
さあ、お待たせしました
真打ちの登場です(笑)。飛行機ファンなら皆さんご存じ、第二次大戦機の中でも迷作機として不動の評価のボールトンポールの「デファイアント」がロールアウトいたしました。今回のキットは夜間戦闘機のカラーリングになっています。(
ギャラリーもどうぞ)
ファンの皆さんはすでにご存じかと思いますが、そうではない皆様にご紹介しますね。この機体は大戦以前に開発が始まった単発複座の「戦闘機」です。特異なのがコックピット後部に、爆撃機などにはよく見られる4連装の動力銃座を背負っている点です。一般的(というか常識的には)戦闘機は機軸に合わせた固定機銃を前方に向かって装備し、パイロットが敵機に照準し(照準の中に入るように操縦し)機銃を発射しますが、この機体ではパイロットは操縦に専念し、後席の機銃手が銃座を操って機銃を発射します・・・
空中戦の二人羽織とでも言うようなコンセプトで開発された機体です。
機体自体は動力銃座だけで700kgも重量があるのに、例えば同じ英国で同時期に開発された
ハリケーンと同じぐらいの大きさで、決定的なのはエンジンも同じ(馬力も当然同じ)だったこと。これだけの重量を単座戦闘機と同じような
主翼面積で支え、同じエンジン出力で引っ張るとどうなるのかは予想が付きそうなものですが・・・つまり、スピードが
遅く、上昇力も
低く、運動性が
劣悪な戦闘機の出来上がりです。ちなみに、ボールトンポールという会社は機体メーカーではなく、もともとは動力銃座のメーカーです・・・自社の銃座販拡のために単発戦闘機を作ったということかも知れませんね。
もちろんそういった意見は後から眺めた辛辣な見方でして、当時は第一次大戦中に活躍した単発複座で旋回機銃を持った機体のコンセプトを踏襲した・・・すなわち実績のあるコンセプトに沿った機体だった、ということのようです。問題は第一次大戦時には比較にならないスピードと機動で空中戦が行われるようになった、ということでしょう。
しかし、登場した当初、連合軍が大陸から撤退する
ダイナモ作戦(ダンケルクの撤退戦)では独機を65機も撃墜する活躍もしています。しかしこの時は友軍のハリケーンや
スピットファイアが敵の戦闘機を引き受けてくれ、大名待遇で敵爆撃機などを攻撃しスコアを稼いだというのが実態。この時期にすでに、戦闘機同士の戦いでは全く対応が出来ないと認識され、昼間戦闘機としては損失が多すぎるため早々に夜間戦闘機として運用されるようになりました。(今回のキットはその夜戦型です。)まだ機上レーダーも装備されていない時期でもあり、またやはり特に上昇力の貧弱さから夜間戦闘機としても順次
ボーファイターや
モスキートと交代していき、大戦終結まで(お荷物の動力銃座を下ろして)標的曳航機や練習機、雑用機として使われました・・・というのも1000機以上も作っちゃったからです。
「英空軍戦闘機集団、最大の災難」と呼ばれるデファイアント。後の書物や果てはこんな素人ブログにまで(笑)駄作機として登場することとなりましたが、結局のところ、開発に際してのコンセプトが現状とブレていた・・・さらにそれを正しく責任感を持って指摘する人間がいなかったということが悲惨な結果の最大の原因です・・・まあ、これと似たことが日本でも最近まで
沢山ありましたけどね(苦笑)
追伸・・嗚呼、なんとしたことか海軍でも
ブラックバーン「ロック」という同じコンセプトで開発された機体があります・・・悲しい話です。
Posted at 2007/05/23 22:31:28 | |
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