!いつか絶対見返してやるわ!」
年が明けて隣校との交流会。
隣はドラムセットを持ち込んでいた。
それはあまりにも衝撃的でカッコ良かった。
ウチの吹奏楽部注目の的。
しかし我が吹奏楽部にドラムセットは高嶺の花。
自分も最後の年となった三年生の春。
先生に呼び出されたオイラ。
「Nジャンよぉ。ちょっと相談あってな?実はドラムセット買おうと思うんだ。オマエ、叩いてくれないか?」
一瞬、何が起きたかわからなかった。
「天にも昇る」というのはこの事だろうか。
我が中学に初めてドラムセットがやってきた。
不思議だった。
あまり練習もしないで比較的簡単に出来た。
我が中学の合唱祭。
前にも述べたが我が校は合唱がメイン。
吹奏楽部は日が当たらない事はわかっていた。
ところが吹奏楽部のステージはいつもと違っていた。
初めてポピュラーを取り入れた。
ドラムセットの参入によりジャンルが広がった。
俄然、注目を浴びる。
影になりがちだった吹奏楽部を引き上げる為にオイラは一生懸命ドラムを叩いた。
ちなみにこの曲。
ところが自分の思惑とはウラハラに全校でヒーロー扱いされる事になってしまった。
こうなると急に友達が増えたりする。
オイラにしてみりゃ「あんたダレ?」みたいな。
ただ…オイラの本音は違っていた。
「ほっといてくれないか。目立とうとしてやっているワケじゃないんだよ。」
それを言うと「またまたぁ。。。。。」だって。
例の転校して行ったあの女の子を見返すビッグチャンス到来。
あの地域学校音楽会が開催。
しかし探せど探せどあの女の子はいない。
聞けば他県へ再び転校してしまったらしい。
・・・・・・・。
≡>┼○
その後、高校に行っても吹奏楽部を継続。
同時にプライベートで楽団にも入った。
高校三年の夏。
講師の先生に呼ばれた。
「君さ、県選抜高校生の楽団が今度合宿するんだけど参加しないか? スネアドラムも、ティンパニーも、ドラムセットも叩けるじゃない。」
なんと断ってしまったNジャンさん。
「堅苦しいのは苦手です。」
実はこっそりロックバンドでライブハウス通いしていたのである。
しかもキーボードプレイヤーで。
時は流れ40歳を過ぎた頃。
実家へ行った時、戯れに菜箸でドラムを叩くマネをした。
妹は言った。
「兄貴、こんなに下手だっけ?」
「あたりめーだ。もう20年以上も前のハナシだ。」
でもアイツ、皮肉な台詞ではあったけれど、あの頃のオレをちゃんと見ていたんだねぇ。
Posted at 2011/11/04 23:27:57 | |
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