
先日
幸運にも巡り会った機体、グラマンF4F「ワイルドキャット」がロールアウトしました。決して美しいとは言い難いこの機体は、太平洋戦争の開始時に配備が始まり、戦争中期まで怒濤のように進撃する日本軍に対して、防波堤的な役割を果たした米海軍の戦闘機です。(
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機体の特徴としては、なんと言っても胴体に収納される主脚の構造が目を引きます。これはグラマン社が設立時に開発しヒットした、車輪を収納出来る水上機用のフロート(Bフロート)の構造を発展させ、胴体自体に主脚を収納する構造を採用したためです。F4Fの前身の複葉機(FF1やF3Fと呼ばれる機体)からこの構造は採用されており、いわばグラマン社らしさが一番表れている部分とも言えそうです。
またこの主脚引き込み構造のため、主翼は中翼(胴体のちょうど半分高さに主翼が付く形)となっていて、非常に太い胴体と共に、ワイルドキャットの特徴となっています。ただしこの構造は、主脚間のトレッドが狭いため、離着陸時に横転する危険性が高く、後継機種のF6F「
ヘルキャット」では、主脚は主翼下へ収納する構造に改められました。
米軍機は大型というイメージがありますが、このF4Fは全長、全幅とも、同時期の日本の零戦とほぼ同じような数値ですし、エンジンの出力もほぼ同じです。ただし重量だけは日本機に比べると非常に重く、軽快さ、機動性では劣っていました。大戦の前期には、熟練操縦者の操る零戦などに格闘戦にもちこまれ、たやすく撃墜されました。
しかし、急降下時の速度を活かした、常に2機グループ単位で戦闘する(サッチウエェーブ)戦術の確立などで、徐々に零戦の優位性を突き崩して行き、後継のヘルキャットにバトンを渡しました。決して華々しい活躍をしたわけではないものの、馬車馬的によく働いた名機でした。
次回はF4Fの拡大強化版的なF6F「ヘルキャット」の予定です~。
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◇プラモ-米国 | 旅行/地域
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2006/11/11 18:40:43