
この大きく複雑な世界で、驚くほど単純なのに繁栄している生き物は沢山います。例えばダンゴムシ・・・ダンゴムシは障害物にぶつかると、右→左→右→左・・・と毎回曲がる方向を変える習性(
交替性転向反応)があるそうです。ごく単純な行動原則ですが、障害物の多い環境では無駄はあったとしても、最終的にはより遠くに行き着ける確率が高い、という結果になるそうです。特に危険なものから逃げる(遠ざかる)際には有利になるそうです。
多くの生き物はこういったシンプルな行動原則(本能)に従うことが多く、端から見ていると無駄が多くイライラすることもありますが、辛抱強く長い目で見ると充分に上手くいく、ということがわかります。
ルンバの仕事ぶりを見ていてダンゴムシを思い出しました(笑)
AIを搭載している、との事ですが、赤外線で前方の障害物を感知し、ある程度スピードを落としても結局バンパーがぶつかるまで進みます。バンパーがぶつかってはじめて次の行動に移ります・・・壁を感知しぶつかる直前で方向転換する、という「高度な制御」はないし、動き回るうちに部屋全体の形を認識するなんてこともありません。
ぶつかったら、その後いくつかのパターンから行動を選ぶ、ということを延々と繰り返します。充分な時間そういうことを繰り返すうちに結果的に「部屋の大部分を通る(掃除出来る)」ということになります。(超高度なセンサーと知能を備えた)人間なら効率よく10分で掃除が済むのですが、ルンバは同じ所を何度も通りながら非効率に掃除を続けます・・・ただしかける時間は人間の4倍の40分。人間の1/4の効率でも4倍時間をかければ、結果は同じになるはずです。
センサーや制御に凝ってスマートな自動制御を極める、というのも素晴らしいのですが、それは価格の上昇や故障の多さ、電力消費の増大をまねきがちです。逆に適度な自動制御に留め、走行性能やバッテリーの保ちを優先することで、掃除という単機能の実用性を高めたという点がルンバの成功のキーだと思います。
M4シャーマンという戦車や
F4Fワイルドキャットという戦闘機がありましたが、そこそこの性能だけど、丈夫で稼働率が高いものの数を揃えることによって成果を出す、という割り切ったアメリカ的な考え方がルンバにも当てはまるような気がします。
お勧めです。
あと、+αの細かな演出が実に良くて、ルンバが可愛くなってしまいます。
Posted at 2013/07/20 21:43:21 | |
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