
「まぁた、オレを揶揄って。ダメだよ。」
「Nジャン、マジだよ、大マジ。」
「はぁ?」
最後の言葉を交わすことなく、何故戻る事のない場所へ行ってしまったのか。
出勤直後のその話は冗談だと笑い飛ばせて欲しかった。
諸先輩方から聴けば、若い頃は、やんちゃしていた男。
大人しい性格からは見えない謎。
「アイツのセリカLBは今でも思い出すよ。それからセリカXXで、Nジャンの親父と同じスープラに乗ってたんだ。」
オイラと知り合った時、彼の愛車はGTO。
そんな話から談義は始まった。
「迎えに行くよ、忘年会どこだっけ?」
「飲まないの?」
「帰り代行。」
「GTOでぇ?」
「そう。」
「Nジャン、そこに〇〇さん居る? 駐車場にペットボトルの水入れて持ってきてと伝えて。オーバーヒートしちゃってさぁ。」
「・・・・・はぁ?」
おかしな人だった。
パチンコ店ではお決まりの台に座っていた。
バッタリ出会うと「メシ行かねぇか?」と言って奢ってくれた。
仕事とは別の集まりがあった時、オイラはスカGで行った。
いきなり満面の笑みで購入して間もないオイラのスカGを動かす彼。
「おいコラ💢 誰が運転して良いと言った!?」
最後に見かけたのは金曜日。
いつも通りに氏は仕事をしていた。
その姿はオイラも見ていた。
それは昨日の事だったらしい。
会社には来ない、電話にも出ない…
「Nジャン、オレらが行ったときにはもう遅かった。そのまま横になっていたんだ。眠ってそのままだったらしい。」
あと数ケ月で定年退職。
そんな矢先だったのに…
今日も彼宛の納品があった。
PCのサーバーで彼の名を消す時、データではなく係長自身が固まった。
彼の帽子、手袋、定規、筆記用具を片付ける。
今にも使い出しそうな名前入りの道具。
今にもその角から現れそうな姿。
「Nジャン、ケッパコ買ったんだってね。燃費はオレの同じらしいじゃん。」
「何?さりげない自慢(笑)?」
また一人、星になった。
¨ 何だよ、もっちと同じ別れ方すんなや ¨
じゃあね。
Posted at 2022/11/08 21:00:46 | |
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