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♪湿ったコンクリート ロフトの壁には
褪せたような赤いペンキだらけ
いつでもつまらぬ夢見たあの頃
あんただけに歌った事もあったね
バンドやろうぜで始まった十代半ば。
連中は集まり週末はスタジオかライブハウス。
レスポールにエクスプローラ、エフェクターの大行列。
段々連中の走りっぷりについていけなくなって離れる事を希望するも力づく。
せっかく描いた曲は連中が手を加え滅茶苦茶になった。
我慢も限界だった。
「オレの居場所はココじゃねぇ」
我慢も限界、自分やりたい方向へ行った18の冬。
やっと自由になれた19直前。
それでも上手く事は運ばない。
ならば一人、ソロで行こうじゃないか。
誰にも邪魔されず、自由にやろうぜ。
客はほんの数える程。
真っ暗いホールで鍵盤を叩いていた。
♪グラスにバーボンなみなみ注いだら
久しぶりの二人の夜に乾杯
煙草を咥えて気取って弾いてた
古いピアノ今でも音が甘いよ
不思議だった。
少しずつだけど客席が埋まって行く。
ステージライトが妙に熱かった気がする。
「アイツ、何者だ?」
「ああ、あのバンドにいた鍵盤弾きだよ。」
「ホントだ。髪型が違うから気が付かなかった。」
「ねぇ、何でステージに立つ事みんなに言わなかったの?」
「いや、ガラじゃないんだよね。」
♪あの頃誰もがフラットしていた
あの頃誰もが気付いていたけれど
耳を塞ぐみたいにしびれたハート
時も止まるまって弾いていたよ
「どこ行くの?」
「県内某所。」
「カッコつけてんの(笑)?」
「じゃあね。ココも居場所じゃないようだ。」
[1984]
ロフトの壁:葛城ユキ
Posted at 2023/08/26 21:04:11 | |
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