
~白馬に拘る~
志賀高原、妙高、草津、万座、飛騨などウィンタースポーツのメッカは他にもある。
しかしオレは白馬に拘っている理由がある。
1996年1月3日。
勤める会社の同僚Sに誘われて白馬に行った。
SはNジャンと同い年。
ヤツは心底面白いヤツだった。
アマチュアバンド経験者でクルマにも群しい。更にスキーが大好きなヤツだった。
この頃のオレはスキーがやっとカタチになった頃。
その日、リフトに乗っててヤツは言った。
「Nジャン、わりー、ストック落とした。」
オレはハラ抱えて笑った。
「●ホかっ! まぁ、よかったな、コースの上にないリフトで。」
「Nジャン!!オマエ、切替しの時、ストックの使い方、逆だぞ、●カ(爆笑)!」
「うっせぇ、使えるときに使うんだよっ(爆)。」
それからわずか1年後。
最後は、ある木曜日の仕事からの帰宅時に偶然居合わせたSとの会話だった。
「オマエのGT-Rがイチバン好きだ。」
「なんだよ。急に…」
「バンドやらないか?」
「イイよ。」
そう言ってアイツはタイヤ鳴らしてオレの前を走って行った。
次の月曜日、その悲報に耳を疑った。
「ウソだ。ウソだろ!」
突然の病魔が襲ったS。
一瞬にして命を奪われた。
お通夜の時、「出棺のとき、コレを入れていただけませんか?約束していたんです。」と言ってお母様にMDを渡したオレ。
「オマエのオリジナル曲、MDに録音してくれよ。」
「わかったよ録音しとくよ。」
アイツとはそれが最後だった。
「何気持ち良さそうに寝てるんだよ…約束どうすんだよ…」
止まらない涙が鵬を伝う。
翌年。1月3日。
オレは会社の仲間を誘って白馬へ向かった。
「Sを連れて行こう!」
だが、年を追うごとに参加者が減って行った。
最後に残ったのは後輩Tだけだった。
やがてオレも家庭を持ち子供が生まれた。
まだヨチヨチだったのでTと二人で1月3日は毎年白馬へスキーに行っていた。
Tにも彼女ができた。一緒に行きたいと言ってくれた。
Nジャン家のお嬢もゲレンデデビュー。
そんなTも昨年結婚。
オレは感謝の意味もこめて生演奏をさせてもらった。
そして今年は…遂に1月3日を断念することになった。
「ゴメンな…S」
Posted at 2008/12/30 15:09:33 | |
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ドキュメント Nジャン | 日記