
~窓の外が恋しく~
2018年09月22日(土)。
看護婦さんにカーテンを開けてもらった。
外は晴天。
雨続きだった風景はガラッと姿を変えていた。
窓の外が急に恋しくなった。
まだ身動きできない自分。
腰と背中の痛みは座薬の効果があったせいか、痛みは感じなかった。
当然、右足の痛みはない。
妙な話、右足の為の痛み止めがまさか腰痛・背痛の為になったとは。
そうなってくると、違和感は排泄のための管になる。
「もう勘弁してくれ」と言いたくなるってモンだ。
身動きできず、管の違和感。
ネガティブばかり目立っている。
しかし、何とかポジティブな部分を探そうとする。
いざという時は看護婦さんがいてくれる。
自分一人だけの自由な時間。
今まで自分には非現実的に思えていた事が、現実になっている事をポジティブに思っていた。
看護婦さんの交代。
一番お世話になった夜勤の看護婦さんにお礼を。
日勤の看護婦さんにご挨拶。
早速点滴の交換を。
「今日は食事ができますからね」というお言葉。
そんな事もあって空腹感が増す。
朝食時間。
久々の「食」だ。
当然完食。
しかし動けば管が刺激する。
「やだよ、やだよ。」
部屋の外では高齢男性と看護婦さんとの本日のバトル勃発。
「またトイレ行ってる。何回言ったらわかるの?」
「いいじゃねぇか。出るんだから。」
「出てないじゃない!」
「看護婦さんにちゃんと言って!」
やめてくれ…
やめてくれ…
笑うと管が刺激するからよぉ…
午前9:00過ぎ。
ベテラン看護婦さんが顔を出した。
「Nジャンさん、管を抜きますね。」
「大きくフーッっと息を吐いてくださいね。せーの。」
「ふーっ」
一気に抜いた管。
これが超気持ち悪い。
「はい。抜けましたよ。」
管は抜けても違和感はそう簡単に抜ける事はない。
その違和感は今でも完全には抜けていない。
「おトイレに行くときは看護婦を呼んでくださいね。お茶も飲料水もOKです。」
2時間後くらい、術後初のトイレに。
看護婦さんを呼んで行った。
さすがに右足は引きずるも、自分で行けた。
看護婦さんは真横についてくれただけだ。
当然、洋式トイレの便座となる。
昼食時間。
窓の外を見ながらの食事。
終了後、歯を磨いて点滴を受ける。
女房殿が下のお嬢を連れてきてくれた。
音楽教室からの流れだ。
女房殿が言った。
「あの車椅子のおじさん、ナースステーションの中へ拉致されていたよ(笑)。」
(爆)!
それから間もなく両親が顔を出す。
「来なくていい」と言ったのに心配らしい。
ま、無理もないか。
自律神経失調症は完全に完治しているワケではないし。
オイラはケロッとしている。
それだけで十分だろう。
女房殿とお嬢と両親4人は、オイラの後押しで下階にあるコーヒーショップへ行かせた。
再び戻ってきて、軽く会話をして帰宅。
この日、TVは面白い放送をしていない。
当然、イヤホンとなるが、この時はラジオ放送を。
久々に笑った。
2回目のトイレ。
看護婦さんの付き添いはココまでで終了可能と判断。
引きずりながらも歩行可能。
イヤホンは音楽に切り替えて、2日ぶりに雑誌を手に取った。
トイレ3回目。
単独でイケた。
調子に乗って眼下に広がる街を眺めていた。
子供の頃、青春時代、過ごしてきた時間。
それをきっかけにベッドに入ってアレコレ色んな事を考えていた。
思いに更けていたいが、現実はそう甘くはない。
外からまた聞こえてくるバトル。
「〇〇さん、あなたもう犯罪だよ!」
「なんの罪だ?」
「看護婦呼ばないトイレ行き過ぎ容疑で逮捕だよ。」
やめれ…
笑いがもう堪えられない…
「ところで〇〇さん、若い頃ってお仕事何してたの?」
「警察官。」
「本当の事言って。」
「本当に警察官。嘘じゃないよ。」
やめれ…
頼むからやめてくれ…
あまりにも出来過ぎな会話にオイラの腹筋は崩壊寸前だ(涙
看護婦さん交代。
夜勤番の看護婦さん。
同じ看護婦さんが担当にならないのはローテーションなんだろうナァ。
夕食時間。
右足ひきずるも自由に動ける。
だからと言って行くところもない。
「今夜が入院生活最後の夜。」
思いに更けようとすると聞こえてくるのは…
「〇〇さん、また一人でトイレ!」
「目撃情報あったよ。行く前には看護婦さん呼んで!!」
「今度は出たって。」
「あ…ホントだ。」
・・・・・・・助けてくれ
オイラの腹筋崩壊しちゃう。
「消灯時間です。」
「はーい、おやすみなさい。」
イヤホンで音楽だけ聴いてるオイラ。
ボリュームは下げた。
看護婦さんは少しだけ窓を開けた。
気持ちよい風がカーテンを揺らす。
秋の虫の声が聞こえた。
「オレ、本当に手術受けたんだな…」
~つづく~
Posted at 2018/09/25 08:19:30 | |
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